心疾患児を育て親御さんへ  心疾患児の親御さんへ

お子さんは、親よりも長く病気と付き合うのです
最近、医療関係、学校関係、そして心疾患児を育てる親御さん方とお話しする機会が続きました。
患児自身がどのように悩みそして親にどうしてほしいかということは、大変な思いをして病児を育ててきている親御さんには、かなりキツイ、あるいは親の気持ちを踏みにじっている言葉に聴こえることと思います。
そう、反省しながらも(^-^; そして「誰に育ててもらったと思ってるんだ!」と怒られたとしても、やはり病児(病者)を30数年やってきた心疾患者には、伝えておきたいことがたくさんあるのも事実です。
私だけがそう感じていることと、多くの先天性心疾患者が感じていることとがあるのですが、できるだけどんな状況の(病状の重軽にかかわらず)お子さんにとっても共通し、多くの先天性心疾患者が感じているだろうこと(ちょっと本当にそうなのか自信はないんですが・・・)を、書きたいと思います。

親御さんなどにお話しするとき、私がいつも言うことは、「とにかく病気のことは小さいうちからお子さん自身に説明してください。」ということです。

小さいうちに手術をしてしまえば、あとは周りの子どもと同じく生活できるようになってはきていますが、10代後半あるいは20代の人でも、びっくりするほど、自分の病気について知らされていないという人が多いのです。
差し迫って体調や心臓の調子に問題なければ、自分のことも知らされていなくていいものでしょうか?
それはまずお子さんに失礼なことだと思います。

今や、重い心臓病があっても親より長生きできる時代ですし、心臓病は根治手術が終ったから全く問題がなく完治したということは言えない一生付き合っていく病気です。手術という大きな切り貼りをした心臓ですから、何も手をつけていない健康な心臓と、20年、30年たった後でも全く同じでいられるかどうかは分かりません。

中学生くらいになって心臓検診でひっかかったとしましょう、それまでも今も全く元気で体育もみんなと一緒にやっている。でも心臓が悪かったと知ったらどんなにか不安なことでしょう。その子が、お母さんに自分がどんな病気だったのか? 自分はどんな手術をしたのか?尋ねるのは当たり前です。そこで、お母さんが「まぁ、もう治ってるんだから大丈夫大丈夫」と言ったら、この子は納得するでしょうか?
知る権利という堅苦しい言葉を使わなくても、この子の不安は想像できます。
もし、そう聞かれたら、病名と病状とどこの病院でどんな手術をして今の健康な自分になれたのか、説明してあげてください。
そして、将来も健康でいるためにやって欲しいこと、やって欲しくないことがあればそれも伝えるべきでしょう。うやむやにせず、健康であることを喜ぶのが良いと思います。
あるいは、マラソンや水泳の禁止とか、スポーツ系の部活動には入らないようにといわれているお子さんの場合は、それを守ってもらわなければならないのですから、小学生のうちからでも、その年齢で理解できるだろうなと思える言葉で簡単に説明していくことが、本人の命を守ること、本人の将来を守ることにつながると、私は思っています。
私の体験を振り返ると、体育は全くできない(小学校の時は通学するので精一杯)ので、自分が他のお友達と違うということを身を持って感じていました。加えて、物心ついたときから手術の痕を「心臓のチャック」と呼んで、心臓を治すのにつけたと理解していましたし小学校に入ったころには、病名と、すぐに疲れてしまってみんなと一緒に走ったり階段を昇ったりできないことを、自分で周りの人に説明していました。

私の親の考えは、「親はいつまでも子どもをみてはいられないし、子どもがオーバーワークをして体力的に辛い思いをするのを代わってやることはできないのだから、子ども自身が自分のことを周りに説明して理解してもらうこと、受けて入れてもらうことを自力でできるように育てなければ」というものだったようです。

あなたの心臓病のお子さんは、ずっと生きていくでしょう。
お母さんが、"こんな身体に産んでしまってなんて可哀想なんだろう"と、もし思っていたら、そしてそれを口に出してお子さんに言ってしまったら、子どもは「自分は病気があって可哀想な子なんだ」と思うでしょう。
どんなにか罪悪感を覚えていて、一生病気の子どもは親が守ると思っていても、子どもは頑張って大きくなっていき、病気が重かろうと軽かろうと、同年代の周りの子どもと同じように結局は大人になります。
病気であること自体は大変だけれど、可哀想ではないと思います。
それよりも、病気とともに生きる智恵をどんどん身に付けたり、病気があっても心豊かに、いろいろな友達をつくって過ごせるはずの子どもが、自分のことを知らされず不安を持ちながら、ずっと老いていく親の手の中で大人になることのほうが、胸が痛みます。

どんなに病気が軽くても、また重くても、自分の病気を知ることは当然のことです。
知らないほうが良いなんてことは、たぶんないと思います。
ある、看護学の先生は、小さい子どもであってもこれから受ける手術について説明することはその子の不安を軽減するというデータが出ているとおっしゃっていました。そして説明する時に大切なのは必ず先に希望が見える説明をすること。
手術の説明に限らず、病気そのものの説明も、同じことだと思います。

私は闘病という言葉は極力使いたくありません。特に心疾患のように生涯にわたる慢性の病気に対して、一生戦闘態勢でいなければならないなんて、考えただけで疲れてしまいます(^-^;
病気とともに生きていくのは、親御さんではなく、病児本人ですから、うまく病気と付き合っていけるよう、そして病気のために起きるさまざまな問題(対人関係など)を子どもの頃から、お子さんと一緒に考えて行って欲しいですね。



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2009/10/20  20:35

投稿者:あんこ

我が子はまだ小さいですが、意外と素直に病気のこと傷のことを理解して、感心することが多々あります。
あなたの言葉に涙が出てきます。とても参考になりました。ありがとう。


2007/10/19  6:45

投稿者: みーしゃ

みゆさんこんにちは。
重度の心疾患の子供を育て早や10年になります。
子供の立場からみた貴重なアドバイス、心底参考になりました。有難うございます。

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