11月4日(金)の北海道新聞夕刊13面に「小惑星 9日に最接近」という記事が掲載されました。
最接近したのは、2005年12月28日にアメリカのアリゾナ州で発見された2005YU55という小惑星で、日本時間で9日(水)の朝8時ごろに地球から約32万kmまで近づきました。(この記事を書いているのが9日20時なので過去形です)
地球から月までの平均距離は約38万kmですから、32万kmというと月までの距離の約85%です。天文学的に見ると、この数値はかなりの接近といえます。小惑星2005YU55の大きさは400mほどだそうです。
地球最接近は日本時間で9日の朝8時28分。最接近時の2005YU55は日本で見えませんでした。地平線下でしかも日中だからです。日本の裏側の北米や南米で見えたはずです。
計算してみたら、最接近時の見かけの移動スピードは、1時間あたり角度の9度という猛烈な速さでした。最接近時の明るさは11等星です。
地球のどの地点にどのくらい近づいたか計算してみると、コスタリカ西方沖合い(西経93度・北緯10度)の海水面上318,600kmでした。
札幌市東区の実家屋上で11月9日19時過ぎに2005YU55を何とか撮影することに成功しました。
撮影時の2005YU55はペガスス座を移動中。最接近から11時間経過した時点の距離は約62万kmで最接近時の約2倍、見かけの移動スピードは1時間あたり3度に減速しました。
とても淡い画像なので、元画像の中心部を強拡大しトリミングしました。白い丸の中心に2005YU55が写っています。

19時25分27秒から10秒露出

19時26分02秒から10秒露出
移動する様子を線状に写したかったのですが、月齢13.6の月が煌々と輝いているせいで、露出を長くすると背景が明るくかぶり、感度を下げれば小惑星そのものが写らなくなるので、駒撮り撮影せざるを得ませんでした。
共通データ:10cmF8屈折+42mm接眼+デジカメLX3によるコリメート撮影。絞りF2.3、感度ISO400、カメラレンズ焦点距離7.4mm
撮影に使った10cm屈折を使い眼視でも挑戦してみましたが、2005YU55は11.5等星と暗すぎて見えませんでした。

小惑星2005YU55のすぐ近くには、こんなに明るい月が輝いていました。これじゃあ、10cm屈折の限界等級に近い小惑星を詳細星図へのプロットもなしで確認するのは無理ですね。
高速移動の小惑星を眼視で見たのは、2008年1月の2005WJ56(12等星)や、2008年1月29日の2007TU24(10.5等星)の例があります。
詳細星図へ軌道経路を書き込むなど周到な準備をしないと眼視観察は難しく、今回は画像撮影を優先しました。
なお、眼視観察の際は、スケッチで記録を残しています。