今までで,
最高の試合を見せてもらった。
彼らの持っている
実力を出し切った,ベストを尽くした試合を見せてもらった。
何回も鳥肌が立つような,
子供達の頑張りを見せてもらった。
攻撃の時,ヒットを打った子,ホームベースを踏んだ子,みんな最高の笑顔を見せてくれた。
守備の時も,みんなで守りきって,何回もあったピンチを乗り越えてベンチに戻ってきた時の誇らしげな,汗と土で真っ黒になった笑顔がかっこよかった。
試合は我がチームが先攻。
初回から打線がつながり,一挙に3得点。その裏に
1点を返されたが,4回まではエースのU君が力投。ただ,相手ピッチャーも2回以降はなかなか追加点を許してくれない。
守備では3回裏に無死満塁という状況もあったが,バックがU君の力投に応えて零点に抑える。そして
4回裏に1点を許してしまうが,これも無死満塁になってからの1点。しかたない。U君は4回までに100球近く投げていた。
そして5回の表に再び上位打線がつながり
一挙に4点追加して7対2!
応援席の誰もが
「初の県大会1勝」をほぼ確信した。
5回の裏,ピッチャーはU君からA君に交代。
初球ストライクを取った後,2塁塁審からタイム。塁審はA君に近づき,なにやら話しかける。A君の投球動作がボークに近いとみなされて注意されたようだ。
その後,A君は動揺してしまい,ストライクが入らない。
ツーストライクまでは取れるものの,フォアボールがつづいて無死1,2塁。3人目の打者の時に今度はボークを取られランナー2,3塁に。そして3人目もフォアボールとなり,また無死満塁。
タイムを取って監督,内野陣がA君を励まして続投。
しかし結局,
押出しフォアボールとヒットで3点入れられて7対5となってしまった。
そして7回(最終回)表。この時点で試合時間は2時間近く経過していた。
ヒット,盗塁と相手ピッチャーのワイルドピッチで1点追加。8対5!
この1点は大きい。逃げ切れる!
7回の裏,ピッチャーはもう一人のA君に交代。ところが相手もここに来て打線がつながって,
3点追加して8対8の同点。そしてツーアウト,ランナー1,2塁。
バッターが左中間に打ち上げて,センターが打球を追う。
「よし,これで延長戦だ」と思ったら,打球は思いのほか伸びて…。
…最終回(まさかの)逆転サヨナラ負け
試合結果 1 2 3 4 5 6 7
我がチーム 3 0 0 0 4 0 1 計8
相手チーム 1 0 0 1 3 0 4X計9
※試合経過は途中,見ていないところもあったのでその辺は一部脚色してありますが,大筋では間違い無いはずです。
内容的には「勝っていた」試合だった。しかし,結果は結果。残念。
ところで,K太には試合前に
「しっかり応援して,ゲームもちゃんと見ておけよ」
「来年はスタンドじゃなく,あのグランドに立つんだぞ」
と釘をさしておいたのだが,正直言ってあまり集中していなかった。(暑かったこともあり,無理もないが…)
家に帰ってからあらためて今日の試合のことを話してみた。
「今日の試合は負けちゃったけど,みんなが頑張っている姿を見て,よその子なのにお父さんはとても感動した」
「K太もみんなが頑張っている姿を見て,『すごい』と思っただろうけど,お父さんはK太が頑張る姿を見て『すごい』と思いたい」
「そのためにはちゃんと練習をしよう,試合もちゃんと見学しよう」
とそんな事を話した。
途中,K太の目がウルウルした。涙が出てきたようだ。
お父さんに叱られていると思って涙が出てきたのか,
彼なりに何か感じるものがあって涙が出てきたのか。
それともアクビを噛み殺していて涙が出てきたのか?
真相は定かではない。

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