よく「建設的な意見」という言葉を耳にします。
「建設的な意見を求めます」とか、「あなたの意見は建設的ではない」とかいうやつですね。
こういう発言は、実は反感を買っていることが多いのですが、言っている本人はなかなか気づきません。というよりも、「納得できない」というのが本音でしょう。
建設的な意見を求めているだけなのに、反感を買うのは不思議です。相手が非常識だからだという結論を出す人が多いのも無理はないと思います。
一般的な解釈は、「建設的な意見を求めている『だけ』ではない」から反感を買っているというものでしょう。つまり、「お前の意見は間違っている」と言われたのと同じだから反感を買うのだという解釈です。
建設的な意見を求めること自体は間違いではないが、相手に対して「建設的な意見ではない」と言ってしまうのは「建設的な行為ではない」ということですね。
でも、この解釈は本当に正しいのでしょうか。
「建設的ではない意見を言うのは本当に間違った行為なのか」ということです。
結論から言うと、
建設的な意見を求められるのは、「討議」であり、議論や討論で建設的な意見を求めるのは「必ずしも正しくない」ということになります。
※「討議」という言葉は聞きなれない人が多いかもしれませんが、辞書にも載っている言葉であり、私の造語ではありません。
Yahoo!辞書より引用
>1. とう‐ぎ【討議】
>[名]スルある事柄について意見を述べ合うこと。「―を重ねる」「対策案を―する」
> 1. とう‐ろん【討論】
>[名]スルある事柄について意見を出し合って議論をたたかわせること。「―会」
> 1. ぎ‐ろん【議論】
>[名]スル互いの意見を述べて論じ合うこと。また、その内容。「―を戦わす」「―を尽くす」「仲間と―する」
>ろん【論】
>1 物事の筋道を述べること。また、その述べたもの。意見。「―の立て方がおかしい」「―が分かれる」「人生―」
>2 意見をたたかわすこと。議論。論議。「―の外(ほか)だ」「水掛け―」
辞書に従って定義すると、
意見をたたかわすのが「論」
論じ合うのが「議論」
議論をたたかわせるのが「討論」
ということになります。
※論では「たたかわす」討論では「たたかわせる」になっていますが、これには意味があるのでそのままにしています
論・議論・討論にあって、討議にないものが、「論」であり、この「論」には「たたかわす」という意味が含まれています。
建設的に意見を述べ合うことが「討議」であり、(意見や議論の)優劣をたたかわせることが「論」(討論)なのです。
討議は現実の問題に対処するために行われるものであるために、建設的であることが求められるのであって、「物事の筋道が通っている」(論)かどうかは問題にされません。
論(討論)では、筋道が通っていない(と判断された)意見は否定されることになります。
議論では、事情が複雑になります。つまり、「建設的な議論」という言葉があるように、議論では、必ずしも優劣をたたかわせる必要はないからです。その理由は、「議」の意味がわかれば明らかだと思います。
Yahoo!辞書より引用
>ぎ【議】
>
>1 話し合い。相談。「委員会の―を経る」
>
>2 意見。考え。提案。
つまり、「議」とは、提案であり、話し合いのことなのです。
現実の問題を解決しようという提案に対しては建設的な態度が求められますが、「真実を明らかにしよう」という提案に対しては、懐疑的な態度が求められます。
真実を追究しているならば、全ての候補が否定されても仕方がありません。
現実の問題を解決するならば、全ての候補を否定することは建設的ではありません。
どれほどの欠点があったとしても、最も優れた候補を採用するのが現実的な態度というものです。
※ちなみに学問においても、「大きな欠点がある候補を採用する」ということが行われています。
定説を採用することは、「現実的な態度」なのであって、「必ずしも真理として認められているわけではない」ということです。
ちなみに「討」はYahoo!辞書に該当する項目がなかったので、代わりに「討つ」を引用しておきます。
Yahoo!辞書より引用
>う・つ【討つ】
>1 攻撃する。敵を攻めて滅ぼす。征伐する。「かたきを―・つ」「不義を―・つ」
>
>2 武器を用いて、傷つけたり殺したりする。「首を―・つ」
討論とはどういう意味なのかイメージがつかめることと思います。偏った引用であると思われそうなので、他にも引用しておきます。
Yahoo!辞書より「討手」で検索
>うちて3 【打(ち)手・討(ち)手】
>[1] 銃砲を撃つ人。射手。
>[2] 鉦(かね)・太鼓などを鳴らす役。また、その人。
>[3] 博打(ばくち)・すごろく・碁などを打つ人。また、その技にすぐれた人。
>[4] (「討ち手」と書く)「うって(討手)」に同じ。
まとめると、
「討議」は、現実的な問題を解決することを目的としており、建設的な態度であることが求められる。
「論」とは、「筋道が通っている」という意味である。
議論や討論では、「筋道が通っていて現実の問題を解決する」意見であることが望ましいが、「筋道が通っていなくても現実の問題を解決する意見」や「現実の問題を解決できなくても筋道の通った考え方」が採用されることもある。
「議」は「話し合い」という意味であり、「討」には「攻撃する」という意味がある。
ということです。

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