本多孝好氏著
「FINE DAYS」 を読みました。
本多孝好氏は、1971年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。94年、「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。他に「MISSING」 「MOMENT」など。
「FINE DAYS」
高校3年の“僕”と同級生の安井、神部。安井は女子のボス。神部は話し下手な内気な男子。そんなクラスに美人で不思議な魅力を持った“彼女”が転校してきた。“彼女”に言い寄った男が4人も自殺したという・・。
■“彼女”の名前は最後まで不明。安井の方が魅力があると思うのだが、好みは人それぞれか。青春の苦い?思い出。
「イエスタディズ」
“僕”は、癌で余命幾ばくも無い父を、病院に見舞った。父とは対立ばかりして喧嘩が絶えず、1年前に家を出ていた。その父が、父の会社で働く二人の兄を差し置いて、“僕”に頼みがあるという。35年前に別れた女性を捜して欲しいというのだ。しかも、父の子を身ごもっていた事を後になって知ったという。
■本書の中で一番面白い。ミステリー風の味付けに、人情劇のような味わいもある。結末が意外にあっさりしていたのが、ちょっと物足りないが・・。
「眠りのための暖かな場所」
“私”は、法学部の院生。12年前に9歳の妹を殺した。その罪の意識が、“私”のトラウマとなっている。教授から結城ツトムの友だちになってやってくれと言われる。その時から、結城と“私”の不思議な交友関係が始まった。結城に想いを寄せる立川明美、結城を付回す吉本、そして結城の姉・・。
■“妹を殺した”と思い込んでいるが、思い過ごしでは?。<あのこと>が殺したことになるのかなぁ。また、超能力者的な姉の存在。ちょっと納得のいかない作品。でも、主人公の“私”と1作目の安井は言葉遣いが男っぽいところといい、性格なども似ている点が多い。作者はこういう女性がお好みなのか。
「シェード」
“僕”は、彼女の家へ行くときにいつも通るアンティークショップで、彼女へのクリスマス・プレゼントにランプシェードを買おうと意気込んで行ったが、それは売れてしまっていた。仕方なく他の品を捜しに店へ入ると、老婆が店番をしていた。老婆は、売れたランプシェードにまつわる不思議な話を始めた。
■おとぎ話のような味わいの短編。少ないページ数の中に、欲張り過ぎなほど話を詰め込んでいる。ランプシェードにまつわる“落ち”も用意されていて、読み応えがある作品。読後感も悪くない。まぁ、途中から先が読めてしまうが・・。