10月8日(水)
このまえノーベル賞を受賞された小柴先生のお宅に、マスコミの人たちが集まっている映像をテレビで見た。先生はだいぶお疲れのご様子。マスコミの人たちは先生のお宅のテーブルを占領してパソコンで作業をしていて、その後ろで先生の奥様がぽつねんと椅子に腰かけておられる。
マスコミの人たちは遠慮って言葉を知らないのかね。まあ遠慮してたら記者の仕事はできやしないか。でも先生ご夫妻はいかにもお疲れのようで気の毒だった。
さて今年のノーベル物理学賞を受賞した益川先生いわく、ご自分の研究を続けていくことが一番で、それ以外のことはノーベル賞を含めて全て「社会現象です、どうでもいいことです」。そりゃそうだ。ノーベル賞なんてのはノーベル財団が勝手に決めることだもの。
午後6時台のフジテレビ系のニュースを見てたら、益川先生にむかって安藤キャスターが「物理学は、どこが面白いんですか!?」と身もフタもない質問をした。いくらなんでもそんな言い方はないだろう!? すると安藤さんの隣におられた木村太郎さんが、「それほどまでに先生の心をひきつける物理学の魅力とは、どういうところにあるのでしょうか?」などと穏和な感じに言い直した。
でも、まあ、好きなものは好きとしか言いようはない。テレビに合うような美しい理屈は、そこにはないんだよ。
マスコミの人たちって、ニュースの放送枠や番組の流れに合うような相手の「答え」を想定してから質問内容を決めてる感じがある。まあテレビの性質上、それも致し方ないけど、ときどき見ててイライラする。
それに間が合わない。マスコミは「喋る」ことで成立してる仕事だから、それこそ弾丸のごとく質問を繰り出すけど、科学者は「考える」ことが仕事だから、質問を一つ受けるたびに少し考えてから答える。マスコミと科学者ほど両極端なものはない。
一番ひどいなあと思ったのは『とくダネ』の小倉キャスターである。ノーベル賞の賞金は1000万クローネ。これはスウェーデンの通貨で、円に換算すると1億4千万円ぐらいになるらしいけど、受け取る日の相場によっては、もっと安くなるわけだ。
「これは困りますよねえ?」なんて小倉さんは言うけど、円相場のことを言われたって益川先生は答えようがないじゃないか!