薔薇盗人 (新潮文庫)
浅田次郎
6編の短編集。最初の2編は死がテーマなので少々重いですが、最初の「あじさい心中」
寂れた温泉街に足を運ぶ落ちぶれかけた男と、流れ流れて場末のストリップ小屋に落ち着いた女の一夜の出来事。
赤の他人だから言える女の、過去を話す語り口が切ない。
さらに切ないのが「ひなまつり」
「雛祭り」ではなくひらがなっってとこがよけい薄幸な感じがした。
雛祭りが近づく頃、少女が母の帰りを待ちながら、少女漫画の付録の雛飾りを作っている。ひなまつりを題材に少女の孤独感が実に細やかに描かれてる。
母の恋人が別れを告げにくるのですが、どうしても繋ぎ止めたいその切なさの中に、少女から女へ変わる様が秀逸。
切ない作品ばかりではなく「佳人」などは、もしかしてまだまだ私も女としてイケテル男と出会えるかも?なんて〜
ザンネンながら私には夫がいる身ですし、第一「佳人」とは恐れ多い(爆)
タイトルにもなった「薔薇盗人」
これは船乗りに宛てた父に手紙を書く息子の話なのですが。。。
それとなく母の不倫をにおわせる文面が、息子が母に対する嫌悪感が微妙に感じ取れた。表向きは良い子を演じる息子の裏の面が手紙に込められてる。
息子の手紙だけで、その生活の全てが読み取れてくるのが凄い!