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「1週間に1度更新すればマシだ」
誰に言ってるか分からないけど偶然このブログを見つけてしまった方たちへ。
ティカップ経由とは言え…見つけてしまうヒトも少なからずいるもんね。
しかしネタを考えるのは苦手です。書きたいと思うのに何も思い浮かばない。
そして時間だけが過ぎていく…
普通の妄想だけでは追いつかない――
気力と根性、根気のテンポアップの並が他人より激しく、落ちやすいのです。
このブログは自作小説を主に書いているページですので、覗きに来られた方でも、興味がなければすぐに回れ右をお願いします。
本当に駄文なんです。本格的にプロを目指しているとか、そんなんしてませんよ。小説投稿とか出してませんよ。書きたいから書くだけです。
批判される筋合いもありませんから、「つまんねー」って一瞬でも思えばそこでお帰りくださいね☆
ちなみにノンジャンルとして書くコメントは、殆どありません。小説として、はごくたまーに更新しています。
小説だけの小説ブログと同類です、あしからず……
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投稿者: nightear
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2009/6/13
「三」
ファイナル −犯罪警察−
朝の全体朝礼。課長の一言で全警察が驚いた声を上げた。
「これから君達全員の身体検査、及びカラスについてどう思っているかなどの調査アンケートをしてもらう。各自それぞれの事務所に戻り、アンケートを実施してもらう。断る事は一切許されない。」
ざわざわと静まらない動揺と不安の入り交じる朝礼から一変し、事務所に戻れば案の定、アンケートをとり行った。
「鷺沼さん、どうして課長はあんなこと言い出したんでしょう?」
「…知るか。」
「もー…どうして素っ気無いんですかいつもいつも……。」
「うるせぃよ。」
黙々とアンケートを取り、提出すれば何時もの時間がやって来た。各自の仕事が始まる。
仕事に取り掛かっていること数分足らず、鷺沼は課長に呼ばれた。
「はい。」
「先日の件で話がある、ちょっと付いて来い。……おい、鳴沢!」
鳴沢も呼び出されて課長と一緒に別室へ移動した。
******************************
鳴沢は怪訝な表情で椅子に座り、鷺沼は何も動じない様子で煙草に火を付ける。課長は二人の反対席に座り煙草をふかした。
「で、どうして鷺沼と一緒に呼ばれなきゃならんのです課長?」
「まぁ待て。最近のお前達の活躍を見込んで警察署長から直々に特命を仰せ付かってな。是非とも協力して欲しいとのことなんだ。」
「…課長。それなら鳴沢警部補に任せれば済む話では。俺では釣り合いが取れませんし。それは課長も知ってるでしょう。」
「だからまずは私の話を聞いてくれ。……我々が裏で追っている『カラス』についてだが、『カラス』は一人ではないことが判明した。」
「………それで我々が『カラス』の全てを追えと言う事ですか?」
一旦口を閉ざした課長は席を立ち窓の前へ佇んだ。
しばらくふかしていた煙草は灰皿に擦りつけてドンと机を思い切り叩く。
「鷺沼、鳴沢!! お前らしかいないんだ。カラスの正体とその背後にあるもの…調べてくれ、頼むっ!」
課長が額を机に押し付けて頼んでいる。
頭を上げてくれなんて言い難いし、返事をしなければずっとこのままだろう。
「…課長、頭を上げてください。カラスの調査、喜んでお引き受け致します。」
鳴沢は当たり前の様に言い放った。
「鷺沼、頼むっ!」
「…………嫌です。」
「なっ……?!」
鷺沼は断りを入れれば席を立ち部屋を出ようとドアに手を掛けた。
「鷺沼! 貴様…どうしてそこまで悪びれてるんだ?! 課長…いや、署長の頼みなんだぞ、特命だ。それを簡単に断るなんてどんな了見だ。」
「……あんたと仕事したくない。それじゃ失礼します。」
自分勝手であることは認めて居たが、協力が出来ない警察は必要ない。鳴沢は鷺沼に対して更に憎しみを抱いた。
********************************
「鷺沼さん、どんな話だったんですか?」
「別に。」
「……あの…怒ってます?」
「別に。」
事務所に戻って来た鷺沼を迎えたのは相方の佐貫。どんな呼び出しで行かれたのか気になって質問してみたが答えて貰えず、頭を垂らしていた。
話は早めに切り上げて来たので昼食まで時間があり、偽工作でカラスの資料を一から作らなくてはならなくなった鷺沼は、自分の席から余り動こうとせず、珍しく休憩を取らずに黙々とデスクに向かっていた。
「……なんだこれは……!!」
鷺沼のパソコンにカラスの代名詞と言われている、マークがパソコンにでかでかと表示された。
「どうしたんです?! え、あっ……こ、これって。」
「カラスのマークだ……」
「どうして鷺沼さんのパソコンに?? みんなのパソコンには無いみたいですが。」
「……カラスが予告を出した。」
「それってつまり鷺沼さんがカラスに狙われる対象になったってことですか!」
佐貫の発言に事務所内の人間が一斉に立ち上がり、鷺沼のデスクに集まってきた。
カラスのマークを見た警官たちは次々に鷺沼が殺されるだの、早めに帰れだのと煩く発言する。
「うるせぃよ。俺が狙われる? ハッ、カラス如き俺がその場で即刻逮捕してやるさ。」
「確かに鷺沼さんならやりそうですけど……でも、相手は犯罪者なんですよ!?」
「……俺なんか殺して得する人間は一人しかいないね。」
「誰ですか…?」
「…鳴沢だ。」
デスクに集まっていた警官の一人が振り向くと鳴沢が丁度事務所に入って来た。課長との話は済んだんだろう、警官がその場から離れると鳴沢は鷺沼のパソコンに表示されているカラスのマークを見て、ふっと口元を歪めた。
「ほぉ……ついに貴様に死神が降りたと言う事かな?」
「鳴沢警部補! 鷺沼さんは被害者になるかも分からないんですよ。そんなこと…」
「……何が言いたい、鳴沢。」
鷺沼は苛立つ様子を持っている鳴沢に対し、静かに振り向き鋭い眼光で鳴沢を睨みつけた。
「くくっ。これは失礼。君にはまだ死神は早いかな。だって嫁さんも居ないもんね。」
「………鳴沢。これだけは言っておく。」
「ははは負け惜しみか!」
「あんたに『カラス』は捕まらないさ。」
「何、どういう意味だ。」
鳴沢が怒鳴ると同時に席を立ち、茶封筒を持ちながら課長の席に向かっていく鷺沼。そして茶封筒を課長に放り投げる。
「……なんだねこれは。」
「…1週間の休暇願いです。理由は鳴沢との仕事を望みません。もし課長が気に食わなかったら……『辞職願』と取って貰っても構いません。では失礼します。」
課長は止めず茶封筒を自分の引き出しに仕舞いこんだ。鳴沢は出て行く鷺沼を鼻で笑い飛ばしていた。
********************************
署内の受付で波音と遭遇した。
「サギじゃない。どうしたの?」
「1週間休暇を貰った、もう帰る。」
「え、……どうして、なんで!」
「…………。」
これといった表情は波音は捉える事が出来なかった、いつものクールさ冷静さ、何も不思議じゃないいつも通りの鷺沼。一言二言交わしただけで署を出て行く鷺沼の後姿を見えなくなるまでみつめていた。
「あっ、波音さん!」
走って現れたのは佐貫だった。
「波音さん、今…鷺沼さんと話してませんでした?」
「ええ……でも……もう行ってしまったわ。」
「じゃあ今からならまだ追いつけるか…。有難う御座います、自分追いかけるんで。」
「ちょっと待って佐貫君。」
「……はい?」
波音は自分の胸に手を添えて言うか言うまいか迷っているようだった。
しかし鷺沼の態度より、彼に見えたらしくない表情が心に引っ掛かっていた。
「…サギ……何かあったの…?」
「あ……いえ…仕事上、色々あるんでそれと同じですよ。じゃあ自分追いかけるんで、」
今なら間に合うと急ぎ足で鷺沼を追って行く佐貫。
「サギ………。」
波音も仕事があるのでこのまま静かに署内へ戻って行った。只ならぬ感情を持ったのは久しぶりの事だった。
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投稿者: nightear
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2009/6/12
「二」
ファイナル −犯罪警察−
カラスの出現場所ではカラスに殺されてしまった被害者の現場検証が行われていた。それらの指揮を取っているのが鳴沢警部補。鷺沼と佐貫の上司で、余り会話対象に入らない優秀なデカだ。
「あっ、鷺沼さん!」
不機嫌な鷺沼が現場に到着するや、佐貫に声を掛けられるが直後に鳴沢が近寄ってきた。すると突然鷺沼の頬に平手を叩きつけた。
現場内は騒然としたが、鷺沼は叩かれた事に疑問も怒りも感じないまま鳴沢を素通りし佐貫に声を掛ける。
「…カラスの足取りは掴めたのか?」
「はっ、あ、い、いえ……。」
佐貫は平手された鷺沼を見て安易な答えも出せずに、焦りと不安の表情の中、被害者の解剖記録を差し出した。片手で受け取った鷺沼は一通り目を通す。
「解剖記録に書いてある時刻、間違いないのか?」
「確かです! 鳴沢警部補が……」
ケチか文句か付けられたのだと鳴沢が鷺沼に寄って行った。
「…何か問題でも?」
「………間違っている。鑑識に回さなかった理由は?」
「何だと!! 鑑識によって調べられてこその記録だ、貴様は馬鹿にしているのかっ!?」
「ちょっと二人とも…!」
佐貫は二人の揉め事を必死で止めようとしたが、上手く行かず外に放り投げられてしまった。
揉め事は更にヒートアップさせていく。
******************************
「前々から気に食わなかった。それに遅れてやってきて捜査に加わる方がどうかしてるだろ。」
「課長が行けと言っていたので便乗したまでです。遅れてやってきたではなく、課長から判断を受けて下さい。」
「……生意気な口だな!」
鳴沢は鷺沼の胸元を思い切り掴んで、握り拳をつくった手が思い切り頬に食い込んだ。バランスを崩して地面に倒れこむ鷺沼を、苛立つ瞳で見下した。
「どうしてお前が殺人課にいるのか不思議でしょうがない。………帰れ、貴様のような奴は目障りだ。」
「………それは此方も同じですよ。」
鷺沼は佐貫に自分の分の捜査を任せて来たばかりだが、直帰することにした。
*******************************
その後暫らくして時が流れ、20時頃、鷺沼の携帯に連絡が入った。
相手は佐貫だ。
『もしもし、鷺沼さん?』
「………なんだよ。」
『あの…今から鷺沼さんの家にお邪魔してもいいですか?』
「……土産あるんだろーな。」
『もしかして、…酔ってます?』
「切るぞ。」
『あああ、待って下さい!』
「きたきゃ来いよ、…酒忘れんじゃねぇぞ。」
********************************
ピンポーン。
凡そ30分後に佐貫が訊ねてきた。大量のコンビニ袋を下げながら。
「本当に金遣いが荒いっていうか、人騒がせなんだから。お酒、程ほどにして下さいよ?」
「……うるせぃよ。」
「でも鳴沢さん…あんなに怒るなんて…」
「あいつは元々怒りっぽい。下手に刺激しても到底収まりきれない野郎なんだよ。」
鷺沼の鳴沢に対する口振りは鳴沢を良く知っていると言う口振りだった。
「あの、鷺沼さんと鳴沢さんって……」
「………同期だ。」
「うえええ!?」
佐貫が驚くのも無理は無い。
何せ鳴沢は同期の鷺沼をあっという間に追い抜き、警察署長から莫大な恩恵を手に入れ今に至る。刑事から警部になることは早々1年足らずで上がれるものではない。
そこには裏ストーリーがあるのだが、この事は本人達と一部の警察にしか知られていない。無論佐貫は知らない。
「鳴沢さんって頭いいんですね…」
「どういう意味だ?」
「だって自分は鷺沼さんが知的で鮮明な方とばかり思ってたら、それは鳴沢さんのほうだったんだって今気付いて。」
「……何がいいたい?」
少々不機嫌気味になってきた鷺沼が聞き返す。
「……あ、でも自分は鷺沼さんの相棒から離れることは決して…」
「………佐貫。」
鷺沼の視線は佐貫にショックを与えた。
「す、すみませんすみませぇええん!」
「………佐貫、酒が切れた、買って来い。」
札を握らせて買いに行かせようと企む。
佐貫は何となく居づらくなったのでパシリに出かけた。
*******************************
パシリに行かせてから鷺沼は暫らく酔いも酔いで横になっていた。
ふと目線上に一つの写真立てが目に止まる。
警察になりたての頃、同期の鳴沢と一緒に警察署前で撮った写真だ。
「………鳴沢、あの事件で一番変わったのはあんただな。」
思ってたことがポツりと言葉になって出ていた。
*******************************
何時の間にか眠っていたらしくテーブルの上には佐貫の書置きが置いてあった。
『お疲れの様なので買ってきたお酒は冷蔵庫に仕舞っておきました。健康には気をつけて下さいよ、冷蔵庫の中……何も入ってなかったのにお酒だけって。それはいただけないですよ?』
「何だあいつ、俺の親のつもりか馬鹿。」
朝方4時。冷蔵庫から紙パックの牛乳を取り出しコップに注いだ。その時携帯が鳴り響く。
「…………はい、」
『コードネームを答えろ。』
「………カラスだ。」
『OKカラス。先日は良くやった。今回はそう上手く行かないかもしれん。では依頼内容を伝える。』
それから20分くらいして漸く電話を切った。
時間が早いが署へ出勤するべく身なりを整え、牛乳を一気に飲み干したあと家から出た。
*********************************
署に向かう道中、波音と会った。
「サギ、おはよう。」
「…………ああ。」
「もう! 朝の挨拶くらいちゃんとして! 1日持たないわよ。」
「…朝から騒ぐな。頭に響く…」
「頭? 響く?? ……!? 酒クサッ。もしかして二日酔い?」
「……………。」
波音は先日の鷺沼と鳴沢の揉め事について実は聞いていたので心配はしていた。
しかし酒で誤魔化し出勤してきた鷺沼に対し、同情のカケラすら消えていた。
受付嬢の波音とは入り口で別れ、事務所に入った鷺沼のデスク上に課長からの伝言がおいてあった。
「…………鳴沢のことか。」
朝からこんなに不機嫌になるとは思いもよらず、恐らく先日鳴沢が課長にチクったのだろう。でなければ此処まで呼び出しの伝言はしないはずだ。
鳴沢がこんなに鷺沼より延びた警察であることは誰もが認め讃えたこと。しかし鷺沼からしてみればその事件のきっかけとなったことが既に悪夢の始まりだった。
「あれっ、早いですね鷺沼さん。」
「佐貫……胃薬持ってないか?」
「えっ! あ、待っててください。」
突然の発言に佐貫は事務所を一旦出て、胃薬を探しに行った。その隙に『カラス』の仕事を先に済ませておく。
自分のパソコンに入っている『カラスの資料』を無かった事にする。これはつまりカラスに中身を盗まれたとセッティングしておく為だ。そしてカラスがパソコンに触れたかどうかの指紋だが、指紋を拭き取ったように見せかけておくのも一つの手である。
ひいひい息をつきながら佐貫が胃薬片手に戻って来た。
「波音さんに借りてきました。鷺沼さんが苦しんでるって言ったら即刻渡してくれましたよ。全く…お酒の飲みすぎなんですよ、わかってます? 自分で。」
「悪いな。」
悪いといいながらも悪びれた様子を一切見せないで2錠頂いて置く。
が、胃薬はアリバイを誤魔化す為ではなく、単に佐貫を事務所から払う為だった。
そして改めてパソコンを起動しカラスの情報を引き出すフォルダを選択。勿論先ほど証拠を全て消した為に何も残ってない。
「佐貫。お前……」
「はい?」
「カラスの資料、盗んだか?」
「どうして鷺沼さんのところから盗まなきゃいけないんですか!?」
「……なくなってるんだよ、俺の引き出しから……」
「それってつまり……」
「やられたな、カラスに。」
佐貫が顔面蒼白になりながら鷺沼のパソコンからカラスの引き出しを探ってみる。佐貫自身のパソコンにもしかしたら転送されているかもと思いきや、結果何も出てこなかった。
この朝方の騒動は本日始まる騒動の幕開けに過ぎなかった。
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投稿者: nightear
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2009/6/4
「一」
ファイナル −犯罪警察−
ファイナル −犯罪警察−
この物語はフィクションです。登場名、場所、全て架空とされています。
***************************
長柄(ながら)警察署
殺人、犯罪取調室202号室。
「白状しろ! お前しかやってないんだよ。」
取調室で如何にも声を張り上げ、机をドンドン叩き怒鳴り散らす刑事が一人。
椅子に座っている犯人は聞き飽きた表情で顔を背け、小指で耳を穿(ほじ)る。
そこへ一人の男が鑑識を連れ、室内へ入って来た。
「鷺沼さん、やっと来てくれたんですね。待ってたんですよ。こいつ、何も白状してくれないんです。」
鷺沼(さぎぬま)と呼ばれた男は、犯人の目の前に腰掛けた。
「……鑑識。」
「はっ。」
指を鳴らし一緒に入って来た鑑識を隣に置き、証拠品を犯人の目の前に叩き付けた。
「最後の最後、ミスをしたみてぇだな。これがあんたを犯人を結びつける最後の証拠だ、しっかり目ん玉開きやがれ。」
鷺沼が鑑識に出させたのは犯人が逃走の際、現場に置き忘れた証拠品だった。ビニールに入っていた証拠品は犯人が犯行時に用いられた果物ナイフ。その刃には被害者の血がべっとりと付着していた。
「!!!」
犯人は明らかに動揺した。
「こいつが現場から発見されなかったら、俺たちはあんたを見逃していたかもしれない。あんたの指紋だらけのナイフ……見つけるのに苦労したよ。」
「…お、俺じゃねぇ! 確かにこのナイフを触ったかもしれねぇ! だが…俺じゃない、人殺しなんか出来るタマじゃねぇんだ。信じてくれ、なぁ、信じてくれよぉ…」
「……連れて行け。」
「はっ。」
部屋の前に待機していた警察官が嫌々首を振る犯人を連れて行く。室内には安堵感が漂い始める。
「鷺沼さん流石です。」
「……ま、ナイフ一つのお陰ってのもあるがな。それより佐貫、これから暇か?」
佐貫(さぬき)と呼ばれた男はコクリと頷いて見せる。
暇と言っても外出に出るわけじゃない、ただ一服するだけだ。
殺人課の刑事は殆どがサバサバしており大抵仕事を優先として、あちこち駆け回るのだが彼ら二人は、特に熱中する訳も無く自分の時間も大切にしている。
署内に設けられた喫煙所に入る二人。
すると先に来ていた人物が二人に声を掛けた。
「あら、取調べお疲れ様。」
「波音さんお疲れ様です。」
「………」
波音志保(なみね しほ)、署内の受付担当嬢である。署内の男性陣の半数は少なくとも彼女に惚れている噂があるくらい美人だ。
「サギ、お疲れ様も言わないのね。」
「………ふぅ。…ん? 何か言ったか?」
煙草の煙を吐き出しながら、目だけを波音に向ける。波音はそんな鷺沼のことを実は気にしていた。
だが鷺沼は一切として壁を作っているらしく、これまで告白を受けるも全て断ってきた硬派でもある。これまで告白回数は20以上と聞く。
こんな硬く無愛想な男がどうしてもてるのか、他男性陣は理由が分からない。
「ま、いいわ。素っ気無いのはいつもの事だしね。」
「波音さんは今、休憩中ですか?」
「ええ。軽食を済ませたところで…あと10分もしない間に戻るけど。」
佐貫と波音の会話が弾んでいるかと言えばそれは嘘である。佐貫が単に彼女に惚れているだけだ。波音は直に喫煙所を出て行った。彼女も色々忙しいのだ。
「ああ……波音さん、なんて素敵なんだ……。鷺沼さんと一服する度に会えるって素晴らしい…。」
「………ただのツッパリ女の何処が素晴らしいのか分からん。」
「鷺沼さんだけですよ? 波音さんの女性らしさが分からないのは!」
適度な一服を終えた二人は事務所へ戻った。
*******************************
事務所には課長がふんぞり返りながら二人の到着を心待ちにしていた。
「鷺沼君、佐貫君。ようやく待ち侘びたよ。」
「待ち侘びた??」
佐貫が課長に聞き返す間に、鷺沼は自分の席についてパソコンを立ち上げていた。
「課長、何に待ち侘びたんですか?」
「分からんか佐貫君。『カラス』だよ、カ・ラ・ス!!」
「…!? もしかして凶悪犯罪者『カラス』のことですかっ。」
課長と佐貫の話がヒートアップしている最中でパソコンを立ち上げていた鷺沼が、今月、市内に出没しているとされる凶悪犯罪者、通称『カラス』の目撃された場所を瞬時に印刷し、課長の机にそれを置いた。
同様に佐貫にも同じ紙を渡す。
「…うっ、うわぁ。こんなに出没してるんですか!?」
「最近じゃあ市内の至る所で目撃されているな、商店街や駅なんて人通りが多いのを知ってわざわざ足を運んでいる。……警察の目、云々よりも警察をおちょくっているとしか考えられない。」
「そうだな、鷺沼君の言う通り。で、此処で君らの出番って訳だ。」
嫌な予感がするのにも関わらず課長の話は一通り聞いた。
内容は二人に『カラス』の逮捕を命じた。すんなり捕まえさせてはくれないのは分かっているが、二人しか頼めないと課長は言う。
「鷺沼君、佐貫君。『カラス』に関する情報を集め、逮捕してくれたまえ。」
「……二人だけでですかぁ?」
佐貫はこの依頼に心なしか嫌気を差していた。
しかし何も動じず頷いたのは鷺沼だ。
「…ま、退屈しのぎにはなるんじゃないか?」
「退屈しのぎって…! 鷺沼さん、刑事でしょ。刑事に退屈なんて…!」
「………やるかやらないかは自分が決めればいい。俺は退屈しのぎに調べさせて貰うよ。」
課長に視線を移さないまま、印刷した資料をファイルに閉じて外出用鞄に入れる。
「じゃ、ちょっくら外行くわ。」
「え…鷺沼さん!?」
佐貫の間抜声を何とも思わず署を後にする鷺沼。
*****************************
外は快晴。外出には持って来いの天気だ。
署の前ではありきたりにも人通りは少ない。巡回中の警察が職務を終えて戻ってくる。
「……………退屈しのぎ…ねぇ。」
鷺沼は自分で言っておいて苦笑いを溢した。
そして適当に歩きながら先ほどファイルしたカラスの情報を取り出せば、署から離れた普段人が歩かない路地裏へ向い、棄てられているゴミの中にカラスの資料をビリビリに破き、棄てられたゴミ山へと落とす。
鞄から【仕事用】を取り出すと、身に装備した。
そう、警察で働く刑事こそが凶悪犯罪者カラスの正体。
鷺沼統夜(さぎぬま とうや)、表の顔は犯罪者を取り締まる刑事なれど、裏の顔は誰もが恐怖に慄(おのの)く凶悪犯罪者『カラス』なのである。
*****************************
市内、とある場所。
ゴミ処理場のみえる近く、一人の若い男がエアガンを向けていた。
「そ、そ、そ、そんな脅しに引っ掛からねぇ!」
「……脅しじゃない。そして寧ろ助けてやろうとは思ってない。」
「ふ、ふざけんなぁぁぁ!!!」
男はエアガンを発砲した。
だが発砲する前にカラスの構えた拳銃から煙が泳いでいる。男は急所を貫かれ死亡した。
「カラスに感情はない。…そしてカラスは自分しか頼らない。死に逝く者には何を言っても無駄だがな。」
カラスが人を殺した時に必ず置くものがある。それは自分が犯行を認めると同様の意味を持つ、カラスの柄が刺繍されている小さなハンカチ。
*****************************
「またカラスだとっ!!」
長柄警察署にて、課長が受けた電話からの情報だった。それと同時にして、鷺沼は帰宅する。
「……?」
「鷺沼君! ゴミ処理場から半径500m間にてカラスが現れた。殺人だ、奴は久方ぶりに帰って来たと思ったら殺人を犯した!」
「凶悪犯罪者ですから殺人は当たり前じゃありませんか。」
「鳴沢警部補が現場に行っている、佐貫君も其方に向かった様だ。鷺沼君は行かないのかね。」
鷺沼はパソコンを開くと沈黙を守り続ける。
退屈しのぎついでにしては、積極的ではない鷺沼の態度に課長はこう言った。
「命令だ、鷺沼君。君も現地に行きたまえ。」
「………了解。」
立ち上げたばかりのパソコンを放棄して席を外すと振り返りもせず、
「現場検証に鳴沢警部補が向かったから必要ないのかと思っただけです。…佐貫が向かったなら向かわざるを得ませんね…。」
僅かに苛立ちのある感情を催した発言だったが、命令なら行くまでだ。支度を済ませると急ぎ足で現場へと向かった。
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2009/6/3
「新ネタ発案」
鷺沼統夜 さぎぬま とうや −サギ−
男 27歳 表向きは県警の刑事
裏では銃刀法違反とされ追われ身 −カラス−
この物語は暴力や殺人などといった、グロ系を重視に展開される内容になることは間違いありません。
サギの視点で話を進めていくにあたり、誰がどんな経緯でサギと知り合っていくのかも求められることになります。
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投稿者: nightear
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