ウィーン・ミュージカル「レベッカ」の原作を読みました。今まで一度も読んだことがなくて、東宝版も東京公演オンリーだったので見られなかった。5月のウィーンミュージカルコンサートで、一部の曲を聞いたのが初めての接点と申せましょう。
パンフレットを見ても、当たり前だけどオチまで書いてる訳じゃないので全貌がわからない。アルバム聞く前に(と言っても輸入盤が見つからないんだけど)話は把握しておいた方がいいだろう、という訳で、図書館で文庫版をずっと探したんだけど……見当たらない。
おかしいなあと思って、ふと図書館で検索を掛けてみたら「ハードカバー」しか在庫がなかったのでした。
そりゃあ、文庫の棚を探しても見当たらないわ。
レベッカの人物造形……既視感がありすぎる。
樹なつみ「OZ」のパメラって、このレベッカがモデルだったんだろうなあ、多分。よくあると言えばよくある造形であり、よくあるオチでもあるんだろうけど、私が思い当たるのはパメラしかいなかった。
最初からレベッカが完全完璧な女主人だとは思っていなかったけど(何か裏があるのは明白)、なんか予想通りと言うか……パメラを先に知っているのが私の不運だったのか、予想をひっくり返されたとまでは思えなかった。実に王道の、絵に描いたような「悪女」でした。
もちろんレベッカとパメラでは細かい部分は色々と違うんだけど、不治の病に侵されていたこととか、外見は完璧な美女なのに中身はどうしようもなく腐ってたとか、マキシムが告白するくだりは読めば読むほど「なるほど、パメラなのね……」って感じでした。
それにしても、マキシムとレベッカはどういう出会い方をして、どういう経緯で結婚に至ったのか。それもちょっと知りたかった。マキシムは「レベッカを愛していなかった」とは言うけれど、少なくとも最初は、結婚しようと思うぐらいには(正体を知らなかった頃は)愛していたはずだから。
レベッカって結局、誰のことも愛していない、何をするにもお遊びにしか思っていない、そんな典型的な自己中女だったんだろうか?
原作を読む限りでは、ミュージカルの歌詞にあるように「気高い」とか「凛としていた」とか、「女王のようだった」とか、そんな風には思えない。ダンヴァース夫人は本当にそう思って彼女を崇拝していた、というのは分かるんだけど。まあ、女王かどうかはともかく、猛女列女の類だったのかな。何せファヴェルが俗っぽくて下劣な男なので、そのファヴェルといちばん気が合ったというレベッカも、外見はともかく中身はその程度だったんだろうとしか思えないな。まあ、自分を良く見せる術は心得ていたようだけど。
マキシムも、そんな女と一生夫婦ごっこをしてストレスを溜めるぐらいなら、離婚した方が早かっただろうに。
「わたし」の名前が一切出ず、しかも「わたし」の一人称視点で語られる前妻の亡霊。レベッカの香り、レベッカの身につけたもの、レベッカの美しさ。
主人公はどう見ても、確かに、既に死んでしまった「レベッカ」であって「わたし」ではない。最後、火事の描写があまりにあっさりしすぎてる……ぱっと読んだだけでは「何だ、この終わり方は?」だったのですが、マンダレイはやがて火事で焼け落ちるだろう、というところでバッサリ終わってしまってるんですね。ダンヴァース夫人が火をつけたのか?
でもその割に、冒頭(時系列では火事以降)で「わたし」はダンヴァース夫人は今頃何をしているだろう、と回顧しているし……?
あとミュージカル版と大きく違うのは、ヴァン・ホッパー夫人ですか。確かミュージカルでは、アメリカからわざわざ仮装パーティーに来るんですよね。でも原作では冒頭以外まったく出番なしだった。
原作では「マンダレー」「ダンヴァーズ夫人」という表記なんですが、ドイツ語表記を最初に見たせいで「マンダレイ」「ダンヴァース夫人」と書いてしまいます。
さあ、これでアルバムいつでも聞ける状態になった……んだけど、その肝心のアルバムが見つからない。
こんなことなら5月の梅芸で買っとけばよかった!
ダンヴァース夫人
「レベッカ、帰って来て、レベッカ!
深い霧の中からマンダレイに」
わたし・マキシム・フランク
「二度と帰って来るな!」

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