(注)これはフィクションで、「The City」は架空のオンラインゲームです。
彼は、決して、何か取り立てて言うべき取り柄を持つ少年ではなかった。
彼は、ネット上に存在する多くのオンラインネットゲームを極めた。「メイプルストーリー」「ラグナロク」「テイルズウェーバー」などは勿論のこと、「罪と罰」「君主」「レッドストーン」「エターナルカオス」、更には「箱庭諸島」「ネット大航海時代」「SOLD OUT」などのSLGにも精通し、それぞれのゲームで、例えば派閥を築いていたり、ランキングでトップを争ったりしている。
彼がそれだけのゲームで活躍できるには理由があった。彼は、中学の友人である3人とグループを組み、共同作業でそれぞれのゲームの頂点に上っていた。会議を開いて誰が代表になるかを決め、代表以外の三人は全力でその代表のサポートを行う。新しいイベントを先に体験してデータを採取したり、ネット検索により情報収拾したり、手に入れたレアアイテムを無償で提供したり…。
結果、彼らは日本でも有数の知名度を誇る、オンラインゲーム情報サイトを運営するに至っている。あらゆるオンラインゲームは日々バージョンアップし進化を続けるものだが、彼らはそれに誰よりも早く対応し、正確な情報を提供する、その作業に毎日明け暮れていた。
その日、彼はいつものようにネットサーフィンを行っていた。彼が代表を務めているゲームで一段落が着いたため、まだ自分たちの知らないゲームはないかとネット上を探っていたのである。
ネットサーフィンは街を歩くことに似ている…。彼が毎晩抱く感想だった。しかもその街は多次元で構成されているので、見方次第で様々な建物が同じ通りに面する。
そしてその街をうろつくことには、祭りの出店を見て回るような心が沸き立つ楽しさがあった。出店が全て無邪気に楽しめるものではなかったが。
彼がいつものように裏道を選んで歩いていると、望むサイトに出会うことができた。
オンラインSLG
「The City」
そこには、プレイヤーである誰かのものと思われるデータ表が3枚ほど、そしてその下に
「新規登録 残り1」
彼は迷うことなくそこをクリックし、初めて見るオンラインゲームの世界に飛び込んだ。
続く