記憶喪失患者で脳科学の研究に貢献された
「H・M」ことヘンリー・モレゾンさんが米国で12月2日に82歳で亡くなられたという新聞記事を読んだ。
『彼は「今日、何をした」といった事実や経験は記憶できないが、方法や手順を「体で覚える」のはできる。』すなわち、脳の記憶に必要な「海馬」を含む脳の側頭葉の一部を失っているにも拘わらず、手作業の繰り返し訓練を重ねると、行為として、再現できるようになると言うことが判明したのである。
これはまさしく「
小脳に内部モデルが形成された」ことに他ならない。左脳と右脳ばかりではなく小脳が大切であることを科学的な証明をしてくれたのである。私たちも鉄棒の逆上がりが出来るようになったり、自転車に乗れるようになったりと言うのは、「
身体が覚えた」訳である。
ずっと『人間力は智仁勇である』と書いてきましたが、その智は左脳、仁は右脳、勇は小脳と重ねて考えると理にかなうようです。勇気が行動に移すのに必要な要素ですが、
形・パターンや「道」などが予め身についていれば容易に行動に移せるようになるのです。従って、左脳の論理力や右脳の情緒力ばかりではなく、小脳を鍛える教育やトレーニングが欠かせないことになるわけです。

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