取り扱い商品で差を出すのではなく
人、気遣いで選ばれる営業拠点に
船橋市の市場通りは首都圏有数のカーディーラー集積街。同地区のHonda CARS船橋・市場店の坂田尚昭さんに、ユーザーに選ばれる店作りの秘訣を聞いた。
――店名が「Honda CARS」(以下カーズ)に変わりました。新店名に対するユーザーの反応は。
坂田さん(以下、敬称略) この市場通りには旧プリモ、クリオ、ベルノ出身の「カーズ」が3店あり、「全部同じ会社になったのか」と聞かれます。ユーザーには、チャネルの統一による、ホンダ全車種取り扱い開始の旨を伝えています。
――経営の異なる3拠点が近接で営業する上での課題は。
坂田 当店(旧プリモ店)は、軽自動車、小型車販売チャネルの位置付けでしたが、カーズ移行で取り扱い車種を拡大出来たのは追い風です。しかし取り扱う商品(車種)が他のカーズ店と同じであるだけに、どのようにして(ユーザーに)当店を選んでもらうかが鍵になります。
―同じ商品を扱う商売で差を出すことは難しいのでは。
坂田 商品で差を出すことは出来ません。しかしユーザーは(販売している)クルマ以上に販売員の言動、行動を細かく見ています。商売で大事なことはまずは自分を売り、次に店を売り、最後に商品を売ることです。そこで当店は営業、整備サービスの担当を問わず、まずは(ユーザーに)自分を売ることから始めるように指導しています。
――自分を売るポイントとは。
坂田 ユーザーが気に留めていないことをさりげなく提供出来れば、それは気が利くと感じてもらえます。高額商品の自動車購入では、細かな気遣いがユーザーの購入判断を大きく左右します。
――細かな気遣いとは。
坂田 ユーザーが自動車に求めているのは安全、安心、快適です。同じ商品(クルマ)を購入するのであれば、それらの要素が感じられる店を選ぶのではないでしょうか。来店時の出迎えから応対、見送りに到るまで、(販売員が)ユーザーとマンツーマンで向き合う中で、自分を売り込む機会は十二分にあります。
――坂田さんが行っている売り込みを聞かせて下さい。
坂田 商談に訪れたユーザーのクルマのウインドーを磨いています。(お客様と販売員の)商談中にするのですが、多くのお客様が商談席からの窓越しに、ウインドー磨きに気が付いてくれます。
――店長が自らウインドー磨きをするのは意外ですね。
坂田 ユーザーに気軽に立ち寄ってもらい、何度でも気分良く利用してもらえる拠点になるのであれば、私のするウインドー磨きなどは造作もないことです。
――ウインドー磨きの取り組みによって店の雰囲気は変わりましたか。
坂田 商談中の販売員は手が放せませんので、手の空いているスタッフが率先して行動に出るようになりました。ウインドー磨きが新車販売(実績)に直結しているのかは分かりませんが、見送りの際にユーザーから「ありがとう」の一言を貰えることもあり、店作りとして一定の効果があるものと考えています。
――ユーザーへの応対で気を付けていることは。
坂田 ニーズの変化の周期は年から月へ、月から日々へと早まっています。ユーザーの求めている価値観以上の満足を提供する時代になったとも言えるでしょう。とは言え商売で大切なのは、個人のニーズに的確に応えることに尽きます。ユーザーの要望に応えることは難しいことではありません。ユーザーの話に耳を傾ければいいのですから。
(初出掲載:月刊オートマート・ネットワーク2007年1月号)

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