建築家山田守研究所
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2007/3/23
「山田守の湘南キャンパス構想(その5)」
山田守建築の分析(湘南キャンパス編)
これは1966年に官庁に提出された書類に添付された図面です。その5で示した[図5]が縮尺1/1000であったのに対して、縮尺が1/2000に小さくなった為、若干表現密度が落ちていますが、それでも相当の描き込みが見られます。
▲[図6]東海大学湘南校舎計画案(国立公文書館蔵・東海大学学園史資料センター提供)
この図が描かれた時期の判断は非常に難しく、官庁提出が1966年であったものの、体育館が四角に変更された構想図面が1965年9月取材の機関紙「東海」に掲載され、更に図中において1965年6月30日竣工の研究実験館B棟が完成、1966年2月28日竣工の研究実験館C棟が未完成となっている段階であることから1965年夏頃の作成だったと推測できます。ただし機関紙取材の後に円形の体育館構想が復活したものと考えれば1965年後期と言う事も考えられなくはありません(但し山田は1965年10月30日から12月23日まで欧米へ視察に出掛けています)。
▲[分析図6]
現在のキャンパスの形にかなり近づいてきました。[図5]と比較すると完成扱いが研究実験B棟だけしか増えていないものの、[図5]に構想されていた建築がかなり整理されている事がわかります。特に博物館系統は不急だったのか削除されています。山田や或いは創立者松前重義の理想が一番反映した図面が[図5]、現実的要求に即して修正されたものが、[図6]と言えるかもしれません。
以下[図5]からの変更点を中心に指摘します。
1.噴水は階段下に下ろされ、大きな池となっています。ここで南北軸が1号館で突き当たる形からY型に分岐し抱え込む形になりました。ところでこの池は山田自身の出資により実現され、「山田噴水」と呼ばれました。水の高さは50mにも達したそうです。ただし10年程前に池は縮小され、周囲に植込みなども整備されて違う形になっています。
2.理化学研究所の仮設校舎は第二食堂に変更されています。
3.テニスコート、サッカーラクビー場の配置ははぼ現在の形に落ち着きました。
4.よく見るとここに薄く校舎の輪郭を消した跡があります。
5.円型体育館は東にズレ、そこにあった体育博物館は無くなりました。
6.5号館が誕生しています。この区画は体育関係施設で固められているので違和感があります。
7.武道館は望星学塾(学生寮)の区画に移っています。現在の位置に近づいて来ました。
8.ここに筋が何本か引かれている表記があるのですが、何を意味しているのか不明です。
9.自動車練習場は東側から南西の隅に移動しました。
10.3号館は現在の形になりました。但し他の建築の表現と違い「影」が無く、後から書き込んだものと推察されます。
11.陸上競技場は若干東西方向の幅が広がっています。そのため自動車練習場の場所が取れなくなり、移動しています。
12.池は残りました。
13.水理実験館は現在の形になりました。
14.学生会館は大きく変わりました。円型平面の高層建築になっています。
15.方位は若干ブレています。
投稿者: グウジ
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大宮司 勝弘(グウジ)
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■
東京家政学院大学
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助手
■
東海大学連合大学院
理工学研究科建築土木コース博士課程
(
岩岡竜夫研究室
)
建築家山田守の研究を進めているグウジです。 山田守は生涯に渡り、時代の潮流から脱する(分離する)ことを試み、新しい建築のあり方を探求しつづけました。時にはそれが物議を醸し非難されることもありましたが、時代の潮流が見えにくくなった現代において、参考になる部分も少なくないように思います。 また山田守の大胆さや豪快さには舌を巻きますが、一方で周囲の人を惹きつける程の面倒見の良さや分け隔ての無い付き合いなど、人としても学ぶところがあります。 ご意見、ご感想を頂けたら幸いです。 どうぞよろしくお願い致します。
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