「あれ…どうしたのかにゃあ…!?」
突然現れた私を見て、ぎんじろうは片っぽの目をくりくりさせました。
二週間ぶりの対面です。
思ったほどやつれてはいません、ちょっと目には、ゆっくり横になっているいつものぎんちゃんです。
しかし、あらたに麻痺した後ろ脚のせいで、立つことはままならず、また、食欲も全くありません。
黒門市場のまぐろは看護士のためおとクロードたちに譲りました。
ぎんじろうベッドをテーブルの上に乗せ、ワインを開けて、「がんばれ、ぎんちゃん!」の会、開催です。
ぎんじろうの体に手を当て、私は目をつぶり集中しました。
こうすると、‘指がツボを呼ぶ’のです。
私は感じた通り、彼をマッサージしていきました。
ぎんじろうは気持ち良さそうに目を細めます。
麻痺した両後ろ脚、活動不良の胃、十二指腸を丹念に揉んでいきました。
ひどかった肝臓の数値は(私がお酒を控えていたら)、医者も驚くほど良くなったそうです。
私の右膝は、あぐらをかくのもきつく、まるで、麻痺したぎんじろうの脚に連動しているようです。
ブログを打っている今、私の胃はキリキリ痛みます。
医者がぎんじろうにバリウムを飲ませ、調べたら、胃から十二指腸に繋がる部分が、腫瘍のせいか、極端に細くなっていて、流れないのだそうです。
「しなくていいよ、おれの肩代わりなんか…」
ぎんじろうを撫でながら私は言いました。
のぞみ265号は大阪へと戻ります。
ホテルにはとりあえず昨日の内に着けました。
生まれて初めての日帰り東京、たった三時間しかいれなかったけど、帰って良かったです。
ぎんじろうの体に顔をうずめたら、本当に良いにおいがしました…
ぎんじろうらしい、優しいにおいです。
最悪のことを考えないわけではありません。
でも、あいつと一緒に自分の体を大事にしようと思います。
五日ほど前から、バーレッスンを再開しました。
怠けていた体を鍛え直し、ケアしていったら、あいつも治るような気がするのです。
後は法善寺の神様にお願いするだけ、 もう、病院には連れて行きません。
心静かに毎日を過ごさせてやる、それが彼にしてやれる最良のことだと思うのです。
私は奇跡を信じています。
だから、帰るとき、ぎんちゃんに言いました。
「この次帰ってくるまで、絶対、待ってろ!」
ぎんじろう右目が「にゃあ」と、返事をしました。

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