昨日、大阪本町の御堂会館へ山崎豊子原作の「
沈まぬ太陽」の試写会に行った。主役に渡辺謙、あと三浦友和、石坂浩二など、錚々たるメンバーが出演。公開封切は今週の24日(土)だそうだ。
山崎豊子といえば、他のドラマ化された小説に「白い巨塔」、最近では「華麗なる一族」がある。どれも昭和の時代を生きた人間臭い社会派ドラマが多い。
3時間22分という長時間の映画であったが、退屈はしなかった。渡辺謙や三浦友和の演技が光っていた。ストーリーは国民航空(日本航空)の社員達や事故遺族、そして国(政治家)が繰りなす人間模様なのだが、企業、組織人としてのシガラミや権力争い、またその組織が織りなす何とも不条理な人事や経営など。主人公の恩地(渡辺謙)はイランやアフリカに左遷させられても自分のポリシーを曲げずまた会社も辞めない。個人と組織の関係、生活していく中での社会との関わり合い等々、非常に重く、しかしながら大人になれば誰もが経験していく問題が根っこにある。
《 感想 》
正直、見ていて気が重くなる映画であった。エンターテイメント的要素はあまりなく、一人の企業サラリーマンの仕事人生を刻々と綴っていくタッチが最後まで続く。最後の方で、同期のライバルであり、権力志向への道を誤った行天(三浦友和)が横領で逮捕されるが、それも見ていて空しくスカッとしない。実際にあった日航機墜落事故をめぐる御上(オカミ)体質の中で上層部の責任回避など様々な問題も含まれる。数年前の福知山線でのJR西日本の問題と同じである。
客観的に見れば善悪は明白なのに、自分がその組織の中に入ってシガラミを背負うと途端にそんな簡単に事は運ばなくなる。それどころか、正義、正論、誠意を貫こうとすると左遷されるのが落ちである。
人間は一人では生きていけない以上何らかの組織や人間関係の中で生きていく。子供の時でさえ学校という組織、人間関係の中で生きていく。そして社会に出ればそれはいよいよ益々その重圧と義務は重くなる。少しでも皆が幸せになるような社会を!? スローガンでは誰もが言えるが、様々な個々の生活を背負った現実というものは、どの時代でも、又どの立場においても重い現実と対峙せざるを得ない。
この「沈まぬ太陽」という映画(小説)の主人公、恩地元の生き様は人間社会の織り成す善悪や理想、しがらみの中で如何に生きていけばよいのかという問いかけである。少なくとも、つまらぬうわべだけの理想主義やプラス思考を馬鹿鵜呑みする輩よりは、この主人公、恩地元の生き様は説得力があり、私達に真の人生とは何かと考えさせられる。簡単に世の中は変えられないしその価値観も様々だが、何か一つのぶれないポリシーを持った男(人間)は強いし、また馬鹿みたいに愚鈍だとも思った。(昭和という時代の、ある意味、典型的な生き様かも知れない。)

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