2012年4月26日、午後4時、帝劇9階稽古場、「エリザベート」、最初の通し稽古がおこなわれました。
ケイタリングにはいーちゃんとかりんちょさんから、差し入れのおにぎりが山ほど並びます。何しろキャストだけでも60人の大所帯ですからね。
ここのおにぎりはお米がとっても美味しく、最近、脱アルコール和食路線を突き進むはるパパには(ほんまかいな・・・)嬉しいプレゼントでした。
通しに先立って、先ずは二時から振り固めです。
「プロローグ」と二幕大詰めの「悪夢」、この二本は多分、作品の中でも1、2を争う長いナンバーじゃないでしょうか。
世界的なモダンダンス振付師、島崎徹さんの振りですから、トートダンサーばかりじゃなく我々役者の動きも結構ハードです。
更に、役者は動きに加えて歌もあるので、しんどさは倍増。
散々動いた後、テノールの私はG(五線譜の上のソ)を30連呼です。
♪「だーれーもー知ーらーなーいーしーんーじーつー、エーリーザベート!・・・」
「悪夢」の方は♪「すーべーてーあーくーむーだ!」をB(五線譜の上のシ)とハイツェー(同じくド)で、更にハイチス(上のド♯)を絶叫。つまり、激しく動きながらめちゃくちゃ高い音を何度も出す・・・この二つをあなた、3回ずつやってごらんなさいな・・・
オペラ歌手が甲子園で三試合やるようなもんです。
(おもろいなぁ・・・)
さて、地獄の千本ノックの後、午後4時から、いよいよ通し稽古が始まりました。
私って、集中力はわりにあるほうなんですが、いかんせん持続力がない。
稽古は大体、5時間が限度です。
それを過ぎると、電源を抜かれたカクテルライトのように、バホッと音を立てて消え、後は余韻の明かりしか放てません。
昨日の稽古は、2時から千本ノック、4時ー7時;通し、7時ー9時;ダメ出し・直し・・・つまり7時間の稽古、はるパパ能力では2時間オーバーだったのです。
しかし、昨日は最後の2時間に目が輝きました!
ダメ出しは英語ではNOTE、つまり「注意、意見」という意味です。
演出家、歌唱指導、二人の振付師、この四人からのNOTEが実に深かったのです。
「ダメ出し」から連想される「あそこがダメ」なんていうのは誰からも出ません。
出たのは「こんな風にしているから、こう見える」という具体的な“注意”と、「こうしたらもっと良くなる」という建設的な“意見”です。
あんまり面白かったので、ひとのNOTEまで書きとめてしまいました。
一番、興味深かったのは小池先生のルドルフ・トートの「最後のキス」へのNOTEです。
挫折した皇太子ルドルフが死の帝王トートにキスされ拳銃自殺するのですが、二人の所作の一つ一つを丁寧に分析し、幼少期のルドルフまでさかのぼり、動機付けを明確にしていったのです。
まるで上質の推理小説を読むような面白さでした。
ぜひ、みなさんも客席でこの「謎解き」に参加してほしいです。
また、小池先生はある方の歌に対して「快感アドレナリン」を利用したらいいともNOTEされました。歌い手の陶酔が観客の陶酔をいざなうというNOTEです。
面白かったのはこれに対する歌唱指導アキラ先生のNOTEです。
快感アドレナリンは絶対に必要だけれど、これの度が過ぎると、音程、リズムが崩れる。そうなったら歌は崩壊してしまうというNOTEです。小池さんもアキラさんも相反するようで、実は両立させなくてはいけない正しいNOTEなのです。
音程、リズムは正確で当たり前、その上での陶酔させる表現なのですから。
おっと、今日もまた長くなって、二人の振付師の話が出来ませんでした。この二人のNOTEも深いんですよ。
その話は必ず次回に。
音楽座で稽古しているとき、オーナーのNOTEも深かったです。分かりやすい観念から始まり、的を射た意見、具体的な注意、建設的な策をいっぱいもらいました。
随分勉強させてもらいました。
役者を生かすも殺すも、見る側のNOTE次第です。
さあ、今日も通し稽古。
千本ノックを受けて、いっぱいNOTEをもらいましょう!
寒いときはこんなだったのに・・・
あたたかくなったら、こんな色に。
この子は来年、きっとSD(セミダブル)になるでしょう。
折々に色を変え、成長して形を変えるから面白い。
深いです。

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