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サグラダ・ファミリア Sagrada Família

Sagrada Família, a world-famous church for being designed by Antoni Gaudí, is a landmark of Barcelona. It should be remembered that this large church honouring the holy family including Jesus, Mary and Joseph. The most moving moment for me during business trip to Barcelona in September 2013 was to have met Joseph, because I believe his benignant deed must actually be love regardless the foster-father standing.

Pict 1. Sculpture of Saint Joseph placed at the top of "Fachada del Nacimiento" inside Sagrada Família
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Pict 2. Sagrada Família viewing from outside "Fachada del Nacimiento"
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投稿者:ATSU-FUKU

おおはた雄一 ニューアルバム「ストレンジ・フルーツ」発売記念インストアライブ(タワーレコード新宿店)

ニューアルバム発売時恒例のタワーレコード新宿店でのインストアライブが、アルバム発売からちょうど1ヶ月の11月4日に開催されました。

以前は全国のタワレコを行脚することもあった(“お客さんが店員さんだけのときも・・・”とのMC有)らしいのですが、今回は大阪、東京の2店舗限定開催ということもあって、貴重な機会とばかりに握手&サイン会参加券を手にした大勢のファンが集まりました。この日は初めて見る茶色のアコギ(ピックガード付)で登場。“ライブではほとんど演らない友人に贈った曲”との紹介で「Boo's song」も披露されました。

【演奏曲】
余白の余韻/親指ボムの最後の夢/いつもあなたは奪ってゆく/ストレンジ・フルーツ/やっかいぶし/Boo's song/Prayer
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↓の写真はタワレコ特典のボーナストラック4曲入りCD(我們是朋友/羽根のように軽く/glimmer/ろば−深夜version−)。名曲『羽根のように軽く』はどうしてアルバムに入らなかったのでしょうね。
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過去ログ
・「光を描く人」発売記念インストアライブ(→こちら
・「Music From The Magic Shop」発売記念インストアライブ(→こちら

P.S.
オフィシャルブログ(→こちら)にインストアライブの写真が掲載されました。
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投稿者:ATSU-FUKU

ドナウの旅人 宮本輝

母と娘そしてそれぞれの恋人の男性二人の二組四人が旅人となり、ドナウ川に沿って東欧を源流の西から河口の東へ向かうロードノベル。まだ東西冷戦下にあった1983年から2年半にわたり朝日新聞に連載された。

娘は、三十余年連れ添った夫を捨て若い男と旅に出た50代の母の計画を阻止せんと、かつて恋人であったドイツ人青年と連れ立ってその後を追う。旅の途上、母娘は深い血の繋がりを自覚し、男性二人の間には友情が芽生えていく。旅は道連れ世は情けとばかり行く先々で様々な脇役が現れては消えるが、異国の人々との出会いは二組の旅人男女の結びつきを着実に強固なものにしてゆく。母は年齢差を、娘は国籍の違いを、男二人は背負った問題をそれぞれに乗り越えて、愛を成就することができるのか。旅が終着点に近づくにつれ旅人達の身に危険が及び、予期せぬ突然の出来事で長旅に幕が下りる。

どんな人間でも、なめてはいけないなと思った。みんな相手の目から多くのものを読み取っているのだから。

しかしシギィは、自分の泉に眠っているさまざまな種類の水質の中で、包容力と呼ぶ以外、ほかにいかなる言葉も当てはまらないものを導き出してくれたのは、昨夜と今朝の、麻沙子の二種類の振る舞いであったことに気づいていなかった。

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『川三部作』の宮本輝が、東欧の『河』を舞台に創作した物語という側面でも話題性十分であったと想像されるが、現役世代の大人が遠く日本を離れ7ヶ月間に及ぶ旅を敢行するファンタジー小説であることから、ひょっとすると当時連載を楽しみにした読者の期待を良い意味で裏切った作品かもしれない。本書に添付された地図は、東西ドイツ統合(1989年)及びソ連解体(1991年)前のもので今となっては貴重である。地図は物語の地への旅情をかきたてるだけでなく、地続きとはいえ国家間の移動が容易でなかった時代背景を読者に強く認識させてくれる。

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ナイル川の2分の1強、信濃川の約8倍に相当する欧州第二位の全長(2,860 km)を誇るドナウ川は、有名なクラシック曲の題名にもなっているが、それらの軽快な曲調はこの物語の雰囲気にはミスマッチと思われる。登場人物が東を目指す設定は、『月光の東』の思想とも相通じるものがある。

B.G.M
『Goodbye』Avril Lavigne
『羽根のように軽く』おおはた雄一

P.S.
東欧諸国の紀行文『異国の窓から』と併せ読みが推奨されているが未読。しかし、旧ユーゴスラビアの国家の成り立ち及び国家解体までの歴史を、同国のフットボールの歴史と重ね合わせて書かれた『オシムからの旅』(→過去ログ)を読んでいたことは本書を読む上でアドバンテージだった。
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投稿者:ATSU-FUKU

スタチンのプレイオトロピック・エフェクト

メバロチン、リピトールなどの商品名で知られる『スタチン』と呼ばれる一連の薬剤は、主にコレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害することによって血中LDLコレステロール(以下LDL-C)を低下させる。また、小胞体内の貯蔵コレステロール量が低下した結果、生体のフィードバック機構としてSREBP(sterol regulatory element binding protein)と呼ばれる転写因子が活性化してLDL受容体の発現を増加することもスタチンの主薬効を補助するものと推定されている。

このように、スタチンはコレステロールの低下を主目的とする薬剤であるが、それだけでは辻褄の合わない現象が数多く報告されている。以下にその代表例を2つ挙げてみる。

1.プラバスタチンを使ったWOSCOPSという試験で、無治療でLDL-C値が140-180mg/dlの健康な人と、プラバスタチン治療下でLDL-C値が140-180mg/dlに維持されている患者の心筋梗塞リスクをオーバーラップ解析により比較したところ、後者で有意にリスクが低いことが示された(下図)。この結果は、プラバスタチンにはコレステロール低下作用とは独立した薬効の存在を示唆している。
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(Circulation. 1998;97:1440-1445)

2.スタチン治療でLDL-C値を低下させた患者と、非スタチン治療でLDL-C値を低下させた患者の心筋梗塞リスクを比較したメタアナリシスの結果、同程度のLDL-C低下率であってもスタチン治療の場合の方がより強力にリスクを低下させることが示された(下図)。この結果も、スタチンにはコレステロール低下作用とは独立した薬効の存在を示唆している。
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(Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 2005. 45:89–118)

このように、主たる作用(スタチンの場合LDL-C低下作用)の陰に別の薬理作用が隠れているケースがあることはスタチンに限らずかつてから知られており、主作用以外の作用は『プレイオトロピック・エフェクト』(Pleiotropic effect:日本語で多面的作用と訳される)と呼ばれる。

スタチンのプレイオトロピック・エフェクトの有力な分子メカニズムとしては、低分子量G蛋白質(Ras、Rho、Rac)の機能阻害が挙げられている。Rasはファルネシルピロリン酸の、RhoとRacはゲラニルピロリン酸の修飾をそれぞれ受けて細胞膜上で機能するが、低分子量G蛋白質を修飾するそれらのイソプレノイドもコレステロール同様にメバロン酸を原料とすることから、スタチンは間接的に低分子量G蛋白質の機能を阻害することが知られている。これらの低分子量G蛋白質は血管の病態形成に重要な役割を果たしていることから、スタチンによるRas阻害は炎症反応や平滑筋細胞増殖を、Rho阻害は線維性被膜脆弱化や血栓形成を、そして、Rac阻害は酸化ストレスをそれぞれ抑制し、トータルで動脈硬化の抑制や脆弱化プラークの安定化に寄与し得るものと推測されている。

一方、スタチンのクラスエフェクトともいえる有害作用の分子メカニズムも、プレイオトロピック・エフェクトによる説明が可能である(有害作用はプレイオトロピックと言わないかも・・・ま、いいか)。

スタチンの重大な副作用として横紋筋融解症が知られ、全身の筋肉痛や脱力感を認めた場合は、腎機能をモニターするなど注意が必要とされる。FDAが、血中LDL-Cの低下率と血中クレアチニンホスホキナーゼ値(筋障害の指標)異常上昇の発現頻度の関係をスタチンの種類別に調査した結果、同程度のLDL-C低下率でも筋障害作用は薬剤ごとに異なることから、スタチンの筋障害作用はLDL低下作用だけでは十分な説明とはならないことが示された(下図、最左にプロットされたCerivastatinは2001年に市場撤退)。この結果は、スタチンにはコレステロール低下作用とは独立した筋障害のメカニズムの存在を示唆している。

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(Am J Cardiol 2006;97[suppl]:44C–51C))

筋障害のメカニズムとして、コエンザイムQ10(ユビキノン)の低下に伴う機能低下が有力視されている。コエンザイムQ10はミトコンドリアでATPを産生する酸化的リン酸化経路に関与するため、活動の激しい筋肉では特にミトコンドリアの呼吸機能に重要な役割を果たしている。コエンザイムQ10もコレステロール同様にメバロン酸を原料とすることから、スタチンは間接的にコエンザイムQ10の生成も抑制し、細胞の外側(LDL-C低下)と細胞の中側(CoQ10)の双方から筋細胞にダメージを与えるというストーリーが成立し得る。

以上、スタチンのプレイオトロピック・エフェクトについて述べてきたが、水溶性スタチン(プラバスタチンなど)と脂溶性スタチン(アトルバスタチンなど)では、組織移行性が異なるため物性面の違いからプレイオトロピック・エフェクトに差を生じる可能性が考えられている。また、低用量と高用量ではスタチンが逆の働きをするケースも明らかになっている。したがって、患者背景と治療内容を考慮して薬剤および投与量の検討が重要となってくる。そのためにはLDL-C以外の有用なバイオマーカーが必要となるが、現在のところ、炎症マーカーとして知られるhsCRPがスタチンの有効性、安全性の両面から有力視されている。

なお、過去にD2拮抗薬(メトクロプラミド)の制吐作用をヒントに5-HT3拮抗薬が創製されたり、PPARα作動薬(クロフィブラート)の血糖降下作用をヒントにPPARγ作動薬が創製されたりした事実は、プレイオトロピック・エフェクトの発見が新薬創製のブレークスルーともなり得ることを示している。

関連過去ログ
・「コレステロール論争 日本脂質栄養学会 vs 日本動脈硬化学会」(→こちら

P.S.1
三量体G蛋白質(G12/G13)と低分子量G蛋白質(Rho)のクロストークにp115RhoGEFが関与することを明らかにしたのは小笹徹 東京大学教授(前イリノイ大)だ(→研究室HP)。P115RhoGEFはG12/G13とはRGSドメインで相互作用し、Rhoに対してはGEFとして働く分子としてとてもユニークな性質を持っているばかりでなく、G12/G13がGαの中でもっとも高い細胞形質転換能を示す(癌の転移・浸潤との関連性が示唆されている)こととの関連において注目されている。

P.S.2
本年2月、スタチンの添付文書に認知機能低下と血糖上昇を追記する警告がFDAより発出された。プレイオトロピック・エフェクトの関与も十分考えられる。
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投稿者:ATSU-FUKU

『009 RE:CYBORG』 サイボーグ009

国際色豊かな9人のメンバーがグローバルに活躍する『サイボーグ009』は、外国人など見たこともない昭和の少年達にとってとてつもなく斬新なアニメだった。1チームを9人のオールスター構成とした着想の原点は、長嶋・王の登場で全盛期に差し掛かったプロ野球にあったのかもしれない。“カソクソウチ”と叫べば自分の走りが加速したような愚かな錯覚に陥った記憶を共有する大人たちが全国津々浦々に大勢いることだろう。この50年も前の作品に描かれるダイバーシティ重視の混迷の現代を自分が生きていることすら不思議にも思えてくる。

巨匠・石ノ森章太郎(1998年没)の未完の大作といわれるこの作品を、『009 RE:CYBORG』というオリジナルストーリーの新作として蘇らせたのがアニメーション・クリエイターの旗手・神山健治だ。その名前を聞いただけで、期待感MAXのまま公開初日に劇場に足を運んだが、最新のCGを駆使したソリッドでリアリティのある映像、スローモーション技術を取り入れることでより一層際立ったスピード感、そしてルーカスフィルムスタッフが手掛けた重厚かつ疾走感のあるサウンドは、期待を満足感に変えてくれた。

世界観やスピリットなど原作のコアの部分、そして深紅のスーツに黄色のマフラーのコスチュームは本作品でも洗練された形でしっかりと継承されていた。一方、ゼロゼロナンバーサイボーグ達のキャラクターは、デフォルメすべきパーツが再構築された相当現代風の味付けとなっており、原作のアニメチックな印象を良い意味で払拭したといえる。

アニメーションは、実は構造的にリアルなものを表現しやすいのだと思っています。絵ですべてが表現されている中に、わずかに「本当のこと」を入れるだけで本当っぽさが際立ってくる。逆に、実写は少しでも“ウソ”が混じると、途端に白けてしまいますよね(神山健治監督談)。

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P.S.
「何番が好きか」という問答は昭和の子供達にとっては挨拶代りでもあった。当時002と答えた自分も、ブラッシュアップしたフランソワーズを見せられた今は003と答えてしまうだろう。一緒に観賞した平成生まれの息子は005がカッコよかったと答えたが、新しい国際的脅威を描いたストーリーはやや難解だったか。というか、謎が多過ぎ。
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投稿者:ATSU-FUKU

おおはた雄一 LIVE at 世田谷パブリックシアター

今月発売のニューアルバム『ストレンジ・フルーツ』の参加メンバーである芳垣安洋さん(ドラム)、伊賀航さん(ベース)との3人編成で、おおはたちゃん自身初となる世田谷パブリックシアター公演が行われた。
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世田谷パブリックシアターは、三軒茶屋のランドマークであるキャロットタワー内に1997年に開設された演劇を中心とした舞台芸術のための劇場で、緩やかな勾配の1階席は列と列の間隔が広めに取られているばかりでなく、客席も各列互い違いに配置されており、前列の人の頭が気にならずゆったりと観賞できる設計になっていた。中国の夜の雑踏を見事に表現した芳垣さんの演奏に代表されるように音響も抜群の劇場だった。2、3階のバルコニー席から見下ろす舞台も味わい深いものであったろうし、アーティストが舞台から見る客席(下のスケッチ画のように)もまた格別だったであろうと想像される。

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【セットリスト】
1.Don’t Think Twice, It’s All Right/2.時がたてば/3.コリーナ・コリーナ/4.訣別の旗/5.窓は鏡/6.波間にて/7.ストレンジ・フルーツ/8.余白の余韻/9.ろば/10.親指ボムの最後の夢/11.いつもあなたは奪ってゆく/12.我們是朋友(ウォーメンスーポンヨウ)
/13.ゴロワーズを吸ったことがあるかい/(You really got me?のさわり)/14.パープル・ヘイズ〜はなればなれ/15.怖がらずに飛べ/16.やっかいぶし/17.Prayer/En1.すごい人たち/En2.Like A Rolling Stone

途中の数曲では、いつものLG-0(Gibson)をFenderのエレキギターに持ち替えての演奏が披露された。なかでもゴロワーズの演奏は圧巻で、想像はしていたがロックギタリストとしての非凡さも見せつけてくれた。おおはたちゃんのステージで、チョーキングでギターが鳴くシーンを見たのは個人的には初めてで贅沢な思いをさせてもらった。ロックすると、おおはたちゃんも観客席から声援がほしくなる(ELTでいえば持田香織“モッチー”伊藤一朗“イッチー”のように)・・・みたい。

関連過去ログ
・ニューアルバム『ストレンジ・フルーツ』発売!(→こちら

P.S.
終演後、深夜も営業している三宿の蕎麦ダイニング「板蕎麦山灯香」に直行した。

P.S.
オフィシャルサイトにライブ当日の写真が掲載されています(→こちら
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投稿者:ATSU-FUKU

ジェネリック医薬品 雑感

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、新薬(先発医薬品)の特許期間(出願から最大25年)が満了し、先発医薬品メーカーの独占的製造販売権が消滅したのちに、他メーカーによって製造販売される医薬品全般を指す。ジェネリック医薬品の呼称は、薬の銘柄名ではなく一般名(generic name)を処方せんに記載する欧米の慣行に由来する。ジェネリック医薬品のシェアは、米国が7割に対して日本は2割弱である。

ジェネリック医薬品には、『先発薬と中味が同じ』で『先発薬に比べ価格が半分以下』というイメージが浸透している。しかしながら、厳密にいうとそのどちらも正しくない。先発薬と同じ(equal)なのは主成分とその含量だけであって、生物学的同等性(equivalent)が確認された薬、すなわち“規格の範囲内の薬”というのが実体だ。更に補足すれば、「治療学的な差異はない」という説明には「〜とみなすことができる」という文言が省略されている。価格の方も多くのケースで先発薬の半分以下ということはない。日本では、ジェネリック医薬品発売時の薬価は先発薬の7割、内服薬では10品目を超えた時点で6割と決められている。したがって、健康保険を利用した場合、(1−0.6)×0.3=0.12で、個人負担分の差額は先発薬の価格の約1割に過ぎない。

例えば1日1錠100円の薬を1か月分購入すると3,000円の3割負担で窓口での支払いは900円。これをジェネリックに切り替えると540円で済むため360円おトクということになる。“安かろう悪かろう”の考えが刷り込まれた日本人の民族性上、その程度の差額であれば名前を知らないメーカーのジェネリック医薬品ではなく安心料と思って大きな製薬会社の先発薬を続けようという心理が働くかもしれないが、1錠1,000円の薬ともなると、財布からひと月に余計に出て行く金額が3,600円も違う計算となり、事情も違ってくるというものだろう。ましてや、薬価がさらに1〜2桁違うバイオ医薬品ともなると、患者サイドの後発医薬品に対する期待が拡大することは間違いない。“医は仁術”とはいえ、消費者が料金や値段を知らずにサービスを受けたり薬の買い物をしたりする不透明感は今後払拭されていくべきだろう。

2002年に「ジェネリック医薬品使用促進政策」が掲げられてから10年が経過した。医療費削減の目玉政策のひとつとしてスタートし、以来、CMや広告による啓発や健保組合や自治体からの差額通知など、官民あげて使用促進に向けた様々な取組みが実施されているが、「平成24年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%以上に引き上げる」との目標達成は困難な情勢とみられている。

病院での事務手続きの手間(院外薬局からの問合せ対応、処方医への確認、カルテ変更)、薬局での先発・後発のダブルストックに伴うコストの増大など厳然としたジェネリック参入障壁があることは事実だ。しかし、医療従事者側にジェネリック医薬品そのもの、あるいはそれを供給する会社に対する不信感が背景にあるとすれば一筋縄ではいかないだろう。

薬の生命線である品質について、製造過程が不明かつ不純物あるいは添加物等に関する説明が不十分という声が聞かれる。不純物が不明である場合、妊婦に処方される塩酸リトドリンのような薬などでより深刻だ。また、本来薬は情報の塊でなければならないにもかかわらず、添付文書の情報量が先発薬の3〜4割程度であって、効果や安全性に関する情報提供が不十分であれば、使用に踏み切れないのは当然だろう(会話が成立しないMR、先発薬メーカーに聞いてくれと答えるコールセンター、残り使用期限が6ヵ月でも出荷する工場、採算が合わずに突然生産中止などは論外)。「後発医薬品の種類が多すぎて何を基準に採用すればいいかわからない」、「自分が処方した薬が知らない後発医薬品に変更されて副作用が起きたら誰が責任を取るのか」(厚生労働省は代替調剤にかかる責任は薬剤師にあるとのスタンスを示している=FDAとは異なる)などの医師の不安の声も切実だ。

ジェネリック医薬品メーカーの数も多く、品質、安定供給、情報提供の面ですでに社会的評価の定着している会社もあれば、GE薬協会員資格停止処分を受けた会社もあり、玉石混交している状況に打つ手はあるのだろうか。

製品ライフサイクルの成熟期を引き延ばしたり、新剤型などで潜在市場を掘り起こしたりして製品価値の最大化を目指す戦略を『ライフサイクルマネジメント』(LCM)と呼ぶ。新薬メーカーにも、ジェネリックに対する自衛手段として、知名度を活かして後発医薬品に参入する動きが活発化している。長期にわたる臨床使用実績と、その結果蓄積した有効性・安全性のエビデンスを盾に攻勢をかける動きだ(『エスタブリッシュ医薬品』などの概念が提唱されている)。そうなると、ジェネリック医薬品メーカーも『付加価値型ジェネリック』でないと太刀打ちできないという事態にも陥るだろう。より健全な競争の契機となり、医療の可能性を拡げるものであれば大いに歓迎されるはずだ。

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P.S.
話は替わってドラッグストアで販売されるOTC医薬品について一言。抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンの薬価は1錠5〜6円程度だ。薬局で販売されているジフェンヒドラミンを主成分とする睡眠薬の希望小売価格は税込みで6錠1050円であり、なんと薬価の25倍もの値段が付けられている。この差額がパッケージ代および病院通いせずに薬局で買える利便性の対価として適正かどうかは購入者によって受け止め方も違うのだろう。
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投稿者:ATSU-FUKU

水のかたち 宮本輝

宮本輝の新刊「水のかたち」を読了した。月刊女性誌eclatに連載された長編小説で、その読者層(40代後半〜50代)とも重なる50代の主婦を主人公に、彼女の身に起こる骨董品との出会いをきっかけにした思い掛けない日常の変化が描かれる。この世代の女性達への賛美と慈しみに満ちた温かい物語であった。

50代というのは男女を問わず肉体的な張りや衰え、社会的な成功や失敗などの表層的な面で個人差が顕著となる年代と想像される。必要もないのに自分を他人と比べ一喜一憂してしまう。厄介事や体の変調など自分自身のことすら思い通りにいかないのに、同時に親や夫や子らの心配もしていかなければならない。そんな安穏とできない日々のなかにあっても、善き人々とつながり、清廉に振る舞い、水のサラサラとした緩やかな流れに身を任せるような生き方をしていれば、自然とよい流れが生まれ、滋味あふれる人生へと導かれることを示唆する作品であった。

宮本作品のような濃厚な人間関係は、現代の都会の希薄な人間関係のなかであまり期待できるものではない。しかし、だからこそ関わりの薄い他者を侮らず、他者への畏敬の念や道徳心を失わないよう心掛けたいという気持ちにさせてくれる小説だ。置いてある物にさえ作り手や持ち主の魂が込められていることを、終戦直後に北朝鮮から三八度線を越えて脱出した人物の手記は教えてくれる。フラットに淡々と進行する物語を、終盤ノンフィクションストーリーを織り込みつつ一気にクライマックスへと向かわせる手腕は流石だ。

落ちつづける水滴に穿たれて形を変えていったのではない。形を変えたのは水のほうだ。(下巻P.292)

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B.G.M
松任谷由実「水の影」

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NHK「ゆうどきネットワーク」(10月4日)に著者が生出演した。「30代の頃にある知人に言われた“50を過ぎた人間の情熱しか信じない”という言葉が、自分がその年代になって大きな意味をもった」、「心のきれいな女性が心のきれいな人たちと連帯しあって幸福とか幸運とかいうものを築きあげていく小説を書きたいと思った」と執筆の動機が語られた。

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P.S.
読売新聞(10月14日朝刊)「本よみうり堂」のコーナーに本書が取りあげられた。「目で見えないものが大切なんです。そんな風に世の中を見てゆきたいと思っています」という現在の心境が掲載されていた。
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投稿者:ATSU-FUKU

2012年ノーベル化学賞はGPCRのゴッド・ファーザーらが受賞

スウェーデン王立科学アカデミー(kungl vetenskaps-akademien:Royal Institute of Technology)は10日、2012年のノーベル化学賞を、G蛋白質共役型受容体(GPCR)と呼ばれる受容体ファミリーの発見及びその生理作用の分子メカニズム解明に貢献したロバート・J・レフコヴィッツ博士(Robert Joseph Lefkowitz、69才、デューク大)とブライアン・K・コビルカ博士(Brian Kent Kobilka、57才、スタンフォード大)の両氏に贈ると発表した(一般向けリリースはこちら)。授賞式は2ヶ月後の12月10日にストックホルムで開かれ、両氏には計800万スウェーデンクローナ(約9360万円)の賞金が贈られる。

G蛋白質に関連する研究では、1994年のアルフレッド・ギルマンとマーティン・ロッドベル(G蛋白質の発見及びその分子メカニズムの解明)、2004年のリンダ・バックとリチャード・アクセル(匂いの受容体遺伝子の発見及びその分子メカニズムの解明)のノーベル医学・生理学賞に次いで今回が3回目の受賞となる。

レフコヴィッツ博士は1943年アメリカニューヨーク生まれ、1966年コロンビア大学卒業、1982年にはデューク大学の教授に就任した。アドレナリンβ2受容体蛋白質のアミノ酸配列を決定し、疎水性領域が7箇所あることから7回膜を貫通する蛋白質であることを推定するとともに、G蛋白質(Gs)活性化機能(GDP→GTP変換、cAMP増加)を明らかにした研究業績などがこのたび評価された。リガンド・GPCR・G蛋白質の三者による“ternary complex model”の提唱者でもある。

1955年生まれのコビルカ博士は、1981年にイェール大学でMDを取得し、内科研修医(ワンシントン大学)を経てレフコヴィッツ博士の下でポスドクとなり、1989年からスタンフォード大学の教授を務めている。7回膜貫通型蛋白質が大きな蛋白質ファミリーを形成していることに気付き(のちにレフコヴィッツ博士が“real eureka moment”.と回顧している)、同じ特徴を持つ数々のGPCRの存在を明らかにした業績、および、アドレナリンβ2受容体の遺伝子をクローニング(塩基配列決定)し、β2受容体の結晶化に成功するとともに、X線解析により作動薬の有無による分子構造変化を明らかにした研究業績がこのたび評価された。受容体の不活性状態と活性状態の間の変化(作動性リガンド結合後に受容体のTM6が大きく動いて出来た疎水性の溝にG蛋白質αサブユニットC末端が入りこむ)が見事にとらえられたことは記憶に新しい。その結果としてG蛋白質がコンフォメーションの変化を起こし、GDP結合のオフ状態からGTP結合のオン状態への変換をもたらす。

GPCRは、細胞膜に存在し、細胞外の刺激を受容するセンサーと、そのシグナルを細胞内に伝達するトランスデューサーの双方の役割を担う7回膜貫通型蛋白質の総称である。細胞外から受容する刺激がバラエティに富む(ホルモン、神経伝達物質、光、匂い物質、味覚物質など)のに対して、細胞内に伝達するシグナルのバリエーションは少ない(サイクリックAMPの増減、細胞内カルシウムイオンの増加、イオンチャネルの開口など)。GPCR研究は医薬品の形で臨床応用されており、現在世の中にある医薬品の約4割はこのGPCR を標的にしたものである。よくTV-CMで“薬が受容体の鍵穴に先回り”などと宣伝しているCGは、まさにGPCRを模式化したものである。ヒトのGPCRは800種以上(うち約半分は嗅覚受容体)あり、レフコヴィッツ博士とコビルカ博士の研究成果は、新たな理論的創薬の契機にもなると注目されている。

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図:Drews J, et al (2000) Science 287:1960より

GPCRの創薬標的としての優位性として、
・ヒトと動物でリガンドや受容体の共通性が高い
・受容体シグナルアッセイ法の汎用度が高い
・リガンド標的部位が細胞外に 露出しているため血中濃度と薬効のリニアな関係が得られ易い
・受容体の発現部位特異性が高いため標的以外の臓器での有害作用が少ない、
などの理由が挙げられる。しかしながら、分子構造からの創薬アプローチが可能になることと、それにより発見されるリガンドを薬にする困難さとは分けて論ずるべきだろう。

本年、コビルカ博士との共同研究によりムスカリン性アセチルコリンM2受容体の分子構造解明に成功(Nature、Vol.482)した芳賀達也・東京大学名誉教授(医学部)は「細胞の内外で情報が伝わる様子を、分子の形や動きといったレベルで解明し、薬の開発を加速させた。」(読売新聞)と、業績を讃えている。ちなみに、レフコヴィッツ博士がアドレナリン作動性交感神経受容体の権威なら、芳賀達也先生はアセチルコリン作動性副交感神経受容体の権威のひとりでもある。

また、1993年から2 年間、レフコヴィッツ教授の研究室に在籍した東原和成・東京大学教授(農学部、生物化学) は「当時からノーベル賞は確実だと思っていた。ようやくという感じでうれしい。おもしろい研究を見つけることにかけては生まれつきの嗅覚 があった。議論好きで情熱家。いい研究結果を持っていくと興奮して鼓舞するとともに、よく研究員を集めて議論を重ねた。」(朝日新聞)と振り返っている。東原先生はデューク大学では主にG蛋白質βγサブユニットによるGRK2(βARK)活性化研究に主に従事した。

今回受賞対象となったGPCRは、すでに研究成果が医薬品として医療に実用化されている点で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授のiPS細胞研究とは対照的な受賞と言える。

P.S.1
Circulation Research(106: 812-814, 2010→リンク)でレフコヴィッツ博士を“GPCRのゴッド・ファーザー”と呼んだのはUCSFのRuth Williams。博士の弟子にあたる東原先生や黒瀬等先生(九州大・薬)が日頃そう呼ばれるので、あえてレフコヴィッツ博士と本記事では表記した(新聞などでは“レフコウィッツ”)。

P.S.2
昨年春(東日本大震災の5日前)に、芳賀達也先生がご自身の最終講義でこのM2受容体構造解析成功をサプライズ報告された際、会場のあちらこちらから感嘆の声があがり鳥肌が立ったことを覚えている(→関連ブログ)。膜蛋白質は疎水性領域を含むため結晶化することが難しいとされているが、精製した受容体蛋白質を生体膜の環境に近い脂質二重層に存在させたことが芳賀先生のご研究のブレイクスルーとなった。芳賀先生は、前述のアルフレッド・ギルマン教授、故 沼正作教授(京都大・医)との共同研究でも知られる。

P.S.3
G蛋白質はC末端で受容体を認識することは以前からよく知られていた。その事実を非常にわかり易い形で示したUCSFのHenry Bourneのグループが1993年にNatureに発表した文献は私にとって忘れられないものとなっている。GqのC末端にある3つのアミノ酸をGiのそれと置き換えただけで、共役するGPCRの種類が変わってしまい、本来共役しないGi共役型受容体の刺激に反応してPLCを活性化した(Gqシグナル)という当時としては衝撃的な内容だ(→こちら)。実は私、この研究に触発されてGi共役型受容体に共役してcAMPを増加させる(Gsシグナルを流す)ようなGs/Giキメラ蛋白質作製に挑んでみたことがあるが残念ながらどれも思うように機能してくれなかった。思い入れが強くついつい話を脱線させてしまった・・・。
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投稿者:ATSU-FUKU

おおはた雄一 ニューアルバム『ストレンジ・フルーツ』発売!

オリジナル・フル・アルバムとしては前作『光を描く人』(→過去ログ)から2年半ぶりとなる新作『ストレンジ・フルーツ』が本日発売された。

前2作がNY録音であったのに対して、本作品は八ヶ岳のログハウスにおいてトリオのバンド編成でのレコーディングを試みており、ライブハウスでアンプラグドの生音を聞いているような臨場感あふれる音作りとなっている。メジャー・マイナーのコントラストがくっきりとしたバラエティに富んだ曲構成となっており、秋の夜長に、灯りを少し落とし、目を閉じてヘッドホンで聴くスタイルがベスポジではないだろうか。

本作品では歌詞の内容、世界観にも若干の変化が見られる。情景描写を中心に三人称的かつ抒情的に描かれていた詩の世界に、一人称で感情の吐露や主張が直情的に描かれるものも含まれるようになったといえば単純化しすぎだろうか・・・。勝手な解釈ではあるが、3.11後最初の作品である『prayer』が彼を新境地へと導いたような気がしてしまう。おおはたフリークのひとりとしては、この変化を肯定的に受け止め、おおいに歓迎したい。

11月4日(日)にはタワーレコード新宿店で弾き語りライブ&サイン会・握手会もあるのでお見逃しなく。私はその前に“LIVE at 世田谷パブリックシアター”(10/16)だ。

P.S.
関連記事をエントリーしました。
・おおはた雄一 ニューアルバム「ストレンジ・フルーツ」発売記念インストアライブ(タワーレコード新宿店)(→こちら

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サザンオールスターズの名曲『星空のビリー・ホリデイ』(アルバムKAMAKURA収録)で知られる有名な黒人ジャズ歌手ビリー・ホリデイのレパートリーにも『Strange Fruit』というタイトルの曲がある。この曲で歌われる“奇妙な果実”が木にぶら下がった黒人死体の比喩でもある通り、アメリカの黒人差別を題材としている。

それにしても、9/19 浜田省吾のライブBD/DVD(CD3枚付き)発売(→過去ログ)、9/26 山下達郎のベストアルバム(CD3枚)発売(→過去ログ)、そして10/3 おおはた雄一のニューアルバム発売(タワレコ特典も含めCD2枚)と、好みの三大アーティストの新作を週替わりでヘビーローテーションすることになろうとは。。。
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投稿者:ATSU-FUKU
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