今を去ること、10年前。
今は居酒屋になっている場所に、
K&K占い舘は開業した。
古い常連さんはご存知だが、
店内はオフホワイトを基調とした、
中世ヨーロッパの雰囲気、調度品と花に囲まれた、
神秘的な空間であった。
常に店内ではバロック音楽を流し、
より一層に謎の雰囲気に包まれた空間を作り出していた。
あの頃、お店を21時に閉店すると、
店先に出すポスターを手作りするため、
店内にいたものだった。
作りかけのポスターをかけたイーゼルの前に座り、
或る予感に耽っていたものだった・・。
―せっかく親に資金を出してもらった店だけど、
5年ぐらいでやめることになるかもしれないのに・・。
それに・・もしかして母さんが
死んでしまうかもしれない・・。
それに子供たちとも・・。
愛する恋人も死んでしまうかも・・。
私はひとりになってしまう・・でも、男の子の孫が
私の後を継ぐ―
どこからともなく湧き出てくる鋭い悲しみを含んだ予感。
思うのも嫌だから掻き消そうと思えども
後から後から湧き上がってくる鮮明で鮮烈な予感。
因みにその頃、まだ上の娘は子供を産んでおらず、
この予感の3年後に私は生まれて初めて
孫のお祖母ちゃんになったのだった。
―しかも、孫は男の子・・。
しかも孫が産まれた2年6ヵ月後に最愛の母が亡くなった。
母の死にショックを受けた私は、店をやめてしまった。
開店から5年5ヵ月後のことだった。
これから後、どんな運命が待つやら・・。
今は何となく感じてくる新しい展開。
夢想的な今までの私とはまるで別人の鉄の心を持った
現実主義。だが、人の痛みは誰より知っているその時の私。
幾つか物件を所持していて、住まい、仕事場を使い分けて
動いている・・。
これもすべて、時の流れがもたらした現象。
時が過ぎ行けば、あらゆる物事はすべて、変わり行く。
その時何より大切に思っていた物事やら人も時の流れと共に変わって行く。
場合によっては去って行くし、破壊されたりもする。
だが、遠い過去に、必ずそれらと出会った経験がある。
因果は巡る・・。
時の流れと共に、正確な流れのリズムを以って。
そして私も変わり行く・・。
正確な法則のリズムに誘われて。

0