※テレプシコーラ 第2部22話
先月、「六花が決選出場なんてことになったら、いくら主人公でもご都合展開すぎるだろ」と言うようなことを書きました。確かに、その時はそう思っていたから書いたのですが、実際に
「六花も茜もバッサリ落選」という事態になると、えーそんなバカな! カタルシスはどこへ行ったの! と凹んでしまう。読者心理というのは不思議なものですねえ。
だって六花、準決選ではコケるし得意のコンテは棄権してしまうし、いいとこ無しじゃないですか……ローザンヌまで来て。
これはまだ単なる推測に過ぎませんが、恐らく山岸さんは「ローザンヌで賞取ってゴール」というお約束な展開は描かないつもりなんだと思う。
もともと六花はローザンヌでスカラシップを期待されるほどス−パーエリートって訳じゃないし、ハンデもある。だからこそコンテ方面の才能が補完されてると言えますよね。ローザンヌはローザンヌでもちろん大舞台ではあるけれども、光を浴びるのはごく一部で、大多数のバレリーナはローザンヌ以降も涙ぐましい努力を続けている。
六花をわざわざ「身体的にハンデがあるバレリーナ(の卵)」という設定にした時点で――つまり1巻冒頭に遡った時点で――必然的に「天才だけがバレエを踊っている訳ではない」という展開になるのは予想できたのです。
だけど、2部がローザンヌから始まったと言うことで、我々は……少なくとも私は、「ローザンヌ」という単語の魔力に囚われすぎていた気がする。
ローザンヌという舞台&コンテ重視&六花のびざかりでコンクールも上位入賞続き……これだけ揃っていた訳ですからね、そりゃあ多少のシンデレラ展開は期待せざるを得ないってものです。やっぱり少女マンガだし(笑)。
しかし山岸さんは……さすが山岸さんと言うべきか。
ユースの前振りは済んでいるし、ローザンヌこそが最高の目標! 千花ちゃんの夢と一緒に踊るんだもの! と期待させておいて、舞台で踊るシーンさえ最小限(実質、準決選だけ)、果ては棄権でコンクール終了。こうなるとやっぱり、ローザンヌでは上手く行かなかったけど、ユース入賞で留学するとか、あとはさんざん前振りされているN氏のお声がかりが……ぐらいしか予想できませんね。
棄権(風邪)のせいでワークショップやサマースクールさえ出られないとは、もう四面楚歌以外の何者でもないし、あのラストの引き方はかなり意図的に見えるので、何らかの救済はあると思う。
まさかあのまま「どこからもオファーがない!」と涙目で日本にスゴスゴ帰国するだけってのは、さすがにマンガのセオリー的に考えにくいです。
しかし、その年の審査委員長の意向だけで、クラシック:コンテの比重があんな変わってしまうものなのか?
茜がかわいそうだー。
いつものようにキーッとならず、茫然としているのが余計に気の毒。しかし反省会では菅野先生も茜も六花も、みんな割と冷静で分析してましたよね。東洋勢が軒並み落選だったのはコンテが苦手だからなのか……?
菅野先生が茜のボレロを思い出して「オリジナルそのまんまだったし(=インプロになっていなかった)」と言うシーンがあったけど、ボレロって審査外だったはずですよね? まあ、茜はジゼルのインプロも適当にやっちゃったみたいだから、そこで落ちたってことか。
六花も、N氏は目をつけてはいるけど、コンテ棄権ではさすがに落とさざるを得なかったってことなのかなあ?
何にせよ、二人とも何の成果もなく涙目で帰国、と言うのだけはやめてほしい。リアリティーだけを追及するのならローザンヌ実録エッセイマンガを描けばいいんだし。
確かにテレプシは、千花の死に半端じゃない衝撃を受けるほどの生々しいほどのリアリティーがあって、そこが魅力であることは間違いない。でも、あくまで「マンガ」であって「実録ルポ」ではない。
その辺の区別はちゃんとつけてると私は思いたい。
◇
※コルセットに翼 27話(もとなおこ)
クリスが一大決心をしたけれど、まあ割と予想範囲内なので驚きはなかった。それに、今回は正直それどころではなかった。
アリス&エリス双子の凄絶な過去話とラファエルの妖しい回想シーン……今月号はそれが全てでした(笑)。さすがに、あそこまで描かれると意図的なものだとしか思えない。完全に狙ってるんだろうなあ。
クリス父は奇妙な人ではあるけれど、鬼畜ではないはず。だから、病人である子供ラファエルにイケナイことを教えたって展開はないと思う……思いたい。ただ、回想シーンの時点で何もなかったとしても、「その後」どうなったかまでは分からない。
少なくとも、ラファエルは博士に早く会いたい(=死)と言ったり、絵にキスしたりしている訳だから、親愛とか敬愛という言葉で済む範囲を越えていると思う。謎がひとつも解明されないので焦れったい。
焦れったいけど面白い。
ラファエルは何故、弱った状態で博士と出会ったのか? 裕福な実家があるはずなのに、どうして他人である博士と暮らしていたのか?
そもそも「どこで」出会ったのか?
ヨークシャーなのか、ワイトなのか。
ラファエルは虐待されていたのか?
それが「王のような男」だったのか……?
謎は増える一方なのでした。
あと、リアムが少しステップアップしたかな? ラファエルの遺産(絵)を生前贈与されたということは、それなりの元手が出来たってことだもんね。
贈与されたのはクリス、アリエリ双子、リアムだけなのかな。メアリ・ルースにも形見分けって意味では何か贈られるだろうけど……
しかし、そこまで用意周到ってことは……
もはや、ヨークに生きて帰る気がないのか? ラファエル。
もしかしたらエリックと二度と再会しないまま……?

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