歌喉復活!
台詞荒れしていた声帯がようやくくっつくようになりました。
ずっと柔らかい声で調整していましたが、一昨日、高音を思い切って強い地声で出してみたのです。
第一声はすんなり出ました。
「おっ、こいつはいいぜ!」
なんて喜んでおりますと、後半、またガラガラ声になってしまいます。
いつもならそこで止めにするのですが、調整ももう5日目、
「いつまでも甘えてんじゃねえぜ!」
と、ひっくり返ろうが、何しようが、かまわず強い声をどんどん出しました。
すると・・・
一日経った昨日の稽古ではすんなり息が声帯を震わせてくれるではありませんか。
「なーんだ、やりゃあ、できるじゃねえか!」
と、それまでの憂鬱が嘘のように楽しくお稽古できました。
無理はいけませんが、時には荒療治も必要ですね。
里親募集中だった豆ちゃん、数々のお見合いにことごとく失敗し、傷心の日々でした。
と、言っても、一喜一憂は人間ばかりで、本人はいたってどこ吹く風でしたが・・・
豆ちゃんはノラ猫保護活動をしているAさんが保護して、テレサに預かってもらった猫です。
しかし、テレサのうちも既に七十数匹の大所帯、さらに、下半身不随の猫も抱えており、これ以上はとても無理、見かねた我が家が預かったというわけです。
Aさんの里親探しの方針はこうです。
あちこちに声をかけて、どうしても見つからなかったら、とある動物病院のケージ(言葉は悪いですが陳列ケース?)に豆ちゃんを置いてもらい、そこでいろんな人に見てもらうというのです。
しかし、この作戦には致命的な欠陥がありました。
それは豆ちゃんの性格です。
彼女は超のつく人見知りなのです。
この種の猫には二つのタイプがあります。
一つは怯えて固まるタイプ。
もう一つは怯えて唸るタイプです。
豆ちゃんは後者でした。
それも「唸る」に加えて「猫パンチ」派だったのです。
せめて容姿が、かつて保護したチャモ・ギズみたいな愛くるしい子であれば可能性もあるでしょうが、豆ちゃんは・・・
まあ、よくいるサバ猫です。
むしろ「ぶちゃいく」な方がかえって可愛いというものです。
豆ちゃんはよほど奇特な方でないと難しいでしょう。
豆ちゃんに似た猫を亡くしたばかりの人がいて、その方との縁談も進めたのですが、それもうやむやになってしまいました。そうこうしているうちに、仔猫のまめちゃんは中猫になってしまったのです。
<人見知り+猫パンチ+容姿並+中猫〜もうすぐ大猫>
長年の経験からこの式の答はひとつです。
「うちの子にしようか?」
かみさんが言いました。
今さらこの子を陳列ケースに並べるのは不憫です。
「そうしてほしいぜ!」
仔猫担当クロードも後押しします。
「それがよろしいんじゃないでしょうか」
リーダーのためおくんも賛成です。
「ずっと一緒にいたいっちーの!」
仲良しのチノが大きな目で訴えています。
私に異論のあろうはずがありません。
「うちの子になるかい?」
私は豆ちゃんに聞きました。
すると・・・
豆ちゃんがかみさんにスリスリしたのです・・・
猫事業仕分けで「存続」が決定した豆ちゃん。
驚くほどの変貌振りです。
実にリラックスして、おだやか・・・
安心しているのが手に取るように分かるのです。
里親が見つからなくても知らぬ存ぜぬ風でしたが、内心、不安に思っていたのでしょう。
というより、ここにいたかったのかもしれません。
以前はカメラを取り出しただけでも、さっと逃げたのに、こんな写真も撮らせてくれました。
どこからか、お祝いの声も聞こえてきましたよ・・・
「家猫になったまめー!」
「良かったにゃあ・・・!」

42