2011/4/15  22:18

夜明けに紡ぐ夜想曲 遊兎10  

顎鬚を撫でながら2人へと問いかける。それに応えたのは、珍しく暁だった。
「ルシファの件ですね。」
「そのとおり。どこの輩かはしらんが、どうやらルシファを復活させる計画を立てている奴らがおってな・・・おぬしらには、この学園に保管されているある「書物」を守って欲しいのだよ。」
その言葉に、2人はただ小さく頷く。
自分たちの師から何度も聞かされてきたこと。そしてそれをいつか守るために、自分たちは師の下で修行をしてきた。
それはある種、2人にとって“義務”だ。
「しかしこの事は他言無用だ。あまり生徒たちに不安を与えたくはないからなぁ。」
「「わかりました」」
「それと、書物の場所だが・・・お前たちにはワシの魔法で教えよう。学園内に内通者がいないとも限らんのでな。」
老人はそういうと立ち上がり、2人の額に手をかざす。
瞬間、知らない場所が頭の中に浮かび上がる。そしてその場所への行き方も、全て頭の中へ情報として入ってきた。
一通り場所と学園内の地図を頭に叩き込み、老人―――学園町の手が離れていく。
「では、頼んだぞ・・・神楽の弟子よ。」
「「はい!!」」
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2011/2/27  21:58

月夜に紡ぐ夜想曲 きのこ9  

その学園の中心にある建物の一室の前に二人はたたずんでいた。
「ここが学園長室だよな?う、なんかこの感覚前もあったような・・・」
そう、1週間前の王にあったとき以来の感覚。その感覚を暁は再び感じているようだった。
「それにしても、なんで偉い人の部屋のドアって威圧感がすごいんだろうな」
暁は怪訝そうに横に立っている輝夜にたずねた。
「逆に威圧感があるから意味があるんじゃないかな。侵入者を近づけないようにとか・・・」
そう説明する輝夜を見て暁は納得したようにうなずくと「よし、じゃあ入るか」と言ってドアに手をかけた。
「「失礼します」」
そう言って部屋に入ると一人の老人と若い女性がいた。この学園の長とその側近のようなものだろう。
少しの沈黙が辺りを支配した。それは暁が嫌いな口を開きづらい気まずい雰囲気だった。
「よく来たな、話は王から聞いておるな?」
先に沈黙を破ったのは彼らの目の前にいる老人・・・学園長だった。
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2011/2/27  21:57

月夜に紡ぐ夜想曲 遊兎8  

そしてあれから1週間後・・・・・・

夏が間近に迫ったこの季節を感じさせる、澄み切った空気があたりを包み込む。
2人が歩いているのは、両側に植えられた木々たちが木漏れ日をつくるそれなりに広々とした道。その道の奥には、レンガ造りのように見える大きな建物がそびえていた。
そんな道を歩きながら「春に来たかったな」と、輝夜は隣を歩く暁には聞こえないように小さく呟く。
師匠である神楽から聞いたことがある「春に咲く桃色の花」。それがこの両脇に生える大きな木々たちらしい。輝夜はその花のことを聞いたときから一度見てみたいと思っていた。だけど・・・この季節ではもう散っている・・・。自分の力でなら、もしかしたらもう一度咲かすことが出来るのかもしれない・・・けれどそれでは意味がない・・・。
「国立魔導学園(アカデミー)メリアース学園・・・もっとも古い魔導学校・・・。」
6校ある魔導学校の中でもっとも古い歴史を持つエリート校。
師匠である神楽もここの出だ。
「それにしても・・・大きいね。というか、敷地広大?」
それもそのはず、この学園は王家より敷地が広い。各学年ごとに棟分けされており、さらには実習棟や管理棟、生徒寮なども完備されている。
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2011/2/27  21:56

月夜に紡ぐ夜想曲 きのこ7  

暁は隣に居る友人の口調にハラハラしながらも、王の口から出た『ルシファ』という言葉について考えていた。
『ルシファ』・・・かつてこの世を滅ぼそうとした存在。
その最悪な存在についての重大な話、いったいどんなことだろう。
「ルシファの封印を解こうとする輩がいるようなのだ、それが組織なのか単独なのかは分からん。しかし、狙われてることは確実なのだ。」
王は淡々とした口調で告げた。少しの沈黙の後、暁が口を開いいて王に問いただした。
「それで、オレ達にソイツを倒せって言うんですか。」
暁の顔からは緊張が消え、先ほどまでの態度が嘘のように真剣な眼差しで王を見ていた。
「倒せとは言わん、ルシファの復活を阻止してほしいのだ、頼めるか?」
輝夜と暁は互いに顔を見合い同時にうなずくと
「「まかせてください!」」
と王室中に響く声で答えた。
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2011/2/27  21:54

月夜に紡ぐ夜想曲 遊兎6  

「失礼だろ!!」っとハラハラしている友人には気付かないフリ。押し付けたほうが悪いのだ。
「そのことだが、お前たちにはメリアース学園へ入学して欲しい。」
「「え?」」
王の言葉を2人は理解することが出来なかった。「入学」という言葉に疑問しか浮かんでこない。
「えっと・・・なぜ?」
かろうじて動く口を必死に動かして、輝夜は言葉を紡ぐ。それでも一言呟くのでやっとだったが・・・。
「ふむ、お前たちは「ルシファ」を知っているな?」
「えぇ・・・そりゃまぁ、有名な話ですし。それにボクらは“そのこと”に関しては耳が痛くなるほど聞かされてきましたし・・・」
「それなら話は早い。お前たちの入学の目的はその「ルシファ」に関してのことだ。」
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