劇場の目と鼻の先、日比谷公園で今、アフリカフェスティバルをやってます。
シャケちゃんが昨日見に行って、
「楽しいよ、はるパパ」
と、教えてくれました。
「クスクスとかあるかな?」
と、聞くと、
「あったよー!」
「まさか植物はねえよな」
「うん、それはね…」
「バオバブとか売ってたらすげえよな」
「まさか!」
なんて話していたのです。
で、今日、昼夜の間に見に行きました。
あちこちでフランス語が飛び交っています。
セネガル、モロッコ、など北アフリカはフランス語圏ですから。
ちょっぴり懐かしかったです。
それにしてもまあ、人が多いの多くないのって…!
まるで渋谷です!!
混雑は小田急線だけで十分です。
黒人の兄ちゃんが、
「イラッシャーイ!」と、言うのを聞いて退散することにしました。
しかし、ふと目に入ったのです、「マダガスカル」の看板が…
呼ばれるように私はテントの中に入ったのでした。
すると…
いたのです!
あいつが…
小さなポットの中に、割れたピスタチオような格好で。
横のプレートには…
「バオバブの芽」
と、書いてあるではありませんか!
2ポットで千円と書いてあります。
今しがた、別の客が買っていったそうで、最後の二つでした。
すると、一人のおねえちゃんがポットを手に取り、興味深げに見ています。
「五百円出す?」
私が言うと、おねえちゃんはこくりとうなずきました。
楽屋へ持って帰ったら、大騒ぎです。
なにしろ、(サンテグジュペリの)「星の王子様」に登場する木ですからね。
成木になると、太く、神々しいまで銀色の木肌、天まで届きそうな頂上にちょこんと乗った緑の愛らしさ。
私は有頂天で皆に見せびらかしました。
すると、なんということでしょう。返ってきた反応は、
「え?ソラ豆?」
「モヤシだろ」
「大豆じゃん、あは」
など、耳を疑うばかりの無知さかげん!
怒り狂った私はオスギとピーコのように、
「なに言ってんのよ、あんたたち!これ、バオバブよぉ!!」
すると、スナカワが、「え?ばおパブ?」
「そう、フィリピンパブ…ちゃうわ!」
と、なったのでした…
失意の私は化粧前でうなだれておりました。
おろかな俳優達のせいで、ああ・・・
「星の王子様」ロマンはぶちこわしです。
鏡の前には、そんなことなど意に介さず、バオバブの苗がちょこんとたたずんでいます。
「僕も買っちゃった」
背後から声がしました。振り返るとシャケちゃんです。
手にはなんとバオバブのポットを二つ持っているではありませんか!
「昨日は見つけられなかったけど、さっき行ったらあったの」
私の前に買っていった客とはシャケちゃんのことだったのです。
私はにっこりと笑いました。
すると、シャケちゃんが言ったのです。
「大きくなったら心配ですね…」
そうなんです。
だって…
日生劇場より大きくなるのですもの…
(もやしソラ豆フィリピンパブ)


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