会えた  

とうとう会えた。

この日をどんなに待ち焦がれたか・・・。

会いたくて、会いたくて、待ち続けた日々の長さと重さ。

何も分からず、押しつぶされそうな不安を胸にすごした2ヶ月余り。



その人は、いつもの笑顔で私を迎えてくれた。



紫外線を避けないといけないそうで、肌の色が白くなっていたほかは、

「しばらく会えない」と言われた日と、かわりはないように思った。



でも病気との闘いは終わったわけではなく、これからも治療は続く。

会えなかった間に、その人の身に何かが起きていたとしても、

私には知るすべはない。きっと話してはくれない。



今までのように、大切なことを見逃しているのではないか?

知らされないことに思いをはせることもなく、

安閑としたときを過ごしているのではないか?



会えたのに、うれしいのに・・・不安だけは、それでも消えない。
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砂時計  

現実で会えないなら夢でもいい。

夜の帳が下りて、目を閉じても、やはり会えない。



何の屈託もなくその人に会えた日まで、時計を巻き戻すとしたら、

どこまで時をさかのぼるのだろう。



時が同じ時間を繰り返せる砂時計だとしたら・・・。

今の私は、苦しいときを繰り返すだけ。

何をどうしても。明日が見えない。



見えない明日が、それでもやって来る。
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りんごの気持ち  

その人と出会ったとき、私は一つの果実を手にした。

まだ熟さない、青い果実を。

持っていることも忘れるような、小さな果実を。



時が流れ、いつのころからか私の心に芽生えた思い。

青い実は大きく育ち、色を変え、甘い香りを放つようになった。



それは決して「禁断の果実」ではないけれど、

その人に対しては罪の果実。



かなわない思い、どうにもならない思いだと、

最初から分かっていても、それでも愛しく思う心。

決して届いてはいけない思いを、はっきり自覚した瞬間、

それは私が罪の果実を口にしたとき。



会えない切なさも、張り裂けそうな胸の痛みも、罪の報いなのか。

愛したことが私の罪なら、愛し続ける限り、決して消えはしない。



その人への思いが深まりこそすれ、

忘れることも、断ち切ることもできない。

私の心が救われる日が来る事はない。



今はただ、その人が一日も早く元気になって欲しいと願うだけ。
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雨だれ  

何かをしていても、心のどこかにその人がいる。

大丈夫だと信じる気持ちと、何も分からないから消えない不安。

会いたいと思っても会えない。



蜘蛛の糸より細いつながりに、全身を預けて待っている。

その人に会える日を。



でも、その人は私の不安も、会いたい気持ちも、何も知らない。

私にすりガラスの向こう側が見えないように、

その人にも私の秘めた思いは見えない。
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浅い夢  

その人から病気のことを打ち明けられて20日が過ぎた。

長い長い20日だった。



たまらなく不安で、会いたくて会いたくて、

でも、何をどうすることもできずに、

知らない間に流れていた時間。



いつまで続くのだろう。



会いましょうと言ってもらえなければ、

・・・それは永遠。
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