2009/9/30

読書の秋  Books

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読書の秋とは言いますが、私の場合は秋だからといって読書量が増えることもありません。季節に関わらず、コンスタントに寝る前読書です。

「沈黙」- 遠藤周作

神はなぜ黙っているのか。
ポルトガルから長い航海の末に日本に渡ってきた宣教師ロドリゴは、重い年貢に耐え苦しむ農民が神にすがる姿やキリシタン弾圧で殉教していく姿を目の当たりにして、神の「沈黙」に疑問を抱きます。棄教することなど考えられないロドリゴは、自らの師であるフェレイラが信者を救うために「転んだ」ことを許せず、かといって同胞ガルペが信者の命を救うか棄教をとるかという選択を迫られた時には、海に沈んでいく民衆を乗せた船を追いかけて波間に消えていくガルペの姿を目の前にして、立ち尽くすことしかできません。マカオからの航海で知り合ったキチジローは信者でありながら、臆病であるがゆえに何度も転び、ロドリゴを裏切ります。そうして捕らえられたロドリゴはある夜、穴吊りにされた信者のうめき声を聞き、彼らの命と引き換えにとうとう踏み絵を踏み、それまで憎んでいたフェレイラと同じ運命を辿ることとなります。

遠藤周作の作品は今までにも「海と毒薬」、「イエスの生涯」、「死海のほとり」、「深い河」など幾つか読んできましたが、「海と毒薬」での白人捕虜の生体解剖やこの作品の棄教のように、主人公が究極の選択を強いられるところに共通点が見受けられます。そこにあるのは正とも悪とも言い切れないグレイゾーン。神を信じるがゆえに生まれるジレンマに登場人物たちは苦しみます。信仰とは何なのだろうと考えさせられる作品でした。

「Archangel」- Robert Harris
(邦題:「アルハンゲリスクの亡霊」 ロバート・ハリス)

しばらく前の週末、出かける前に少し時間があったのでテレビを点けると、ダニエル・クレイグが雪のツンドラ地帯でなにやらロシア語を話していました。しばらく見ていると、これがなかなか面白い。何という映画だろうとテレビガイドを開いてチェックすると、映画ではなくBBC製作のテレビシリーズで「アークエンジェル」と書いてありました。出かける時間になってしまったのでほんの一部しか観られなかったのだけれど、その日はちょうど図書館に本の返却に行ったので、まさかね…と思いながらも「Archangel」のDVDを探してみました。すると、あるにはあったのですがあいにく貸し出し中。じゃぁ、本は?と検索すると在庫がありました。そこで早速チェックアウト。

「Archangel(=大天使)」というタイトルから想像して、何か宗教的な話なのかと思ったら、Archangelとはロシア北部の都市の名前でした。スターリンの残した秘密のノートブックを手に入れた主人公が、隠された謎を解くためにアークエンジェルを訪れ、そこで見つけたものは…。

ロバート・ハリスという人の書いた小説はポリティカル・フィクションと分類されるそうですが、現代ロシアの腐敗、犯罪、貧富の差などとスターリン時代の恐怖政治を織り交ぜて、完全なフィクションではあるけれど多くのロシア人が実際に望んでいるという仮想世界を描いています。
以前読んだ米原万理さんのエッセイにも、ソ連が崩壊した今でもロシア人の多くはコミュニズムの時代がよかったと思っていると書いてあったことを思い出しました。ジョアナからも、ポーランドが民主化していい思いをしているのはお金持ちだけで、普通の人には以前のゆとりがなくなり、共産主義の時代を懐かしむ人も多いと聞きました。そう考えると、「アークエンジェル」のような出来事があっても不思議じゃないのかもしれません。

本を読んだ後にDVDを借りて見ましたが、途中で原作から大きく外れてしまって、最後はうまくまとまっていない感がありました。原作の最後は示唆的でとってもかっこいいのに…。

「Bento Box in the Heartland」- Linda Furiya

日本人の両親のもと、インディアナの小さな町でだだ一軒のアジア人ファミリーに生まれ育ったリンダ・フリヤさん(Falling Arrowと書いてあったのでたぶん降矢さん)のメモワール。図書館で見かけて何の気なしに借りてみた本ですが、著者やご両親が体験したり感じたことは私自身や私の子供たちの経験にも通じるところがありました。

例えば、小学校に入ってすぐ、他の生徒のなかにはスクールランチを食べるのではなくランチを持参している人たちがいることに気付き、母親にランチを用意して欲しいと頼みます。翌日ランチの時間に袋を開けてみると、そこには海苔のついたおにぎりがふたつ入っていました。他の生徒と同様にサンドイッチが入っているものと思っていた著者は友達から好奇の目で見られることを恐れ、リンゴだけを友達と食べるとトイレに駆け込み、そこでおにぎりを食べました。家に帰って母親におにぎりは厭だとは言えずに、丸々一年間、リンゴだけを友達と食べ続け、残りのおにぎりはトイレで食べ、2年生になるときにようやく母親にスクールランチを食べたいと言えたのだそうです。

思えば私もまだアメリカに住んでいた頃に娘にお弁当を作ってあげようとして、ひどく拒絶されたことがありました。「みんなが『それ何?』って訊くから、絶対に厭だ」と。

フード・コラムニストでもある著者のエピソードにはご両親の日本食に対するこだわりや著者の食の思い出がふんだんに盛り込まれていて、各章の終わりにはその章に登場した日本食(オムライスなどもあるので和食とは限りません)のレシピが載っています。

日本への憧れや日本人としての誇りを大切にしている著者も、成長の段階で差別や理不尽な対応を受けるなどの苦労を負い、一方では優柔不断な両親や周りの日本人に怒りを感じます。文章の中に多少の日本語の間違えが見られましたが、文面からは葛藤の中で成長してきた芯の強いしっかりとした女性像が浮かび上がってきました。
とても素晴らしい本に出会いました。
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2009/10/3  10:59

投稿者:JKD

* Ziggyさん

寝る前に本を読むとすぐに眠くなりますよ。
それが本当の目的だったりして…。(笑)
だから私の読書は遅々として進まないのです。

私はクリスチャンではないのでこういう本を読んでも外から傍観しているような感じですが、神を信じるがゆえに苦しまなければならないこともあるのですね。

「Bento Box...」は英語で書かれていますが、所々に日本語の単語やフレーズがローマ字で登場します。日本語訳は出ていないみたいです。この本はきっとZiggyさんにも共感できる部分が多いんじゃないかな。オススメです。

2009/10/1  20:57

投稿者:Ziggy

相変わらずたくさん読んでますね〜。
でもベッドで読むのって眠くならない? 本によるかな?
宗教ってこれっていう定義づけができないだけにややこしいというか 同じ宗派にしても難しかったりするんですよね。
私は宗教って結局って行き着くところは それぞれ個人と信じるもの(神、仏、アラーなど)との関係だと思っています。
Furuyaさんの本も興味深いですね。
これは日本語で書かれているの?
それとも一部部分だけ?
確かに子供達には私達の想像もつかない想いや悩みがあったりするんでしょうね。
うちはお弁当は小学校くらいまで。。。それも日本風だったり、あとは普通にサンドイッチとチップスだったり。
本の表紙だけを見ると英語版みたいなのでこちらで探してみます。

http://ziggyus.exblog.jp

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