2009/11/6

無防備  邦画

Naked of Defenses (2009) 
Director: Masahide Ichii 
Country: Japan 
Rating: 33/100 


『無防備』 33点 
ビデオ作品◆ハンディカムとファイナルカットさえあれば、映画を作る事が出来る時代。いわゆる“自主映画”だって、海外の映画祭で上映される時代。映倫審査を通して、木戸銭1,800円で興行する時代。…佳き時代を、素直に喜びたい◆意図的にレイドバックしている作品では無い。オントップで描くスキルが無いだけだ。感情が決壊する瞬間、命が湧き上がってくる瞬間…。時間を捉えるのは、構図では無い。編集(繋ぎ方)なのだ◆8ビット・シングルタスク自主映画。



2009/11/4

パンドラの匣  邦画

Pandora's Box (2009) 
Director: Masanori Tominaga 
Country: Japan 
Rating: 60/100 


『パンドラの匣』 60点 
個性的な美女たちのアンサンブルが、目にも麗しい。川上未映子と仲里依紗のキャスティングは、大正解◆舞台となる非科学的でインチキ臭い結核療養所「健康道場」は、アラン・パーカー監督『ケロッグ博士』の「バトルクリーク療養所」を思い起こさせる。本作に「エロ・グロ・ウン・ゲロ」は不要だが、それでも、もう少々淫靡な雰囲気が行間に漂えば、と思う◆遠近感の無いアフレコ音声は、台詞とボイスオーバーのコントラストを弱め、音楽を薄めてしまう。



2009/10/28

ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜  邦画

Villon's Wife (2009) 
Director: Kichitaro Negishi 
Country: Japan 
Rating: 37/100 


『ヴィヨンの妻
〜桜桃とタンポポ〜』 37点 

大き過ぎる芝居は臭いがキツくて厭なものだが、かと言って、本作の浅野忠信の芝居は、小さ過ぎて客席まで届かない。妻夫木聡や広末涼子といったテレビ俳優の未熟さは言うに及ばず、松たか子のダラシナイ口元からも、健気さや品位は感じられない◆居酒屋の酔客たちの一本調子な描き方、浅野が抽斗からカネを抜き取るシーンのベタなカット割り、立ち話で終わるラストシーン…演出も冗漫。



2009/10/25

激情  洋画

Rabia (2009) 
Director: Sebastián Cordero 
Country: MX | ES | CO 
Rating: 50/100 


『激情』 50点 
前作『タブロイド』に引き続きプロデューサーとして参加しているのが、ギレルモ・デル・トロ監督。見方によっては、本作も彼の『デビルズ・バックボーン』や『永遠のこどもたち』と通底する「“家系”地縛霊映画(デル・トロ節)」と言えるのかも知れない◆殺人行為そのものより、事後に行われる偽装工作の描写が出色◆諸般の事情により編集段階でカットしたそうなのだが、張った伏線を回収せず放置するというのは、如何なものだろうか? 【第22回 東京国際映画祭】

「コンペティション」部門・審査員特別賞



2009/10/23

旅人  アジア映画

A Brand New Life (2009) 
Director: Ounie Lecomte 
Country: France | South Korea 
Rating: 80/100 


『旅人』 80点 
HD(Panasonic Varicam)撮影、35ミリ(1.85:1)上映◆イ・チャンドン監督がプロデューサーとして参加している事を知り、脊髄反射的にチケットを購入◆エリ・エリ・レマ・サバクタニ(父よ、何ゆえに我を見捨てたもうや)…孤児院に引き取られる事となった9歳の少女が、新たなる人生を歩み出すまでを描いた物語◆主人公(キム・セロン)の演技が秀逸。同情するより応援したくなる。映画と観客が対等に向かい合う、清々しさを再認識。 【第22回 東京国際映画祭】

「アジアの風」部門・最優秀アジア映画賞



2009/10/21

クヒオ大佐  邦画

The Wonderful World of
Captain Kuhio
(2009) 
Director: Daihachi Yoshida 
Country: Japan 
Rating: 22/100 


『クヒオ大佐』 22点 
ビデオで撮影してフィルムに変換するキネコ独特の、滲んだような映像が汚い。そのくせ、被写体のエグ味だけはリアルに捉えるから始末に負えない。中村優子の小皺や歯並びの悪さが無意味に醜く映り、厭になる。あんな撮り方をされる女優サンが気の毒だと、心底思う◆岡本喜八リスペクトの序章には、一瞬心躍ったのだが、LAロケの部分は、完全にバブル時代の広告屋の、イビツな成金趣味。



2009/10/19

エリックを探して  洋画

Looking for Eric (2009) 
Director: Ken Loach 
Country: UK | FR | IT | BE | ES 
Rating: 65/100 


『エリックを探して』 65点 
"It all began with a beautiful pass..." エリックって、マンUのエリック・カントナの事だったのですね◆昨年はマイク・リー、今年はケン・ローチ。巨匠の新作と言えども日本公開の目処が立たない場合も有るワケで、WORLD CINEMA部門での上映は、当に映画ファンへの"beautiful pass"となるワケです◆同様の発想でウディ・アレンが脚本を書くと『ボギー!俺も男だ』になるワケですが、当然"I am not a man. I am Loach"なワケで…。 【第22回 東京国際映画祭】



2009/10/14

空気人形  邦画

Air Doll (2009) 
Director: Hirokazu Koreeda 
Country: Japan 
Rating: 48/100 


『空気人形』 48点 
劇中、「観客の耳に残れ」とばかりに鸚鵡返しされる映画タイトル…『蜂の旅人』。取澄ました顔付きで映画を撮っているテオ・アンゲロプロスも、実はセルジュ・ゲンズブールやロマン・ポランスキーと同じ穴の鬼畜であることが判った驚愕の作品でありました◆『蜂の旅人』…自らもワン・オブ・ゼムであるという事を暗にカミングアウトする為に、是枝裕和が台詞の中に埋め込んだ符牒なのだと思う事にします。…マルチェロ・マストロヤンニになりたかったのですね。



2009/10/9

アニエスの浜辺  洋画

Les plages d'Agnès (2008) 
Director: Agnès Varda 
Country: France 
Rating: 67/100 


『アニエスの浜辺』 67点 
映像作家の、映像によって紡がれた自叙伝。所謂、ドキュメンタリー映画ではない。客観性無しの自作自演。従って、美化されている部分や、触れない事によって隠されている部分も当然有る筈だ◆さすがに、ジャック・ドゥミが「誰か?」ぐらいは知っていた方がいいと思うが、ヌーヴェルヴァーグが「何か?」なんて知らなくても充分楽しめる、見事なエンターテインメントだ◆ジャン=リュック・ゴダールが作る、衒学的引用だらけの映画より100万倍面白い。 【試写会】



2009/10/8

私の中のあなた  洋画

My Sister's Keeper (2009) 
Director: Nick Cassavetes 
Country: USA 
Rating: 74/100 


『私の中のあなた』 74点 
アビゲイル・ブレスリンのチャーミングなボイスオーバーに、本編開始早々ノックアウト。背景に流れる美しいメインタイトル・シークエンス。デザイナーは、名門イマジナリー・フォーセズのアーメット・アーメット。…この手の演出は、MTV世代の涙腺を速効で弛緩させます。起承転結、理路整然とジワジワ攻めて来る作劇には共鳴し辛い世代に有効なのです。かつて、ジム・シェリダンの『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』でも、同じ手口にハマリました。 【試写会】