今回、WARP、RAMF12に続くフリーレースセイルのSタイプをじっくりと乗り込むことができたので、その乗り味をお伝えします。
まず初めに、レースセイルとは?
North Sailsで言うとWARPです。このモデルはメーカーの技術をすべて導入し、最速でPWAで勝つため作られる特別なセイルです。車で言うならF1でしょうか。特別に作られたセイルは非常にピーキーなセイルで、本当に扱うことのできる人が使用することで本当の性能を引き出すことができます。一般の人がF1に乗ってもクラッチもつなげずまともに走ることができないのと同じで、その性能を引き出す技術を持った人が乗ってこそ、最高のパフォーマンスを見せることができる、そんなセイルでしょうか。とはいっても、ウインドサーフィンはモータースポーツ程難しくないのが良いところなので、上級者が使えば、かなりの性能を簡単に引き出すことができ、セイルの性能によってワンランク上の走りを手助けしてくれたりもするのがウインドのいいところでしょうか。
次のカテゴリーがRAMF12。これは市販ベースのレースセイル。PWAなどで特別に準備したセイルではなく、誰でもが手にできる最高峰のレースセイルで、WARPなどのように特別な選手が扱うために極限のデザインから、とんがった角をそぎ落とし柔軟に乗ることができるようにリメイクしたものです。耐久性やセッティングのやりやすさ、ハンドリングなどすべてがWARPより簡単に扱えるようにしつつ、スピードもWARPに匹敵するほどの性能を備えたモデルです。このことで簡単にWARPの走りの感覚を疑似体験することができ、レースシーンでもハンドリングを気にせずに戦術などに集中することができます。
そして今回のSタイプは、そのRAMF12の次にラインナップされるカム付きのセイルです。
いったいどんなコンセプトで作られたのか?
自分が思うにまず初めに上記2モデルよりも価格面で抑えられることが1番のメリット。更に100%マストではなく75%マストでも十分な性能を発揮できるような設計になっているのも特徴です。(RAMシリーズも同様)
2つ目はセッティングのしやすさ。一般的にレースセイルなどはセイル全体のテンションがきつく、ダウンが硬い傾向にあります。Sタイプはセイル全体がソフトな仕上がりなので、ダウンテンションもレースセイルに比べるとかなり軽めになっています。
3つ目は操作性。セイル全体が柔らかく軽いので、ハンドリングがとにかくいい。パンピング、ジャイブ、タック、セイルアップ、ウォータースタート、ビーチスタート、ランチング、セイル運び?などなど非常に扱いやすい設計になっています。
このことから、日本特有のガスティーなコンディションをロングクルーズするにはとても適したセイルといえるでしょう。
基本的にセイル選びはその人それぞれの楽しみ方があるので千差万別です。
車を買う時に、みんながみんなフェラーリやポルシェに乗りたいわけではなく、カローラや軽自動車、RVやミニバンなど遊び方や目的に応じて選んでいると思います。
さて、そんなフリーレースセイルのSタイプを今回はハードテストしました。
コンディションは4,5メーター~12,3メータ位だったでしょうか。一般的なすらローマーは6.0~7.0に90~100リッターぐらいだったでしょうか。波はちょっとしたチョップがあるくらいで比較的やさしい海面状態です。
今回印象に残ったのがセイルの風域の広さ。
今回のテストセイルは8.4なので、通常10メーターを越えてくるとセイルが柔らかいこともあり、その風圧に耐えられずグニャグニャと歪みが生じてセイルをロックできないことが多くありました。
ところが、今回はプラチナ490と通常使用するマストの中でも1番硬いマストだったためか、セイルが歪むこともなく安定してセイリングを続けることができました。
おそらく、460やゴールド(75%マスト)を選択していたら10メーターを越え出したあたりからセイルが歪みだし、ややふらつきを感じてスピードロスにつながっていたと思います。
今回は全くと言っていいほどそのような状況下に陥ることはありませんでした。
また、Sタイプは、セイルパワーも極端に強くないため、常に自分のコントロール下にセイルを置いておくことが出来ます。
コントロール下にセイルがあることで、セイル振り回されたりすることもなく、恐怖心を感じずにセイルを引き込み続けることができます。
もちろんジャイブもしやすくレースセイルなどでカムを返したときに感じるパワフルな感じもまったくなくスムーズにジャイブを終えることができます。また、風が極端に落ちた場合やホールの中でもソフトなセイルは風をとらえ続けてくれるので、プレーニングを持続することが容易にできます。
カムは苦手、大きいセイルはちょっと、なんて思っている方はしっかりとチューニングされたSタイプを是非体感してほしいと思います。自分のウインドサーフィンの楽しいコンディションをイメージして、そこにマッチするサイズやモデルを選ぶことが最も重要なことだと思います。
今回じっくりとSタイプに乗ることができ、なかなかの性能だったので久々にいろいろと感じることができました。本当にいろいろ考えてセイルが作られていて、それぞれが、それぞれの理由があって操作性やトルク面などが設計されているんだと実感しました。
そりゃそうですよね、存在意義がなければ商品化しないですものね。
自分の欲しいものが分からなくならないように自分がどんなウィンドサーフィンをしたいのかをイメージしてしっかりと選んでください。
改めてセイルは奥が深いと感じたハードテストでした。