先週に北西尾根から見てみると、雪なんかまったく着いていなく“真っ黒”だった。
でも今年の計画は遂行しなけりゃ気が済まない。乾いてボロボロの岩稜は無理としても、ルンゼからなら登れるんじゃないだろうか?
とりあえずの計画として、西壁の第3稜か第4稜、もしくは第3ルンゼということで計画を決行することにした。
今回のメンバーは、S山岳会のsaikoさんと、東京から飛行機で飛んでくるhotakaさん。私はいつものとおり、夜通し走って、土曜の朝に清里入りとなった。
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5/3
13:30 長袖のラガーシャツを着ていると汗がダラダラと流れてくる。林道のゲートで山の用意をしている最中にブヨに刺されてしまい脚が痒い。
とにかく変な季節なのだ!出発する時刻の太陽は高く、日焼け止めと虫除けが必要な夏の陽気。

どこまで歩けば雪が出てくるのだろう?完全に雪が無いというのに林道のゲートは閉まったままなので、8Kmほどの林道を重荷を背負って歩かなければならない。標高差こそ500m程度ではあるが、ジワジワと疲れが忍び寄る。
林道は、cnt.400mより上で雪になったり砂利になったりで、日向にはまず雪はない。ゲートが開いていて、四駆だったら5合目まで行けたのではないだろうか。
16:30 寝不足の私はヘトヘトになって旧清岳荘跡に辿りついた。とりあえずテントを張ってビールだ!
今まで知らなかったが、夏道の方向を見ると西壁が見えている。葉が落ちているこの季節には、こんな所からも西壁が見えるのだった。そして、この時期としては初めて沢音を聞いた。沢は開いていたのだ!
5/4
04:30 自然と眼が覚めた。テントの外を見るとベッタリと曇っている。雲をみると、ところどころ青なのか黒なのか分らない場所があり、雲の動きは速い。少し待っていると黒か?と思ったところは、少しづつ青になっていった。

06:05 旧道の登山道に向かって歩き出す。雪の多い年ならすぐに沢の真中を歩くのだが、沢は所々開いてしまっている。先週歩いた人の情報で聞いてはいたが、その情報よりも融雪は進んでいるようだ。
なんとなく沢中は怖い! 私達は一の沢の左岸斜面を登っていくことにした。山腹の上部には雪もなく雪崩れなどは起こる気配すらない。下二股までの道程約40%の沢は口を開き、残った雪渓は崩壊が心配。デブリで埋まっているだろうと思われた下二股の二の沢出合いも沢が顔を出しているしまつ。

07:00“西壁の門ゴルジュ”に着きホッとする。「このゴルジュに架かるF1が口を開いていたらどうしよう?」と思っていたのだ。夏なら釜持ち3段の滝、越えるとしたら、右岸の壁を登るか、戻って尾根を高巻く。
落ち口こそ不安定な細さとなっているが、なんとか越えられる。ここもあと何日かで滝が顔を出してしまうのだろう。

ゴルジュを越え、夏に第2稜に向かった分岐ははっきりと見えている。でも今回は3か4稜と思っているのでここを通り過ぎる。
沢はズ〜っと埋っているが、F3もF4も完全に顔を出していた。F3は左岸の細い雪を登り、F4は右岸から巻こうと思いスノーブリッジに上がると厚い塊のまま崩壊してしまった。今は渡れるけれど、帰りはどうなっているかわからない。

08:00 F4を越えて広い雪田に出た。後を振り返ると下界は雲海の中だ。今朝のテン場での雲は雲海のギリギリのところだったのだろう。
雲海はオホーツク海から阿寒のほうまで広がっていて、藻琴山の上部だけが出ている。麓にいる人からは斜里岳は見えてはいなく曇り空なのだろうが、ここは快晴で陽射しはギラギラとしている。
ただここで問題が?ちょっと上りすぎているようだ。右手に見えている稜は3稜かと思っていたが、本当は何稜なのか自信が無くなってくる。なんせ、こんなに近くからはっきりと西壁を見たのは初めてだったのだ。

08:40 雪の詰まったルンゼに取り付いた。けっこうな傾斜でジグを切らなければ登ることができない。どこか適当な場所から尾根に上がろうと思っていたが、ルンゼの雪を最後まで詰めてしまい、そこから薮の尾根に上がる。
ここは、4稜のようだ。雪がまったくなく、薮の尾根は細く、所々岩が混じる。もしも雪で覆われ、凍っていたらロープを出したくなるような尾根も今はハイマツを掴んでの木登り状態。隣に3稜のギザギザと2稜のピナクルが見えていて、攀じ登ったら楽しそうに見えるが、今から転進するような位置ではなくなっている。なんだかメンバーに申し訳ない気持になってしまった。


この4稜、稜というには面白くもなんとも無い尾根で、登攀具は全く必要がない。なのに私達のザックには、W仕様ロープやバイル、ハーケンが使われることなく入っていて、単なる重りだ。岩稜登攀の予定はあっさりとハイマツを掴んでのブッシュクライムとなってしまったのです。
「期待してきた、みんな、ごめんなさい」

09:30 ハイマツに覆われたP1417(西壁ジャンダルム)に到達した。1稜の頭はズ〜っと下に見えるが、そこまでの尾根はハイマツの薮となっている。「この薮をパスできただけでも儲け物だ!」と無理に納得する。
ここから本峰までの道程を目で追うと、中尾根は切れ間なくハイマツに覆われている。昨年の9月にここの薮を漕いだときのことが思い出され嫌になるが、残りの標高差は140m、1〜2時間で頂上に到達できるだろう。

アイゼンを履いたままハイマツの薮に突入した。まだ心構えの出来ていない身体での薮漕ぎは辛い。しかしcnt.1450mを越え尾根の南斜面を見て大喜び、夏道の登山道方向に向かって雪がへばりついていているのだ。雪庇の痕と思われるこの雪は夏道に合流するまで殆ど途切れることはなかった。

10:50 上手く雪をつないで斜里岳本峰(1547m)に到達した。先週も頂上に立っていてわかってはいたが、頂上には雪がない。
ポカポカのいい天気で風もなく、頂上標識の岩は日光で暖められ、岩にへばりつくと暖かく眠たくなってくる。

朝にあった雲海はどこかに消えていき、知床、標津、北方領土、阿寒・・・等の山々が見渡せる。そして全ての山は、真っ黒だった。

11:35 随分と長く休んだが、そろそろ下山することとしよう。下山ルートは西尾根を降り、cnt.1450mから雪の急斜面を滑るように二の沢へ降る。
西壁から見た下山ルートは恐ろしいくらいの急斜面に見えていたが、実際にその場にくると楽しそうな斜面。グリセードで降りるのが正解かもしれないが、止まれなかったら危険と思い、私とsaikoさんはアイゼン装着で降りる。hotakaさんは華麗?にグリセードで。

12:30 下山は速い、アッというまにcnt.1200mくらいまで降り、いよいよ滝が現れてくる。
12:40 F4に着いた。朝に崩壊させたスノーブリッジの残骸は水流で融かされてなくなっている。飛沫を浴びながら渡渉し左岸に渡りF3に至る。

“西壁の門ゴルジュ”手前で写真をたくさん撮って西壁のエリアを後にする。「次回はちゃんと岩稜を攀じ登るぞ〜!」
心配していたF1の落ち口の雪は今朝のままで何てことなく通過できた。
13:05 下二股に着きこの山行も終りに近づいてきた。私が、一の沢の左岸に渡ったところで、後から悲鳴が!堅く詰まっているとおもった雪に脚を乗せたとたんに崩壊したのだ。
気温が高く、緩んだ雪渓は気をつけなきゃダメだ!ここから旧夏道登山口までは怖くって沢中を歩けない。ず〜っと左岸を歩いて行くと降りすぎてしまい、夏道最後の渡渉点では見るからに不安定な細いスノーブリッジを渡ることになってしまった。

13:40 ぽかぽか陽気のテン場に到着、デポしておいた水をガブガブと飲むがぬるい。「飲み水は雪に埋めておけばよかったか?」いやいや、「ビールを1本冷やしておけば良かった!」
シートを広げてパッキングをしなおす。食料は食べたし、酒も呑んだ。行動食も行動水もそれなりに減っている。爆発的に軽くなっているはずのザックの重みは昨日とさほど変わった感じがしない。
14:30にテン場から下山開始したが、疲れた身体に8Kmちかい林道歩きは堪える。スキーであれば約1時間の林道歩きは2時間10分もかかり、プラブーツの中で靴擦れが水疱となっていた。
***山から降りて***
昨年の9月に初めて挑戦して、今回は2回目だった。各稜の位置関係や形に関して、解っている気になっていたが、完全には理解していない自分がいた。
今回、やっと薮に隠されていない西壁を間近に見ることが出来て、前よりは理解が出来たと思う。
この西壁、記録がWeb上では発表されていないだけに、取り付き方も自分で偵察を重ねなければならない。これはこれで仕方がない事だ!でも次回はキチンと登るぞ〜!
***メンバー***
リーダー:marbo
メンバー:saikoさん、hotakaさん
※ hotakaさんは東京からの参加でした。遠いところありがとう。
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