「アンタッチャブル」、いよいよ開幕しました。評判は・・・
すこぶる良いようです。
世の中、暗い事がいっぱい続きましたからね、こんなときこそ、明るく楽しいものをみんな求めているのでしょう。
劇場内は笑いの渦、そして、どなたかがコメントしてくださいましたが、「最後はホロリ」とくるようです。
最初笑って、最後に泣ける。もう、喜劇の王道ですよね!
さて、痛快アクション音楽活劇「アンタッチャブル」、ポイントはやはり最後のカーチェイスかもしれません。
舞台の上で、どうやって車の追っかっけっこするのか!?
観てのお楽しみですが、これが結構、脚、膝に来ます。
毎晩寝る前に膝のアイシングは欠かせません。
それでも、一昨日の朝なんかふくらはぎがいきなりつっちゃって(「こむら返り」ってやつです)あまりの痛さに目が覚めちゃいました。
このカーチェイスシーン、脚ばかりでなく肺にもきます。
途中スローモーションになるのですが、ここに突入するとき私は「叫びソロ」を任されています。
「車」が所定の位置へスローモーションでと到達するまで高音から低音へと叫び続けるのです。
「よく、あんなに息が続きますね」
と、作曲家の竹内さんに言われましたが、これが例の「正しい発声法」の功績なのです。
息をおでこに響かせ、腹筋で支え、ブレスコントロールしながら音を徐々に下げていくロングトーン・・・これが結構肺に来る。(笑)
その後、スローモーションをひとしきりやって、車で袖に引っ込んだら、もう息はぜーぜーはーはー・・・
そこへきて昨日、演出家から「治田さん、車を回転させながら叫べますか?」と、言われたもんだから、つい「平気っすよ」って言っちゃった・・・
後には引けねえぜ。おじさん、頑張ります!(笑)
このスローモーション、一番うまいのが健さんです。
しかも、このとき健さんは車ではない「あるもの」に乗っているのです。それで超ゆっくり動くものですから、もう、場内は大爆笑、本当に芸達者な方ですよね・・・!
さて、幕が開き、あらためて痛感したことは口跡の大切さです。
私が敬愛する故渥美きよしさんは口跡の良い役者として知られていました。
口跡が良い;ことばが全部聞き取れるという意味です。
セリフというのは感情過多になると、どうしても流れてしまいがちです。べらべらべらーっと喋って、何を言ってるかがさっぱり解らない、こうなるとお客さんはそっぽを向きます。
情感と(ある部分で)戦いながら、同時に言葉をしっかり聞かせなくてはなりません。
元劇団四季出身の私は、この口跡にはとてもうるさく言われました。
ですから、今回の稽古で何人かの役者さんにアドバイスしたものです、追い詰められてるとか、息せき切ってるという状態でも、絶対に言葉を立てなさいと。
すると、ひょうたんから駒、ちゃんと立てた言葉が客席に伝わり、稽古場では一度も笑いの来なかった言葉が本番では大ウケです。
私は思いました、ああ、これが「本の面白さ」なんだなって。
浅利先生がおっしゃってました、役者の仕事は本の面白さを伝えることだ、と。
今回の舞台でそれが一番長けているのが健さんです。
健さんの口跡と、更にそれを生かす間の良さは絶品です。
もし、名付けるとしたら、それは「一流のさりげなさ」です。
さらーっと言葉を立てている・・・
あの抜き加減は超一級です。
渥美さんも、平さんも、うまい役者はみんな、ときには強く、時にはさらーっと言葉を立てていました。
うーん、勉強することが山のようにあります。
一回一回を大切に、しっかり学んでいくつもりです。
みなさん、ぜひ、観に来てください!
ベランダのイチゴです!


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