ある嵐の夜更けに 忽然として現れた漆黒のちっぽけな化け物
口は耳まで裂け 野卑な顔つきを醜く歪ませ 化け物は呻く
−占者よ!
お前は愚鈍で神経質で その上落ち着く暇もない奴だ
大体お前と言う奴は はらわたの隅々まで鼠の様に薄暗い色をして
まるで埒が明かない
いつまでそうやっている気だ?
お前はそれだから、何につけても半端なのだ―
なんと小癪なことを言う奴!
さてはお前は悪魔だな?
取りとめもないひとり言を 口の中で噛み潰す如く繰り返し
繰り返しては何もない薄暗い廊下を睨みつけ
悪魔よ!
忌々しい悪魔よ!
忌まわしいちっぽけな姿の悪党!
またしても 饒舌な虚言で人の心を惑わすつもりか
それはとっくにお見通し
何もかも承知で生きている
薄暗い心もいずれは晴れる
晴れる前には雨が降るもの
雨が心潤す滋養ならば
ちっぽけな悪魔よ 私は恐れない
運命の埒が明かなくとも
薄暗い運命ならいずれは晴れよう
悪魔よ私は恐れまい 悪魔よ私は恐れまい
額の上で固く固く握り締めた両手に
呪文の如く 呟く時
嵐の後の静けさは戻っていた
開運とは、このようにして行うものだ・・・。