劇団四季にいたころ、浅利先生にひとつとてもいい言葉をもらったことがあります。
「自分の時計だけ見ていたらいい」
四季に受かったころ、まだ続行していた「ピーターパン」大阪公演のために
私は「美女と野獣」のオーディションを受けられませんでした。
散々知恵をふりしぼったのですが、どうあがいても朝10時に横浜市あざみ野の
オーディションを受けて、昼1時に大阪府上本町近鉄劇場の舞台に立つのは
不可能だったのです。
いっそ、羽田から関空へコンコルドをチャーターしようとも思ったのですが、
予算が20円足りなくて(あほか!)やむなく断念いたしました。
ですから、うん年前9月3日に「ピーターパン」を終えて4日にあざみ野へ行った時は
キャスティングはすでに終わっており、第一志望:ローソクの執事ルミエールは
はるかかなたでした。
したがって私は謎の医者ムッシュー・ダルク(あざみ野は大爆笑)とアンサンブル
をやっていたのです。
戦友今井清隆はメインキャスト・ガストンに決まっており、それはやはり
アンサンブルの私としては正直言ってとてもみじめでした。
その時です。浅利先生にこの言葉をいただいたのです。
「おまえは自分の時計だけ見ていたらいいんだ」
「まわりは気にせず、自分のやるべきことだけやっていろ」
の、意味です。そして、「キャラクター的にはルフウがあってるから、そっちを
ねらえ」とも言われました。
そして、私はアンサンブルをやりつつも、三番手ルフウのポジションをしっかり
まっとうしていったのです。すると、赤坂ミュージカル劇場での初日にはめでたく
1番手に昇格していました。
三毛猫さんもどうぞ「自分の時計だけ見ていて」ください。

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