2009/5/15
朝から緊急指令が下ったのは言う間でもなくSA。
指令の内容はこうだ。
『丁度学園の真上空から、異形が現れた。SAクラスは全面的に学園を守るべし』
勿論SA全員が、ではなく能力の使える生徒が駆り出される。
異形出現によって全クラスの授業はおしまい。しかし生徒は学園から出ることは叶わない。何故なら外に出て被害を被れば、学園側の責任になるからである。
この機に転じてそういった輩も多いので生徒を学園から出さない事もまた、風紀の仕事になっているのだ。
「生徒を外に出さないように! 出入口付近を固めて。1人じゃ駄目、数人で回って!!」
指示を出しているのはランジェである。ランジェの能力も攻撃用ではないので、後者に回って指示を出している。
校庭で異形本体と対立しているのは、シツキとミスト。
しかしながらこれを機に、我こそはと名乗りを上げた一般生徒も少なからず居た。
周囲を見渡してみればAクラスのマーベリックとエルや問題児ウォルター。Bクラスからはシツキの妹分であるコトミや里見ゴウタなど、Cクラスでは最強問題児である空知悠斗に東堂芳乃、そして濱崎亜玖祢。
それぞれ実践経験があるから我こそはと名乗り出ているのだが、正直邪魔すぎて話しにならない。
異様な空模様から降り注ぐようにして現れた異形は物理攻撃が効かないのだ。
魔力を帯びた攻撃でなければ死ぬ事はない。
「数が多いな…学園を守りながら戦わなくていい。学園にはランジェが居るから問題ない。俺たちは目の前の異形だけを見て居ればいい!」
「委員長。一先ず俺が道をひらきますので続いてください。」
「分かった、頼む。」
ミストの放ったレイピアからの一撃は地面を這い、衝撃波を生み出した。
一列間にいた異形は全て消し飛び、シツキはできた道を走り抜けて本体の距離を詰める。
しかしシツキと同様に走ってきたのはあの問題児、空知悠斗。
「此処は俺がポイントゲッター! 灰も残すな、紅カトラス!!」
「……なっ!?」
シツキより高く跳躍し本体の頭上から一気に縦へと刀剣を振り下ろす空知。
あっという間に本体の異形を蹴散らして、周囲に竦んでいた異形は消滅していく。空は元通りの晴れ晴れとした空に戻って。
「……ポイントゲーーーーーット!」
「さっすが空知君。やるー。」
「今回は譲りましたわ。」
空知と同じクラスの女子が褒め称える中、シツキは校庭に立ち尽くしていた。
燃々とした刀剣から放たれた一撃があれほど危険なものかと言う事を脳裏に焼き付けた瞬間でもあった。
問題児の名は伊達ではないようだ。
全員が安心して帰宅して行く。
シツキは会議室の窓際に寄りかかり、薄ら笑みを浮かべて居たが校庭に1人の男と視線が合った。
その視線は以前、空知に警告を促しに向かったCクラスで凍てつく視線を浴びせていたあの男だった。
「…………。」
シツキはベランダに出て男に声をかけて見た。
「…俺の顔に何かついてるかい?」
「………、震えている。」
「何?」
男の言葉に驚いたような表情をする。
「震えている。何に震えているかは……先ほどの空知悠斗が放った一撃にだろう。」
「………何のことだ。」
「嫉妬、か。」
男の言葉にカチンと来たシツキは遠くからαを使おうとした。しかし視線を合わせるどころか、男は既に校庭から居なくなっていた。
「何なんだあいつ…!」
この日はとてもムカムカした1日になった。

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