先日、カーテンコールの幕が降りるや否や、獅童さんが突然、歌い出しました。
「♪ハッピーバースデー…」
ディア、サワさん!
信長役、沢竜二さんの誕生日です!
ケーキが運び込まれ、沢さんがローソクの火を吹き消すと、大きな拍手が起きました。
「おいくつになられたんですか?」
夜の部の休憩時間、いつもやっている二幕、信長・生駒シーンの台詞合わせを終えると、私は沢さんに聞きました。
「七十四かな…」
沢さんはあっさりおっしゃいました。
「え…!?」
私はびっくりです。
六十代の前半かと思っておりました。
若いですよね、役者というのは…
あ…
おれも役者か…
家康役、平さんも七十代です。
七十代と言えば、世間ではおじいさんと呼ばれる年代ですが…
お二人を見ているかぎり、私など足元にも及ばないパワーの持ち主、バリバリの現役俳優です。
突然ですが、私は七十七才まで役者をやるつもりです。
何の根拠もありませんが、そんな気がするのです。
今、五十代半ば、とりあえずまだ時間は充分あります。
二十代、三十代の頃にくらべ、足こそもうそんなに上がりませんが、「へえ、踊れるんや…!」ぐらいには動けます。
歌に関しては多分今が一番充実しているかもしれません。
芝居は昔のようなハチャメチャはやれませんが、この「反逆児」で今更ながら、基本を学んだような気がします。
色んな方々に助けられ、勉強ができていること、幸せに思っています。
昨日、テレビで「桂米朝、文化勲章受賞、弟子のざこばと語る」みたいな番組を見ていました。
米朝師匠八十数才、ざこば師匠六十二才、二人は親子よりも強い絆で結ばれています。
米朝師匠がざこば師匠に「ざこばへ、頼りにしてまっせ」と書いた色紙を渡すと、「むちゃくちゃ嬉しい!」言うて、ざこば師匠は泣いていました。
私もつい目頭を熱くして見ておりますと、突然、携帯が鳴ります。
ざこば師匠からです。
「治ちゃん、今、何してんの?」
と、聞くので、
「(テレビで)師匠を見てまんがな!」
と、答えましたら、
「あはは、むちゃくちゃ泣いとったやろ!」
と、笑われました。
師匠と飲むと、本当に楽しいです。
しゃれも勿論おもしろいのですが、なんといってもにじみ出る優しさが嬉しいです。
テレビを見ていて思ったのですが、それはざこば師匠が米朝師匠から受け継いだ「情」みたいな気がするのです。
師匠の落語や芝居には情があります。
芸事というのはいくら技を磨いても、結局は自分が出ます。
平さんも沢さんも、ちょっとした瞬間にお茶目さ、可愛さが垣間見えます。
それがお二人の芝居の奥行きを広げているのではないでしょうか。
芝居って…
勿論、いっぱい勉強しなくちゃならないでしょうが、行きつくところは…
自分なんでしょうねぇ…
ざこば師匠六十代、平さん、沢さん七十代…
自分もこれから年をとって、お三方の年代になった時、魅惑の壮年、愛すべき老年になりたいものです。
「ヒロシです…サワさんにCDもらったとです…」


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