阿刀田高氏著
「こころ残り」 を読みました。
第 一 話 輝く声
図書館に勤める芳彦は28歳。研究論文の資料のため、本の貸し出しに協力を頼まれ、大学の専任講師の佐伯と知り合った。ある日、食事に招かれ、佐伯の家を訪問するがーーー。
■佐伯の奥さんが「あなたァ、裸ですよォー」と美しい声で叫ぶ。意外な結末が。
第 二 話 レモンバーベナ
オフィスの昼休み、女子社員がお茶をいれてくれた。「なに?」と尋ねれば「レモンバーベナです」−−あ、この香りーーぼんやりと女の顔が浮かんだ。
■単身赴任先でのホステスとのほろ苦い思い出。妻には言えない思い出がレモンバーベナの茶葉の香りと共によみがえる。平凡な男の秘密の思い出がせつない。
第 三 話 街の蛍
歌舞伎町の交差点で、中学の同級生だった純二に声をかけられた。飲みに誘われ、そこで子供の頃、坊主めくりでよく遊んだ話になった。坊主を引いたり姫を引いたり・・。でも、結局は最後に姫を引いた者が勝ちなのだ。
■ーーあのとき俺は光っていたーー何度か姫を引いた記憶が甦る。その喜びが如実に感じられる。たとえ、そのあとすぐさま坊主を引くことがあっても、−−いいじゃないかーー純二はそんな人生を生きたのかもしれない。
第 四 話 未来志向の男
昌子は、いきなり結婚を申し込まれた。相手は取引先の男で、北海道の土地を勧めたりする前向き?な変わり者。結婚退職して、偶然再会した男は、今度は月の土地を買わないかと持ちかけてきた。
■いつまでも夢見る男・・・。何だか、ちょっぴり哀しくて、−−−うらやましい。
第 五 話 雪解け
予備校の歴史講師を務める清美は、思い出の越後湯沢駅で降りた。4年前に恋人の藤川と泊まった温泉旅館に行ってみたくなったのだ。だが、そこは記憶とは違っていた。
■最初はミステリー仕立てになるのかと思ったが、肩透かしをくらった。エッセイ風の淡々とした展開。単純なラブストーリーとは、ちょっと違うとは思うが・・。
第 六 話 含み笑い
繁子は夫の健一に死なれて、夫のことをあまり知らないことに気付かされる。健一が浮気していたことも・・。
■互いに興味を持たなくなった夫婦の末路。
第 七 話 スモーカー・エレジー
「フランスでは踏切の遮断機の端っこが五十センチくらいあいているらしい。遮断機は一応降ろすんだ。鉄道会社としては“私どもは安全を考え、ルールとして遮断機を降ろしました。しかし、あなたが自分の責任で自由に通ろうとおっしゃるなら、あえて止めません。どうぞ”ってこと。これがフランス人の心なんだとさ。ルールはルール。自由は自由。いいねぇ」夫の義信は勇んでフランスへ旅立って行った。証拠写真を撮りに・・。
第 八 話 故里まで
第 九 話 魚に染みる海の色
第 十 話 足引山異聞
第十一話 バランス感覚
第十二話 時間がない