めっきり寒くなってきましたね。
先日、猫たちの訴えるような目に負けて、とうとう暖房を入れてしまいました。
あいつらときたら、とたんに大あくびでゴロゴロ寝転がっています。
私はこの季節の変わり目というのが好きです。
中学生のころ、それまでのYシャツから久しぶりに学生服に袖を通したとき、なんだか妙に嬉しかったことを覚えています。
日の光も、夏の日のように上からがんがん照りつけるのではなく、横からぐんと奥まで入ってくる、妖怪「一反もめん」みたいなのが好きですます。
まるで朝日のスポットライトを浴びているようで、猫も人間も気持ちよく太陽に会釈します。
コンサートのことを考えて、
「よし、走ろう!」
なんて、勢いもついてしまいます。
頭の中で経路を描くのです。
「山道・修行コースA」、「階段・殺伐鍛錬コースB」、「お花畑・平坦ひより見コースC」・・・
うーん、どれにしようかな・・・
なんて、計画だけは立ててわくわくします。
まあ、実行するかどうかは別問題ですがね。
ただ、今日みたいな曇りの日・・・
これが問題なのです。
どんより、気持ちが沈んじゃうのです。
自慢じゃないですが、まるで「打たれ弱い」私は、ちょっとした困難に出会うと、いとも簡単にへこたれてしまうのです。
とりわけ、困難A、辛苦B、当て外れCなど、間を置かずに続こうものなら、「ミルコ・クロコップ VS 曙」の試合よりもあっさりと負けてしまうのです。
最近一番しんどかったのは6年前、劇団四季をやめた直後の半年間でした。
契約で舞台の仕事ができなかった私は、毎日毎日、悶々としていました。
何が辛いかといって、やることがないという現実でした。
「明日が今日と同じ日」
これはきつかったですね・・・
もちろん今は、これほどひどいものではありませんが、多分、打開難易度Cぐらいの「やや悶々」です。
あるとき、どうしてこう、自分は安易に落ち込むのか考えてみました。
答えはすぐに出ました。
それは私が人生の尺度を「勝ち負け」で計っているからなのです。
勝ってるときは意気揚々と、生意気なことをほざけるのですが、負けていると、借りてきた猫以下に散々なのです。
多分、この五十二年間をそれでやって来ました。
そして、やって来ているのです。
しかし、これで果たして良いのでしょうか・・・
曇り空の今朝、突然、そんな疑問がわいたのです。
で、考えてみました。
もし、人生が勝ち負けじゃなかったら・・・
以前、このブログでも書きましたが、ラスベガスのとある六十五歳になる成功者が、テレビでこう言ってました。
「私はこの世界じゃ、まだまだ子供だ。引退なんて考えてない。人生というのは長い旅なのだ。ゴールはない。ゴールにたどり着くまでの旅を、仕事を楽しめばいいんだ」
ときを同じくして、私はこんな番組も見ました。
マラソンの高橋尚子さんのインタビューです。
アメリカでのトレーニングの模様を取材したものです。
走るエネルギーの出所についての質問に、彼女はこう答えました。
「ここまでくると、もう、勝ち負けじゃがんばれません。だから、『人生ってなんだろう』って考えながら、走るんです・・・」
今回のコンサートで、うちのマンションの住民がとても協力してくださいます。
平日なので、どうしても申し込みの伸びが悪く、その前にも色々あって(この色々が結構きいてるんだなぁ・・・)、正直言うと、ここのところ憂鬱が続いていました。
しかし、隣人たちはとても親切にしてくださいます。
あちこちに声をかけてくださったりして、住民関係だけでもう三十人近くが来てくださいます。
こんな、ご近所ってあるでしょうか・・・
最近、「新住民歓迎引越しパーティー」が開かれました。
昼の十二時から始まり、散々盛り上がって、六時には解散したものの、引き続き我が家で何人かが集まり、結局、この日は十二時間以上飲み続けたのです。
いろんな方と、いろんな話をしました。
そして、分かったことは・・・
みんな生きてるってことです。
昨日、お客様から申し込みのメールをいただきました。
わざわざ神戸から来てくださるそうです。
こんな時だったから、なおさら嬉しかったです。
大阪や岐阜県、秋田県、そして、関東の色んなところからお客様は観に来てくださいます。
勝ち負けじゃないのですよね、人生って。
なかなかできないけど、「あ、おれって今落ち込んでるんだ・・・」って、楽しめばいいんです。
さっき、そうやってみたら、結構楽になりましたよ。
悩んで、落ち込んで、ちょっと喜んで、そんな毎日を、人生という長い旅を楽しめばいいのです。
・・・なんて、生意気なことを考えた、曇り空の朝でした。
「おらも猫人生楽しみますだ!」


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