今日、アンケート調査を行った。
学会発表に向けた調査であり、去年と同じ様式で行った。
「エアコンから『今日強盗がやってくる、寝たら危険だ』という
声がするので、その薬は飲みません!」
Kさんの症状は被害妄想である。
幻聴の言葉に惑わされ、服薬を拒否する。
そのため症状は改善しない。
去年の今頃、
アンケートの回答を依頼したところ
「そんなものに答えたら、なにをされるかわかりません」
とはっきり断られた。
チームは彼女に「安心」を実感してもらおうと、
距離を持って関わった。
妄想は否定し、
服薬は強制せず、
よく眠れていたらしい日は喜んだ。
私はとにかく挨拶を続けて、
「Kさんにとってより良い薬になるように
いつでも薬の相談にのる」といい続けた。
気付いたら、Kさんの拒薬は10日に1回くらいに減り、
幻聴は改善していた。
今日、Kさんは
「前よりエアコンの声が聞こえなくなったので眠れますね」
とアンケート調査に回答してくれた。
「頭悪いからわからないや〜」
Yさんは何を聞いても笑顔でこのように言う。
事実、遅滞遅延との診断があり、
人の名前が覚えられない様子で、何度も聞く。
私は、Yさんは本当によくわからないことが
多いのだろうと思っていた。
アンケートの回答をを依頼した時も、
「頭悪いから〜」と笑顔だった。
私が「え〜そんなこと言わないでくださいよ〜」と用紙を渡すと、
Yさんは用紙受け取り、じっと見た。
読み上げようかと考えていると、
Yさんはボールペンを取り、記入し始めた。
それは実にスムーズで、
質問に応じた回答であった。
Q.眠前薬を飲んだ後、寝付くまで何をしていますか?
A.ベットの上でじっとしている。
回診のときに挨拶をする。
Yさんの回答を見て、
私はこれまでの彼への対応を悔やんだ。
そして、60歳になるYさんの生きる知恵を想い、
少し悲しくなった。
しばらく口を閉じていたが、
また言葉にしてみようと思うようになった。
お見知りおきください。


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