「この歌さえちゃんと歌えば、もうベンの八割はできたってことなんだ」
ゲネプロの朝、甲斐先生に私は言われました。
「このメロディーを、歌詞を素朴に、シンプルに歌えば歌うほど、このベンっていうキャラクターがミステリアスになってくる・・・そういうふうに書かれてあるんだよ」
甲斐先生はまるで小さな子供諭すように、優しく説明してくれました。
そうか・・・
わたしはそれまで、知らないうちに歌を「表現しよう」としていました。しかし、そうではなかったのです。
リーバイさんとクンツェさんの書いたこの曲に「ゆだねれば」よかったのです。
たくさんの感想ありがとうございます。
本当に嬉しいです!
昨日までの4ステージ、わたしは曲に身をゆだねようと、息を吐き、息を流し、息に乗っかろうとひたすら集中しました。
しかし、そこは「邪念の中年おじさん」、ついつい表現しようとしてしまうのです。
余計なことはいらないのにねぇ・・・
そんなこんなで、つい、昨日のマチネは邪念が入りました。
最初の登場が終わるなり、化粧前に標語を書いたのです。
「水平線の向こうに投げ歌う」
あと百ステージ、ベンは海を見つめ、波音に耳を澄ませて歌います。
メールでもコメントでも、あのへんはこうじゃないかなぁとか、どんな内容でも結構ですので、ご感想をお寄せくださいませ。
昨日のマチネとソワレで用意しておりましたチケットを取りに来られない方が二組いらっしゃいました。
昨日は落雷もありましたし、事故でなければよいのですが、万が一忘れていらっしゃったら、本当にもったいないです。
ご自分の観劇日を今一度ご確認ください。
分からない場合はこちらにリストがございますので、ご遠慮なくお問い合わせください。
最近保護したサブローくん。
今までの人生で、彼ほど優しい目をした猫を見たことがありません。
性格もほんとうにおだやかで、甘えん坊で、超がつくほど人なつこいです。
推定2才、多分、捨てられた子だと思います。
保護した時に大変な怪我をしていました。オスですし、ケンカしたのでしょう。
あの性格ですから簡単に負けたのだと思います。
治療して、血液検査の結果、彼は大変な病気を背負っていることが分かりました。
白血病です。
しばらく入院させ、インターフェロン治療も行ない、紆余曲折あって、現在は我が家にいます。
それでもいいという里親さんを探しています。
いつかお話しようと思っていましたが、うちのギャル・モモ、そして、がんじろうはエイズです。
幸い二匹ともキャリアで、まだ発症はしておりません。
猫エイズはもちろん人間にはうつりませんし、猫同士でも交尾などしない限り容易には感染しません。
がんじろうはあざみ野で保護してから十年近く経ちますが、最近食欲は落ちたというものの、元気で暮らしております。
ギャル・モモにいたってはクロードの頭に猫パンチをくらわしたり、そこら中跳ね回っております。
現在、二匹ともホメオパシー治療、そして、タヒボ茶という最近その効能が発見された治療も施しておりますが、最も重要な治療はなんだと思いますか?
それは「愛」です。
四月五日、お客様からお手紙をいただきました。
リンちゃんというエイズの猫が8才11ヶ月で天寿をまっとうしたのだそうです。
しかし、この天寿、実は三日ほどだったのです。
お客様が段ボール箱に捨てられていたリンちゃんを保護し、病気発覚後も、治療を続け、そして、最後はお客様の腕の中から旅立たせたのだそうです。
リンちゃんの8年10ヶ月27日はお客様の愛でもらったのです。
お手紙はゲネプロの朝、甲斐先生のレッスン後、楽屋で読みました。
能率手帳の「希望の朝」の隣には「リンちゃんの魂」と書かれてあります。
リンちゃんの旅立ちを知った朝、私は甲斐先生から役者の命をいただきました。
リンちゃんの分、ベンを生きようと思います。
貝殻の隣にリンちゃんを座らせ、一緒に水平線を見ようと思います。
サブローもギャル・モモもがんじろうもいっぱい愛します。
猫も人間も決してひとりでは生きていけないのですから。
皆様の善意、「がんじろう基金」、役立たせていただいております。
世界中の猫は救えませんが、せめて、縁あって知り合った猫たちには手を差し伸べたいです。
ありがとうございました。

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