航介の馬券指南により、周囲は大儲けだ。
ディープスカイを本命にしたヒロ坊とナバケンは、自分の馬券力でめでたく的中させたのだが、狸小路WINSで馬券を購入する際に水道屋の晴彦に遭遇、サダムイダテンを本命にしていた晴彦だったが、パドック映像を見て航介が
「やっぱブラックシェルかなぁ…」
と呟いたのを聞き逃さなかった。二着で複勝だったものの2.9倍を的中させて御の字。
そして極めつけはノリの馬券師、おでん屋修行中の大沢。
短距離重賞を勝っているMを紐に選んだ航介の指南に従い三連単116,880円を千円持っていたっていうものだから…。
その夜は「宴」
テメェの負け分をソックリ「指南料」として補填してもらった航介は、最後まで大沢につきあわされシメに熟女バー。
帰宅後に熟れはじめの藤子にすがりついたんだってか。
大いに盛り上がった祝勝会だったが航介は、浮かない顔つきだった。
そりゃそうだ。
自分だけが外れるなんて考えてもいないからだ。
木曜日には航介の浮かない顔が一転、早くも「鉄板宣言」
なんでも土曜日の東京競馬場、「京王杯スプリングC」のスズカフェニックスにブチハメ込むらしい。
それを聞きつけて金曜日の夜、航介の店に集まってきた馬キチ連中。
「今年に入って一番堅いレース。デュランダル・ダイワメジャーそしてスズカフェニックスってことだ。オメェら頭鉄板で買っていいぜ」
「単勝で100万くらい転がそうかな」
「馬鹿野郎!ふざけるな。いつもの予算で買え!先祖に申し訳たたんだろうが。馬単で6点に流せ。紐は他のヤツに聴け」
「へい…」
GWが終わっての翌週、客足は遠く、暇なヒロ坊も早い時間にやってきている。
「日曜の牝馬GTはどうなんでしょう」
「たぶんとんでもない馬券になるんじゃねぇかな。ウォッカとベッラレイアは馬群に沈むような気がする」
「そう、僕もそう思うんですよ。後藤のブルーメンブラッドあたりが怪しいですよねぇ」
「そうだな…俺も後藤の馬か吉田隼人のニシノマナムスメと睨んでいるんだ」
晴彦が大きくうなずきながらも
「まぁ紐としては、まぁまぁだな。それにしてもウォッカを負かせると本気で思っているなんてオマエら凄いなぁ。四位じゃなくて武豊が乗るんだぞ。まぁオマエらみたいな天の邪鬼がいるから単勝配当もあがってくれるのは嬉しいが…」
二歳時から追っかけ回してきた愛馬ウォッカの単勝にハメ込もうってハラの晴彦。
表情も余裕そのものだ。
「ヒロ坊よ…遊びだな…今週のGTは」
晴彦の余裕に気圧されている航介がヒロ坊に呟いた。
「そうですね。ダービー馬ですものね。我々は明日がありますから」
●京王杯スプリングカップ(GU)
東京競馬場 T1400m
◎スズカフェニックス(武豊)
単勝10万円
複勝20万円
●ヴィクトリアマイル(GT)
東京競馬場 T1600m牝馬限定
◎ニシノマナムスメ(吉田隼人)
単勝2万円
複勝4万円