僕らは仕事で地方に行くと色んな所に泊まることが出来る。
だが、決して楽しいことばかりではない。
・・・あの仕事は季節で言えば暑い季節だった・・・
最寄駅までは現地の方が出迎えに来てくれていて、車で現場まで連れて行ってもらった。
「あんまり天気はよくないけど、少しの雨だったら唄ってもらいますから〜!」
(雨が降っても僕らは構わないのだけど、お客さんが濡れてしまうし、機材がぬれても困る。どうしても晴れてもらわなければ・・・)
・ ・ ・ ・ ・雨は・ ・ ・・・止まなかった・・・それどころか雨粒はさらに大きくなってきた・・・・・・
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「だめだや〜! 誰も来ないよこんな天気じゃ! 」
出店のおじさんがびしょ濡れになりながらテントを片付け出した。
暫くすると、祭りのイベントは中止との知らせが入った。
この雨では唄っても雨音にかき消される事だろうし、何より誰一人観客は居ないのだから・・・
道端に貼られている【仲代秀司】のポスターが少し悲しげな表情をして本人を見つめた。
(ドンタク)と聞いたら忽ち喜んでしまいそうだが、このままギャラだけ頂いて「ほな、サイナラ!」ではあまりにも気の毒だ。
しかも予定では一泊のスケジュールだし・・・
場所を公民館に移し、関係者が集まった。
僕のズックは2倍の重さになり、夏だと言うのに震えていたのを思い出す。
だが、皆さんに手厚く扱っていただいて、さらに申し訳ない気持ちがわいてきた。
(お寿司)と(お刺身)とても美味しかった。
元来(ビール)は「ノーサンキュー」なのだが、あまりにも若くて可愛い女の子達にすすめられた為、3本くらい一人で飲んでしまった。
「これは夢じゃないのか!? この方々はもしかして僕を北○三郎さんと勘違いしているんじゃないか? まるで殿様扱いじゃないか!!」
宴は最高潮に達した。いつの間にか(マイク)片手に僕はカラオケをやっていた。酒の飲めない僕が酔っ払って(北海男船)を唄っていた。
全然疲れていなくてまだまだ遊んで?いたかった。しかし時刻は止まってはくれない。渋々、仕事もせぬまま宿泊場所に案内された。雨が降っているし後は旅館で明日を待つしかない。
車がブレーキをかけた。
目の前には大きな洋風の古いホテル?がそびえていた。だが、今日の流暢な流れ的にその少し気味の悪い建物が今日の寝床だとは微塵も感じなかったそのお馬鹿さんは顔を引きつらせ敷居を跨ぐこととなった・・・・
【編集後記:「その不気味(失礼)な旅館ではあまりの退屈さでテレビをつけていたが、電波が悪いのか画面は砂嵐状態。興奮がさらに高まり、朝まで飲めないビールをずっと飲んでいたもんさ! 幽霊? 信じないよ! そんなもん。居れば目の前に出てこいっての・・!!」と仲代氏は未だに強気な発言を繰り返している・・・】 浦島太郎のような物語でしたとさ。