Tさんに「おつかれさま!」を言ってきました。
斎場に眠る彼女はメイクアップ仲間に渾身のメークをしてもらい、まるで生きているように、安らかで、美しい寝顔でした。
「きれいですよ!」
私は心の中で彼女に語りかけました。
初めてお会いするのがこんなときになるなんて・・・
そう思っていたら、かみさんの話によれば、Tさんはわたしのライブに来てくれたことがあるそうです。
故がんじろうと私が初めて共演した代々木上原でのライブです。
ということは、がんじろうにも会ってもらえたんですね。
きっと今ごろムギョちゃんも一緒に、虹の橋で遊んでいることでしょう。
がんじろう、しっかり案内してくれよ!
Tさんは猫大好き人間でした。
チョビちゃんという黒猫と、モコちゃんという長毛猫と仲良く暮らしていたのです。
とある女優さんの専属メイクでしたので、日本中をロケで飛び回っていました。
家を空けるたびにうちのかみさんがキャットシッターをしていたわけです。
しかし、発病して長期入院を余儀なくされた為、二匹とは暮らせないことになりました。
すぐに里親さんは見つかったのですが、人づての紹介でしたので、面識のない相手でした。で、二匹をその方のうちへ連れて行くとき、かみさんも同行したのです。
「心配しないで。もし、感じの良くない人だったら、うちで預かるから!」
そう言って、かみさんは彼女を安心させました。
幸い、里親さんは超がつくほどの良い人で、病院にメールでチョビ・モコの写真を何枚も送ってくれたりしました。
そのうちの一枚を見て、Tさんは仰天したのです。
チョビとモコがくっついてる・・・!
二匹は仲が悪いとまではいきませんが、決して良い相性ではなかったのです。
「猫ちゃんたちがくっついて日向ぼっこしている・・・これがわたしの夢よ!」
Tさんはケンカする二匹を見ては、いつも思っていました。
それが、新しい里親さんのうちではもうべっとりと寄り添っているのです。
よほど心細かったのでしょうね・・・
「つらい別れになったけど、ある意味Tさんの夢はかなったわね・・・」
斎場の控え室でかみさんと、Tさんを見取った親友の方と話をしました。
なんだか、喋ったことすらないのに、Tさんがわたしにとっても大親友に思えてきました。
祭壇に飾られたTさんの写真は本当に素敵な笑顔でした。
そして、実生活もその笑顔どおり、前向きで明るい方だったのです。
ガン患者のつらい薬の副作用のひとつが、髪の毛の抜けるということです。
Tさんは自分がそうなって、メイクアップ・アーティストという職業柄、ひとつのアイデアが浮かびました。
帽子にウィッグを付けるというやり方です。
つるつるの頭にいきなりかつらをかぶせるのはどうしても違和感があるそうです。
で、帽子に毛を付けて、そのひとに合わせてカットするのです。
「これで、わたし特許をとるわ!」
そう言って、彼女は張り切っていました。
祭壇に眠る彼女の頭にはその特製帽子ウィッグが付けられています。
自然で、本当に彼女の美しさを引き立たせていました。
Tさんは素晴らしい女性でした!
病気になっても、大好きな猫たちと別れても、前向きにぐんぐん生き抜きました。
私は今日、彼女から「勇気」という素晴らしい香典返しをもらって帰ってきたのです!
わたしのパソコン・メール「下書き」には、前回ブログで書いた白血病の方の励ましメールが収められています。
まだ、私は返信ができていません。
自分がもっとしっかりした心と力をつけたら、それこそ超長文で返信するつもりです。
でも、一文だけここで返信させてください。
一緒に、Tさんの分まで、
生きて、生きて、生き抜きましょう!!
「虹の橋はおらが案内しますだ!」

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