■完成;昭和41(1966)年10月30日
■構造;SRC1階地下1階
■面積;3,327m2
■施工;戸田建設
山田守による「武道館」と言えば
日本武道館(1964)が有名であるが、山田は湘南校舎でも武道館を設計している。日本武道館では八角形平面の反り屋根が法隆寺夢殿に似ているとして、「形態は機能に従う」とした近代建築の教義が生きていた時代には否定的にとられているが、山田はここでも切妻型反り屋根として設計しており、「武道」を表現する建築的ヴォキャブラリーに日本古来からの反り屋根を利用した事が伺える。なお山田にとってこういった手法はこれら二つの武道館が最初ではなく、昭和33(1958)年の
野田市郷土博物館において正倉院の構成や建築的ヴォキャブラリーをRCの建築で実現している。

▲外観

▲内観・柔道場(ここで多くのメダリストが育った)
平面計画は東西に長い長方形・線対称で構成され、西側に柔道場、東側に剣道場、中央にエントランスホールを有しており、地下には練習場や更衣室、便所などがある。現在竣工後40年を経過しているが、地下の間取りを変更した以外は大きな改造は行なわれておらず。メンテナンスも行き届いている。

▲妻側立面図
竣工は山田没の4ヶ月後であり、山田自身は完成した姿を見る事は出来ず、無念であったろう。山田はその設計段階において相当の想いで取り組んだそうである。工事資金の不足の為、当時屋根に使われる銅板がベトナム問題などで調達不能になるものの古河電工社長に直訴し調達を成功させたことや倒れてもなお病床から事務所所員に工事について指示していたなどのエピソードが伝えられている。山田の最後の作品である事を伝えるように図面にサインが残されていた。

▲図面ラベルのサイン(日付は亡くなる3ヶ月前 山田の最後のものかもしれない)