昨日の休演日は世紀の天体ショーに狂喜乱舞でした。
金環食の現れる予定時間に空は雲に覆われ、がっかりしていたら、雲の切れ目にくっきりとその姿を現したではありませんか!
薄い雲があたかも下敷きのように太陽の強い光を和らげ、金環を大空に映し出したのです。
何と壮大なショーでしょう!
私も猫たちもうっとりと天空の舞台に酔いしれるのでした。
さて、ショーの後は病院へ直行です。
体中の筋肉がこわばり、熱を持ち、気持ち悪くすらなったので、田園都市線沿線の鍼灸整体院へ行ったのです。
相模大野のヤンキー先生とこは保険医なのでマッサージの時間がちょっと物足りません。
ここは音楽座の秋本みな子さんの紹介で、彼女の推薦通りとても丁寧に治療してもらいました。
二時間みっちり、マッサージ、鍼、低周波で体全身を揉みほぐしていきます。どうやら内臓からもかなり疲れが来ているようです。
思えば、「シャボン玉飛んだ・・・」のツアーから「エリザベート」稽古に直行し、怒涛の本番を迎えたんですものね、疲労もするでしょう。
肝臓がかなり疲弊しているようです。
お酒は控えているのですが・・・
すると、意外なことを先生に言われました。
「治田さんの肝臓疲労は・・・お酒のせいじゃないかもしれません。もっと精神的なものかな・・・」
私の身体を揉み解しながら先生は言いました。
「なんて言うか、何か言いたいことがあるのに、言えずにいる。そんなストレスが肝臓を疲労させているんだと思います。もっと、感情を開放する方向に持っていかれたら・・・」
ドキリとしました。
思い当たる節があるからです。
感情を開放・・・
・・・できない箇所がこの「エリザベート」にはあるのです。
それはグリュンネ伯爵のチビソロ「イギリスが・・・」と「彼女はきれい」の「き」の音です。
高くもなく低くもない、どーってことない音域。
これが自分の最大のコンプレックス、ちゃんと出せているかどうか、いつも不安なのです。
中間音の克服のためにこの三年間、必死で勉強してきました。
でも、まだどこかにトラウマが残ってるんですね・・・
チビソロを「楽しむ」までにはまだ行っていない・・・
そう、あの金環食のように周りは光を放っているようで、中は真っ暗なんです。
でも、不謹慎ながら、笑っちゃいました。
おれの肝臓って正直なんだなぁって。
コンプレックス=がんばってもなかなか出来ない自己暗示。
・・・ってことはつまり、コンプレックスって「頑張ってる人だけが持てる特権」なんですよね。
だったら、この特権を利用して、できる!って暗示すればいい。インフェリアー・コンプレックス(劣等感)をスーペリアー・コンプレックス(優越感)に変えればいいんです。
明日、本番前に雲上仙人歌レッスンに行ってきます。
この先生からは、目からウロコの色んなことを学びました。
「歌って、いかに自分をだますかなんです。疑念を持ったら、その瞬間に声帯は開いてしまいます。歌うときはこれだー!って、先ず声に出してください、反省はその後でいいです」
そうか・・・
頑張ってる者の特権、持ってるんだもんね。
今日二回、これだー!って歌って、ほいで、明日、いっぱい学んじゃおう。
いかに自分をだますか・・・
いかに劣等感に舌を出せるか・・・
うーん、こりゃ楽しめるかもしれない!

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