建築家山田守研究所
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2007/3/19
「山田守の湘南キャンパス構想(その4)」
山田守建築の分析(湘南キャンパス編)
1965年になりキャンパスの建設は佳境を迎え、山田はキャンパス全体を現した精密な図面を残します。縮尺も1/1000であり現在確認している全体図では最大のものです。造りながら検討されてきたキャンパス構想もほぼ固まりつつあります。
▲[図5]東海大学湘南校舎計画案(東海大学学園史資料センター蔵)
この図面の大きな特徴として、伏図(上から見た図面)でありながら、影の表現によって高さ方向の形態も解る様工夫されている事が指摘できます。
このように1号館は電波塔の形状が解ります。
また影の部分が黒のベタ塗りは既に完成された建築、斜線で描かれたものは構想の建築として、区別して表現されています。
▲[分析図5]
作成時期は記入されていませんが同じ図面が1965年3月31日に発行された機関紙「東海」第3号に掲載されている為、1965年の初頭或いは前年末と思われます。以下分析です。
1.噴水は1号館前、大階段上の高い所にあります。
2.理化学研究所とされた仮設建築がありました。実験関係の施設は南側に集中配置されており、暫定的な配置だったと思われます。
3.食堂は仮設で後年、同位置に食堂を内包した8号館が建設されました。
4.サッカーラクビー場、テニスコートは現在と90度回転した配置でした。サッカーラクビー場にはスタンド(観客席)があり、コート脇にはクラブハウスのようなP型の建築があります。
5.図中一番目を引くのが円型体育館で、直径は150mあります。これは石膏模型でも残されており、山田にとって思い入れのあったものだと想像できます。
▲石膏模型(東海大学学園史資料センター蔵)
6.体育博物館があります。他にも民族博物館があり、これらは実現されませんでしたが、当時はアーカイブスの整備にも力点が置かれていた事が解ります。
7.武道館は日本武道館(1964年10月)と同じ八角形をしており、方角は正確に東西南北に向いている為、配置が若干振れています。
8.民族博物館は一部が切妻反り屋根になっており、現(キャンパス内の)武道館の形に似ています。また円型の付属棟も反り屋根になっています。
9.キャンパスの北端と南端には「樹木育成地」とあり、山田の風光(環境)を重視した点が垣間見えます。
10.学生寮であった望星学塾は2号棟の一部までが完成しています。3棟が雁行して並べられています。
11.4号館は現在より幅が広く、ペントハウスが付いたデザインでした。
12.3号館は六角形平面の高層棟と北側の扇型低層部分で考えられています。影だけでは判別し難いのですが中央にコアと見られるタワーが突き抜けたデザインだったと思われます。
13.松前記念館脇の庭園に五重の塔らしき影がみえます。
14.野球場はほぼ現在の形になっています。ホーム側(1塁側)観客席がビジター側(3塁側)より大きいのは意地悪?ではなく、観客席勾配に地形を利用したためでしょう。
15.陸上競技場も現在の位置ですが、構想では巨大なスタンドと聖火台のようなタワーが付いていました。
16.池を持った庭園が配されています。山田が高校生時代を送った金沢の兼六園の雰囲気かもしれません。
17.研究実験館の中庭型六角形校舎の構想は姿を消し、東京逓信病院に酷似したスロープ付き分棟型に変わっています。既に6つの分棟のうちA棟が完成している段階です(
※注
)。分棟間を連絡するように中央館が置かれ、代々木キャンパスの4号館のように1階を街路が貫通しています。西側前面は大きく前庭が取られ、中央通りを挟んで体育館と対峙しています。
▲逓信病院の空中写真(1963年国土地理院撮影KT-63-6 C7-18)
※これには謎があって、A館とB館は同じ1965年6月30日の完成であり、一方だけが完成している状況はありえません。前述の様に作図が1965年初頭と推測される為、A棟の表記は誤記か、基礎工事が先に開始された状態を表しているのかもしれません。
18.自動車練習場は具体的にコースも描かれています。給油所まで整備され、この後のクルマ社会を予見するかのようです。
19.学生会館にはよく見るとシリンダー上部にタワーが載っています。後に3号館シリンダー上部に構想された京都タワーの形状だったと思われます。
20.方位には若干のブレがあります。
投稿者: グウジ
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大宮司 勝弘(グウジ)
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東京家政学院大学
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助手
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東海大学連合大学院
理工学研究科建築土木コース博士課程
(
岩岡竜夫研究室
)
建築家山田守の研究を進めているグウジです。 山田守は生涯に渡り、時代の潮流から脱する(分離する)ことを試み、新しい建築のあり方を探求しつづけました。時にはそれが物議を醸し非難されることもありましたが、時代の潮流が見えにくくなった現代において、参考になる部分も少なくないように思います。 また山田守の大胆さや豪快さには舌を巻きますが、一方で周囲の人を惹きつける程の面倒見の良さや分け隔ての無い付き合いなど、人としても学ぶところがあります。 ご意見、ご感想を頂けたら幸いです。 どうぞよろしくお願い致します。
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