▲今月の本6
◎久米邦武(沖野岩三郎)『日本古代史と神道との關係』警醒社書店(明治四十年十月/明治四十二年三月再版)
第壹章 神道研究の時代別
第二章 佛教儒教及び陰陽道
第三章 儒教陰陽道及び佛教神道の關係
第四章 儒教陰陽道と佛教と神道の區別
第五章 神道總論
第六章 諾冉二神の事蹟
第七章 上代の日本領地
第八章 天磐戸前の神樂と新嘗祭
第九章 吉凶の解除と大國魂
第十章 天孫降臨と神籬磐境
系譜略圖
この本は、前に戦後の復刊をご紹介したことがありますが、今回明治時代の版を入手しましたので、改めてご紹介いたします。
面白い表示で、表紙には「久米邦武著」とあり、奥付には「沖野岩三郎著」とあります。
久米邦武は岩倉使節団に随行して綿密な記録をとり、帰国後それを『米欧回覧実記』として纏めた学者として知られています。
該博な知識と鋭い観察眼を兼ね備えた学者で、明治21年から東大教授になりましたが、例の『神道は祭天の古俗』を発表して大学を非職になってしまいました。
『神道は・・・』はこの掲示板に苦心して連載し、今は保存頁に保存してありますが、入力に非常な苦労をし、書き込むたびに文字化けが起こり、文字化けだらけの連載になってしまいました。
保存頁はさほどではありませんが、それでも消えてしまった漢字がかなりあります。興味のある方は原典に当たってください。
この非職問題は戦前の神道学者による言論弾圧の例のように言われるのですが、渡部昇一先生は戦後のそのような説に反論しておられます。
たしかに学会雑誌に発表したときは何の問題にもならず、一般雑誌に出て吹聴する人が出てから紛糾してしまったようです。
似たことは内村鑑三の不敬事件の犠牲になった木村駿吉にも言えますね。この話はまた別の機会に詳しく述べようと思いますが、木村駿吉の愛国心に火がつき、キリスト教から離れ、日本海海戦の無電機を開発するきっかけとなった事件です。
さて、この本の内容ですが、非職になったあと、明治学院神学部の依頼で久米が十回にわたってなした講演の内容を、同学部出身の沖野岩三郎が筆記し、それに久米が朱を入れたものです。
久米の発想は『神道は祭天の古俗』の時にも書きましたが、親日外国人が日本の古代を熱心に勉強して書いたようだ――と感じます。
版元はキリスト教関係の本を数多く出していた所です。
沖野岩三郎(明治9〜昭和31)は、有名なクリスチャンで、童話のおじさんとして親しまれていた人ですが、同時に神道や日本古代史や平田篤胤の本などを多く書いてもいます。
だから久米と共鳴するものがあったのでしょう。
じつは私の遠縁にあたり、会って童話の本を貰った事があります。
▲書影
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