ジダン、頭突きでレッドカード 目頭押さえ退場
≪W杯決勝戦≫
何かを言われたのだろうか。険しい表情で振り返ると、近寄ってきたイタリアDFマテラッツィの胸元に鋭い頭突きを見舞った。ワールドカップ(W杯)史上に残る偉大な選手で、世界中のサッカーファンから敬愛されていたジダンの現役最後の試合は、意外な結末となった。

延長後半5分だった。プレーとは関係ないところで行われたジダンの行為にエリゾンド主審は気付かない。イタリアGKブフォンが「目撃したぞ」と言わんばかりに詰め寄る。副審と協議したエリゾンド主審は、強ばった表情でピッチに立ち尽くすジダンに赤いカードを突きつけ、ピッチの外を指さした。
「退場させられるような方法をジダンが出し抜けにとったとは思えない」と振り返ったドメネク監督は「よく分からないが、マテラッツィが何か妨害したのではないか…。許される行為ではないが、理解できる」とチームを支えてきた主将をかばった。
ブフォンになだめられるようにしてピッチを後にしたジダンはあとわずかで手にするはずだったW杯トロフィーの脇を通り過ぎ、背中越しに目頭を押さえながらロッカー室へ続く階段を下りていった。最後のユニホーム姿は悲しかった。
「無意味なことだった。われわれは残念に思うし、彼も残念に思っているはず」とドメネク監督。「年寄り集団」などの批判を乗り越え、フランスが決勝に到達した時点で、今大会は「ジダンの大会」になるはずだった。誰もがその引退を惜しんでいた。試合中はスタンドから何度も“ジズー(ジダンの愛称)コール”が起こった。
決して調子が良くはなかったジダンも相手の執拗(しつよう)なマークに苦しみながらも気力を振り絞った。前半7分にPKを決め、2大会の決勝戦で得点をマークした史上4人目の選手となった。ボールを競り合った相手DFに乗っかられ、右肩を痛めた。それでも、延長前半13分にはサニョルのクロスにドンピシャのタイミングでヘディングシュート。ブフォンに阻まれはしたが、最後まで戦い抜こうとする姿勢は美しかった。
が、残り10分でそれまでの称賛を台無しにした。「ジダンの不在がチームに重くのしかかった。彼がいなくなった時間が、試合が終わった時間だった」とドメネク監督は悔しさをにじませた。
引退を控え、大会中はますます寡黙になっていたジダンは「このチームの合言葉は『生きるのも一緒、死ぬのも一緒』」と話したことがある。だが、はにかみ屋でいつも冷静なジダンだけが感情を抑えきれず、先に“憤死”した。
かつて同じようなケースで、イングランドのベッカムは「愚か者」と非難された。最高の舞台での現役最後の試合で、消えることのない汚点を残したジダンは何と呼ばれるのだろうか。(北川信行)
≪ビデオ映像で判明≫
続行中のプレーとは関係ないところで行われたジダンの行為を目撃していた観客は少なかった。主審も気付かず、イタリアGKブフォンの指摘で副審と協議してレッドカードを出した。記者席でも最初は何が起きたのか分からなかったが、ビデオ映像で“頭突き”の事実が明らかになった。
審判団は耳に無線マイクをつけている。ビデオ映像が今回の判定の基準となったのかどうかは明らかではないが、今大会中にはビデオ映像が証拠として使われたケースが他にもあった。
準々決勝ドイツ−アルゼンチン戦後に両チームの選手がもみあいとなった場面で、ドイツのフリンクスが相手選手を殴っているのが国際サッカー連盟(FIFA)に持ち込まれた映像で判明した。当初はフリンクスの処分を行わない方針を示していたFIFAだが、数日後に2試合の出場停止(1試合は執行猶予)の処分を発表した。
そもそも、FIFAのブラッター会長は「審判の義務をまっとうさせることを制限することになるなら、ビデオの使用やその他の実験には反対する」とビデオを映像を証拠として用いることには反対を表明していた。
ベンチに退いていたアンリは「副審も見てなかったと思う。今回に限ってビデオ映像を証拠として採用するのはどうかと思う」。ドメネク監督は「何が起こったのかを見ていたのは(ピッチサイドにいた)第4の審判。副審は何も見てなかった。マテラッツィが何を言ったのかは分からないが、彼こそきょうのマン・オブ・ザ・マッチだ。ジダンを退場させたのだから…」と皮肉たっぷりに不満を表現した。(北川信行)(07/10 10:55)
結末見届けず、ピッチを去ったジダン 表彰式に姿なく
主審にレッドカードを突きつけられたジダンは、黄金のトロフィーの横を通り過ぎ、控室へ消えていった。表彰式にも姿を見せなかった。
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独メディア、ジダンを批判 「名選手とは思えない行為」
2006年07月10日10時05分
W杯決勝戦で退場になったジダンについて、ドイツメディアは「名選手とはとても思えない行為」などといっせいに批判した。
実況中継したARDテレビのアナウンサーは「決勝戦を汚す信じられない行為だ」と残念がった。新聞や雑誌は「狂気だ。彼は天才でなかったのか」(シュテルン誌電子版)、「不名誉な最後になり、残念だ」(フランクフルター・アルゲマイネ紙電子版)などジダンを批判した。
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優勝トロフィーを高々と掲げるイタリアチーム=7月9日、ロイター
ブラジル、スペインにフェアプレー賞
国際サッカー連盟(FIFA)は9日、W杯ドイツ大会のフェアプレー賞にブラジルとスペインが決まったと発表した。ブラジルは3度目、スペインは初受賞。両チームにはトロフィーとメダルのほか、若手育成のため5万ドル(約570万円)相当のスポーツ用品が贈られる。
FIFAはまたW杯ベストGKに贈られる「ヤシン賞」に、優勝したイタリアのGKブフォンを選出。このほか今大会から創設した「ベスト・ヤングプレーヤー賞」にドイツの21歳ポドルスキを7日に選んでいる。 (共同) [ 2006年07月10日 09:56 速報記事 ]

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