2000年の中国映画、蒋欽民監督の作品である。
日本からは緒形直人、平田満が出演している。
日中戦争の最中、南満州の寒村の駅に戦場で受けた傷を癒すため菊池中尉(緒形直人)が逗留にやって来る。駅には駅長夫婦と子供、使用人の4人の中国人がいたが、半年後、菊池中尉が変死する。
中尉の変死事件を調査するために憲兵隊長(平田満)ら日本軍調査隊が駅に派遣され、菊池中尉は殺害されたものと考え、犯人の追及が始まるが・・・・
この映画は中国が製作したいわゆる抗日映画の一つだ。
しかし、抗日映画でありながら、その「抗日」という言葉を超えてこの作品は見事な「反戦」映画となった。
この映画に登場する日本人はもちろん、他の中国抗日映画と同様、残虐で粗暴だ。
しかし、彼らは単に「鬼子」ではなく「人間」として描かれる。
特に平田満が演じる隊長は「鬼子」ではあるが、一連の事件から終結までを見つめながら戦争の「虚しさ」「無意味さ」の証人となる。
緒形直人が演じる菊池中尉は花を愛する心を持ちながら、中国人に残虐な行為を平気で行える人物。かれは戦争のために明らかに心を病んでいるのだが、人間としての弱さが見え隠れする。
蒋欽民監督の視点はあくまでも冷静だ。
他の抗日映画は日本人は心のない悪魔と描かれ、それに抗する人民が正義とされて来た。その視点は決して誤りではない。
しかし、蒋欽民監督は加害者も被害者も同じ人間として見ている。
そこに浮き上がってくるのは「戦争の愚劣さ」なのだ。
この映画は日本人をよく理解している作品だと思う。
日本人も中国人も同じ視点と気持ちでこの映画を受け止められるのではないだろうか?
戦争は狂気であり、最大の悪である。
戦争が全てを狂わせる。
この映画に登場する日中双方の全ての人物が一輪一輪の「ひまわり」の花であり、そして戦争という狂気の犠牲者なのだ。
激しい砲爆撃にひまわり畑が吹き飛んでゆく最後の幻想的なシーンはそれを暗示している。
この映画を僕は8年間も見ていなかった。
今からでも遅くない、中国人も日本人もこの映画を見ていない人はぜひ、見るべきであろう。
★スタッフ
監督 ジャン・チンミン(蒋欽民)
原作 カオ・フォン(高光)
プロデューサー ソン・ヤン(孫泱)
脚本 ジャン・チンミン(蒋欽民)
カオ・フォン(高光)
撮影 チー・シャオニン(池小寧)
ジャ・ユンフォ(賈永華)
音楽 チャオ・チーピン(趙季平)
★出演者
緒形直人
ワン・シュエチー(王学圻)
ワン・ラン(王蘭)
チャン・ホエクー(張慧科)
ディン・ハイフォン(丁海峰)
平田満