7月9日(水)
きのうは夕方6時の仙台放送ニュースでも、午後8時45分からのNHK仙台のニュースでも、「伊坂幸太郎、直木賞予備選考を辞退」の話題をとりあげた。
仙台放送の佐藤拓雄アナウンサーは東北大学卒業だから、同窓である伊坂の動向は気になるのだろう。
「われわれも受賞してほしいという期待をこめて報道するんですが、それが伊坂さんを疲れさせてしまったのかもしれない」といった軽い反省コメントがあった。
NHKは他の文学賞の話題はとりあげなくても、伝統ある(が、権威はほとんど失墜していると私は思う)直木賞・芥川賞だけは必ず報じる。でも今回は、伊坂の山本周五郎賞だか本屋大賞だかの授賞式の映像まで流しての「辞退」の報道。ここまでやるんだ。けっこう驚き。
まあ、いずれにしても、大筋では、共同通信社から提供されたネタをそのまま読み上げている感じ。
「夕刊フジ」の、もうすこし突っ込んだ内容の記事を発見。
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静かになりたい…伊坂幸太郎氏が「直木賞」選考辞退
7月8日17時0分配信 夕刊フジ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080708-00000002-ykf-ent
人気作家の伊坂幸太郎さん(37)が、自作の「ゴールデンスランバー」(新潮社)について、15日に選考会が行われる直木賞(日本文学振興会主催)の選考対象となることを辞退していたことが8日までに分かった。伊坂さんは受賞によって周囲が騒がしくなるのを敬遠し、「静かになりたい」と辞退の理由を語った。
【異例の予選前接触】
伊坂さんは8日、夕刊フジの取材に、「僕の方から言えることはあまりありません。ただ、他の賞と比べて(直木賞は)注目度が違う。今は精神的にまいってしまってもいるので、執筆に専念するため静かになりたいという思いが強かった」と話した。
辞退の意向を伝えたのは、候補作を決める予備選考が行われる前の4月。日本文学振興会が、賞の運営にかかわる文芸春秋の担当者を通じて接触したところ、伊坂さんは「執筆活動に専念したい」と予選の対象から外れることを希望したという。
伊坂さんは言葉少なだったが、直木賞については夕刊フジが5月に行ったインタビューで、「本当に影響が大きいので、(周囲の騒ぎで)小説を書く時間が減ってしまう。有名になることに恐怖があり、無邪気に候補になることが楽しいとはいえない賞だ」と語っていた。
「(受賞で)本を手に取る人たちにはあまり関心がなく、ぼくの本を本当に喜ぶ人には逆に届かなくなるような気がする」とも。有名になって騒がれることには、「精神的にも摩耗してしまうし、そういうのが嫌だから家でコソコソやる仕事を始めたこともある」と話していた。
今期直木賞は候補6作が既に発表されているが、最大の話題作が不在の形で進められることになった。同会は通常、予備選考で6作前後の候補作を決めた段階で各候補者に連絡、候補作となることを受諾するかどうかを聞く。今回のような予選前での接触は異例だという。
直木賞をめぐっては2003年、横山秀夫氏の「半落ち」が候補作となるも、選考委員から「落ちに欠陥がある」と指摘されて落選。読者まで侮辱された−と受け取った横山氏は、同賞との“決別宣言”をして話題となった。伊坂さんは「ゴールデンスランバー」で、直木賞を過去に唯一辞退した山本周五郎にちなんだ「山本周五郎賞」、全国各地の現役書店員による投票に基づいて選ばれる「本屋大賞」を受賞している。
伊坂さんは「死神の精度」などで直木賞候補に5度選ばれた。現在最も注目されている中堅作家の1人で、「ゴールデンスランバー」は、首相暗殺犯のぬれぎぬを着せられた男が仙台の町を逃げ回る長編。昨冬出版され、発行は約25万部。
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自分の存在を広く知られてしまうことの恐怖。『ゴールデンスランバー』にこめられているのは伊坂のそういう気持ちなのかしらねえ……。
きのうの読売新聞朝刊では、伊坂の辞退の話はひとっかけらもなくて、山本周五郎賞の授賞式の話題だけが出た。山本賞選考委員の北村薫が、「(伊坂が)受賞が少ないように見えるのは、ノミネートされる回数が多いからであって、ノミネートを何度もされるのは大変な力量がなければできないこと」といった意味のコメントをしたらしい。
やっぱり文春は『死神の精度』で伊坂に直木賞をあげるべきだったんだ。タイミングを逃したせいで状況が変にフクザツになってしまった。