「反逆児」、無事に幕を開け、お客様の評判も良く、上々の滑り出しのようです。
この作品、見所はこれまで沢山書いて参りました。
築山御前;「不憫なのはわらわじゃ」のアリア、家康;悔恨の言葉バズーカ砲、そして、信康;潔さの美学…
どれも、見るものの心を強く打ちますが、私、個人的にツボにはまっているのが信康の近従、小金吾;沈黙の自己主張です。
小金吾(こきんご)は主君信康のそばに控えている若侍です。舞いの支度から、伝令、信康が手を出した女の後始末に至るまで、ありとあらゆるお世話をしています。
信康を陽とするなら、常に陰となり支えているのです。信康が「黒」と言えば、たとえ白でも、小金吾は黒だと言い切るでしょう。
そんな絶対服従の小金吾が大詰め、信康切腹の場において、初めて刃向かいます。
ご覧になれば分かりますが、文字通り「刃に向かう」のです。
陰に徹してきた小金吾が突如、自分の思いを沈黙の言葉で主張します。
その意外性ゆえ、衝撃はとても大きいのでした。
これに驚く信康がまたいいです…!
稽古場で初めてこのシーンを見たとき、不覚にも私の涙腺は決壊したのでした。
その行為自体で泣けたのではないのです。
それ以前に、彼がずっと自分を律してきたから、そして、小金吾の生き様、信康との深い絆が見えたからこそ泣けたのです。
信康の並み居る家臣の中で、実は一番聡明で、一番芯の強い侍なのではないでしょうか。
演ずる中村獅一くん、まだ若いながら、とてもいい役者さんだと思います。
小金吾;沈黙の自己主張、はるパパ一押しの名シーンです!
さて、今日は私の小金吾、ぎんじろうの抜糸の日です。
自分の目を犠牲にしてまで、私に主張した彼の意志を組み、節制した毎日を送っています。
(なにせ、意志弱いもんなぁ、このご主人…!)
初日こそ飲みましたが、昨日もまた酒を断ちました。
演出家からはいつも的を射たダメをいただいております。
それにこたえるべく、この大阪1ヶ月、一度くらいは自らを律し、最良のコンディションで井駒を演じきる所存です。
いつも、最後の詰めが甘かったはるパパ、今度こそ、しっかり全うするつもりです。
私の小「銀」吾のためにも…
「黒は黒だにゃあ…」


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