今日はこれ。
トム・ロブ・スミスの「チャイルド44」
これを読むきっかけは、この題名に惹かれたから・・・という単純なもの。私は何か買うときはほぼその場の直感で買います。そして一応あらすじを読むと面白そうだったので買いました。
これは、スターリン体制下のソ連での話。複雑な人間関係、感情。人としての尊厳などほんの一握り、いや一人もありゃしなかったかもしれない。
話は一見主人公中心で進んでいるように見える・・・がやはりこの作品のキーワードはまさしくチャイルド=子供。主人公は過去の記憶を自ら消しながら生きていく。そうでなければ生きてゆけなかったのであろう時代。しかし、その事が結果的に衝撃的な結末を引き起こす。これまた面白いのが、私、読者も作品の中でこの主人公と似たような体験をさせられる。何気なく始まる前半部。最後までそれほど重要性をみせない。しかし、忘れた頃になってその前半部の重要さに気付かされる。ラスト200pの盛り上がりは半端ない。夜中2時だったにもかかわらず眠気が覚めて一気に最後まで読んでしまった。
この作品が教えてくれるのは・・・否、考えさせてくれるのは、今という大切さ。現代人、特に日本人は、夜明けのこない夜はない、明日やればいいや、また頑張れば、などと思っている人がほとんどではないか。正直私もそうであるから。生きている事の偶然性。今、この瞬間は生きているが一秒後生きているかなんて誰もわからない。この作品の描かれている時代はまさしくそんな時代だ。天国だった日常から一気に地獄へと。それが当たり前になってしまった時代。それを恐れ生きていく市民。生きていても常に監視の目。何ら人間としての価値など必要とされていなかった。この作品の仲では、まさしく犬が人間以上に扱われている描写もある。長くなってしまったので終わろうと思うが、とりあえず「今」の大切さを思い知らされる作品だった。続編のグラーグ57もでているのでこれから読むつもりだ。
ぜひ興味がある方は一度読んでみては。

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