毎月、定例常務会後は
新聞の原稿書きに追われ、
その合間に他の仕事も進めるので、
追いかけられるような感じで、
時間の使い方に余裕がなくなります。
従って、この時期は
「ちょっと一本」の映画もなくなり
(観ても寝てしまいますから)
ブログも短くなります。
そうそう、先日、
「最近ブログが短いですが、
体調でも悪いのですか」
という問い合わせがありました。
「事務局長のブログは長い、
と言われたので、
短くしているんです」
と答えると、
「えっ、長いなんて思ったこと、
一度もありませんよ。
短いと、何かあったかと心配します」
と。
長くて叱られ、短くて心配され。
どうしたらいいんだ。
最近、アクセス数が増えてまして。
検索ワードを見ると、
「大川わたり」とか「AIG」とかいう言葉があり、
そうやって検索でやってきた方が
結構沢山のページを読んでいくようです。
どうして分かるかというと、
アクセス解析をすると、
訪問回数の少ない方が見ているページ数が多いからです。
訪問回数が10回未満の方が
1年前や2年前のブログをじっくり読んでいたりします。
実は、
何年何月何日のブログを何秒間読んだかまで分かります。
分からないのは、
どこの誰かということだけ。
何を読んでいるんだろうと、
その日にちに行ってみたりすると、
ああ、こんなこと書いたな、
こんな写真が出ている、
などと、
まるで押し入れの中から出て来た
古い日記帳のよう。
昨年のローマの写真など面白いことこのうえない。
あ、いけない、メキシコがまだ終わってない。
と、へんなことに気付いたり。
などと暇つぶしもしています。
で、
書籍の紹介。
先の
直木賞受賞作。
芥川賞でも直木賞でも
読んでみて「何でこれが」と思うものが時々ありますが、
これも、その一つ。
とにかく
つまらない。
長崎の廃坑の島に住む女性養護教員と夫の画家の生活。
そこにやって来た男性教員との淡い心の交錯。
ちょっとコケティッシュな同僚がいて、
そこに東京から通って来る愛人がいて、
などと聞いて、既につまらないでしょう?
アメリカの作家だと、
雰囲気一杯の面白い小説になるのですが、
日本なので、淡々とした、水彩画の、特徴のない風景画のよう。
人間の内面も深く描くわけではないから、
行間を読まないとならない。
まるで詩のよう。
そういえば、この作者・井上荒野のお父さんは
詩人・井上光晴だった。
選考委員の選評を読むと、
積極的に推している気配がない。
なのに、受賞。
「受賞に異論はない」などという選評が複数ある。
父親が高名な詩人だということに幻惑されているのではないかと
あまり上等ではない推測をしてしまう。
選考委員の中に「桜の園」に模した方がいたが、
そういえば、事務局長はチェーホフ、苦手だった。
今までチェーホフを観て、
良いと思ったことがない。
とにかく、ストーリーが平板で
人間の厚みがない。
案外映画にして
うまい役者が演ずるとキャラクターが立ち上がるのかもしれないが。
何かと性の問題に持っていくのもどうかな。
先日読んで、あほらしくて紹介もしなかったが、
大石静の「四つの嘘」というのもひどかった。
ドラマの初回を観て、
設定が面白いので読んだが、
あんまりばかばかしくて驚愕。
女子高生の時の同級生が中年になってから、
ある事件をきっかけに再交流するのだが、
登場人物がことごとく頭の悪い行動をする。
その逃げ場が全て性だとは。
そんなことにしか興味がないのか。
男性作家が書けば、
単なるポルノ作家にされてしまうのに、
女性作家が書くと「性の深淵に迫る」となるのは、
どこかおかしくないか。
題名の
「切羽へ」の切羽とは、
トンネルを掘り進む時の一番先のこと。
トンネルが繋がれば切羽はなくなるが、
掘り進んでいる間は、いつも一番先が切羽。
なにやら象徴的だが、
別にそれが生きているわけではない。
つまらない小説を紹介したので、口直しに↓を。
これは
すこぶる面白い。
この作者は先日の「Fake」が「スティング」であるように、
名作映画の自分なりのリメイクを企んでいるようで、
本作は題名で分かるとおり、「大脱走」のリメイク。
リメイク、というも妙ですが、
まあ、触発されたとでもいいましょうか。
で、「大脱走」をどうしたか。
題名で分かるように、
幕末に持って来た。
井伊直弼が彦根藩主の子弟の一人として鬱々としていた頃、
一人の美しい女性を見そめる。
かなわない恋だったのだが、
数十年が過ぎて、大老として権力を握った時、
その女性の娘の美雪姫と出会い、
魂を奪われた井伊直弼は、
側室にするために画策し、
幕府転覆の嫌疑をかけて、
南津和野藩の家来たちとまとめて捕縛、
姫に側室になることを迫る。
姫と共に51人の南津和野武士たちを幽閉したのは、
切り立った山の頂上にある寺。
三方を海で囲まれたそこは、
絶対逃げることのできない場所。
そこで南津和野武士たちは、知恵を使って脱走を企てる。
大脱走のシチェエーションを作るために
井伊直弼に恋をさせるなど、
無理やりだが、
描写がうまく、
登場人物も立っているから、
実に面白い。
直弼の謀臣長野主善と老臣犬塚外記もうまく配し、
主人公の桜庭敬吾と喧嘩相手鮫島宗十郎、商人の宗達らも生きている。
みんなが守る存在である姫に魅力がないと作品そのものが白けるが、
美雪姫のキャラクターも賢く描かれている。
脱走前日に
突然やって来た危機をどうしのぐか、はらはらさせ、
最後にはあっと言わせる展開に。
その後の直弼と外記の会話にテーマが現れるのも巧み。
後日談の「人物のその後」で
読者をほっとさせるのもサービス満点。
センスのある監督で映画化してもらいたいものだ。