演劇『60’sエレジー』  演劇関係

ネット不通の先週19日、
間野記念館で絵を観た後、
新宿御苑前に移動。

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サンモールスタジオへ。

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すぐそばに、シアター・サンモールというのがあり、

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座席数294の劇場ですが、

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こちらは、座席数100足らずの小劇場。

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昔はこうしたところでよく芝居を観ましたが、
小劇場で観るのは、おそらく10年か15年ぶり

時間が早かったので、
近所のカフェでお茶を飲み、
開場10分前に行くと、
行列ができています。

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行列が動き出し、

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階段を降りると、

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狭いロビーが。

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予約してあったので、名前を告げてチケットと
番号札をもらいます。

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中の様子。拝借した写真。

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今日の芝居は、
劇団チョコレートケーキ「60'sエレジー」

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1960年代の日本の庶民の生活を描く作品。
新聞の演劇評を読んで、
すぐネットで予約しましたが、
当日は満員でした。

昭和35年(1960年)の東京。
小林清の経営する蚊帳工場に
東北から15歳の飯田修三が
住み込み従業員としてやって来る場面から始まる。
まさに中学を卒業して、
東京に集団就職してきた「金の卵」。
勉強が好きな修三を清は夜間高校に通わせ、
大学まで行かそうとするが、
工場の内実は火の車だった。

というのも、東京の住宅事情が変わり、
蚊帳は売れなくなっていたからだ。
納品している寝具店からは
たびたび仕入れの減少を言い渡されている。
行き詰まった工場を打開するには、
人員削減をしなければならないが、
先代、先々代から勤めている
職人の越智武雄の首を切るわけにはいかず、
修三を雇い入れた以上、
最後まで責任を持たなければならない。
やむなく清の弟の勉が自ら申し出て、
工場を去ることになる。

丁度日本は高度成長の真っ只中で、
道路工事や建設工事の現場で働いた勉は
おかげで所帯を持つことができる。

1964年、東京はオリンピックに沸き、
景気はよくなり、
住宅は次々と建てられていたが、
網戸の設置などで蚊帳の需要は急激に落ち込んでいった。

寝具店からは再度仕入れの削減が言い渡され、
仕方なく武雄はまだ需要のある関西の蚊帳工場に移っていく。

大学まで進んだ修三は、
学生運動にかぶれてデモに出かけ、
警察の世話になる始末。

蚊帳工場はついに持ちこたえられなくなった。
清は妻の悦子の実家の牛乳店を手伝うことになり、
修三も誘うが、修三は大学を続けたいと断る。

そして、昭和45年(1970年)、修三も家を去り、
工場は売られ、アパートが建てられることになる・・・。

という、10年間の物語。

舞台は一つ。
小林家の茶の間。
下手に蚊帳工場への入り口があり、
続いて路地へ続く戸口、
上手に家の表玄関。
そこを清、悦子、勉、修三、
武雄、寝具店社員の松尾、
隣人の紙芝居屋の茨城実たちが出入りして
物語は展開する。
紙芝居も当時普及し始めたテレビによって、
その居場所を無くした職業だ。

プロローグとエピローグに刑事と警官が登場するが、
主な登場人物は7人で、
小劇場らしい、濃密な芝居が展開する。

蚊帳工場に設定したのが秀逸で、
日本の社会が高度化されるのに伴い、
必然的に落ちこぼれる斜陽産業だからだ。

弟の勉や幼なじみの実たちには、
早く工場をたため、と勧められるが、
清が逡巡するのは、
先代先々代から勤めてくれた武雄と、
集団就職で雇った修三に対する責任からだ。
一端雇い入れたからには、
その生活に責任を持つという、
当時の中小企業の社長の心意気が伝わって来る。
その上、子どもがいない清夫婦にとって、
修三はわが子にも等しい存在になっていたのだ。
この修三を思いやる
夫婦の会話が泣かせる。

1960年から70年という、
日本の社会が大きく変貌を遂げた時代に
成長から外れた、
というか、
成長により振り落とされる産業の中の人々の生活。
蚊帳工場だけでなく、
沢山の町工場が倒産していった。
日本人の意識も変わり、
便利さを求め、豊かになることを追求した時代に
失われていったものは沢山ある。

7人の登場人物は、
誰もが他者を思いやり、いたわり合い、
いざとなれば、自分が犠牲になることをいとわない。
そういう当時の庶民の中にあった温かさが舞台にはあふれる。

私もあの時代を生きた人間だから、
その雰囲気はよく分かる。
劇団は当然世代も違うが、
若い人たちが
当時の良いところをよく理解していることに驚いた。

特に、蚊帳職人の武雄が
関西に都落ちしていく場面、
工場の入り口で中を感慨深げにながめるあたりで、
おもわず落涙した。
それ以外にも胸を打たれる場面が沢山あった。
私は修三とは、わずか3つ違いだ。

時代の変化と共に、得たもの、
失ったものを描いて哀切な舞台、
まさに「エレジー」(挽歌、哀歌、悲歌)であった。

結末は意外に苦いものがあるが、
最後に小林家の最も明るく喜ばしい時、
修三の大学合格のシーンを起き、
工場跡地に輝く瞬間が
残存していることを示す構成も心地よい。

配付されたパンフレットに、
観客の世代ギャップを埋めるために
語句説明が書かれていたのが興味深い。
解説された語句は、
蚊帳、紙芝居屋、高度経済成長期、
金の卵、東京オリンピック、
三種の神器、新三種の神器、学生運動
・・・

失われた時代を回顧する
温かさに満ちた芝居だった。
映画にしてもよいのではないか。


ステージアラウンドと『髑髏城の七人』  演劇関係

今日は、夕方から豊洲にでかけ、

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久しぶりに、ゆりかもめに乗って、

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市場前駅で下車、

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ここ、IHIステージアラウンド東京へ。

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3月30日にオープンしたばかりの劇場。

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公式図版は↓。

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場所は、ここ↓。

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この劇場の新機軸は、
座席(1314席)が360度回転すること。

動画は、↓をクリック。

https://youtu.be/Z8ypdI9YwiE

https://youtu.be/Jor-Sn98VWg

↓のとおり、座席のまわりに舞台があり、

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場面に合わせて座席がぐるりと回ります。

従って、複数のセットをあらかじめ設置しておくことが出来、
場面転換が容易。
のみならず、普通の舞台では無理な
砂を敷きつめた海岸とか、
川のほとりの場面などが可能になります。
何層にもなった構築物も作ることが出来ます。

こけら落としに選ばれた演目は、
劇団☆新感線「髑髏城の七人」

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場面も登場人物も多く、
絢爛豪華な舞台が
この新機構にはふさわしいと思われたようです。

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作:中島かずき
演出:いのうえひでのり

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初演は1990年11月16日、
池袋西口公園テントを皮切りに、
近鉄劇場、シアターアプルなどで上演。

以来、7年ごとに、
1997年、2004年、2011年と、
設定や演出、アプローチを多種多様に変えて上演されています。

今回は、1年3カ月のロングランで、
「花」「鳥」「風」「月」の4シーズンに分け、
異なるキャストと脚本・演出によって上演される予定です。

新しい物好きな私は、
さっそく劇場に行ってみたいと思いましたが、
チケットはとっくに売り切れ。
チケット譲渡サイトをのぞくと、
1万3千円のチケットが
2万円から、良い席では3万5千円くらいで出ています。

結局、↓の席をゲット。

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11列目のセンターですから、
かなりの良席。
取引が成立すると、
チケットが送られて来ます。
代金は譲渡サイトで引き落とされます。
かなり安心なシステム。

A〜Dのアルファベットは、
江東区の避難指定のシステムだそうです。

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回転座席ですから、
↓のような注意書きも。

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実際、入った時と出た時では、
逆向きになっていました。

上演時間は正味3時間10分

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この表示に従って、入場。

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この通路を通ります。

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右側の湾曲したスクリーンの向こうに舞台があります。

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客席内は撮影禁止なので、

報道陣に部分公開したプレスコール↓をご覧下さい。

https://youtu.be/k6smZMMLe7g

予告篇は、↓をクリック。

https://youtu.be/38xn47d4pno

制作発表は、↓をクリック。

https://youtu.be/qoazD_Seag4

ストーリーは、

天正18年、本能寺の変で
織田信長が明智光秀に討ち取られてから8年が経過。
天下統一を目前とした豊臣秀吉の支配が
いまだ届いていない関東は、
天魔王と呼ばれる仮面の男が率いる
「関東髑髏党」に支配されていた。

関東髑髏党に追われていた少女、沙霧(さぎり)を
助けた浪人・捨之介は、
色街「無界の里」へと向かう。
しかし、里は髑髏党の襲撃を受けてしまい、
天魔王と戦うことを決意する捨之介たち。

この話に本能寺の変の残党や
無界の里の主・無界屋蘭兵衛(むかいやらんべえ)、
無界一の人気を誇る極楽太夫(ごくらくだゆう)、
野武士集団“関八州荒武者隊”の頭目・抜かずの兵庫(ひょうご)、
捨之介の昔馴染みの刀鍛冶・贋鉄斎(がんてつさい)、
わけありの浪人・狸穴二郎衛門(まみあなじろうえもん)
などがからみ、
物語が重層的に展開していく。

湾曲したスクリーンに投影される
プロジェクション・マッピングが効果的で、
全幅に投映した時は、視野一杯に広がり、
まるでシネラマを見るよう。

場面は、無界の里、髑髏城内部、荒野、川のほとり
と変幻自在。
座席が回るのもスムーズで、
舞台との対比で、それと分かる程度。

そして、本水を使った川が流れるほとりで、
雨が降り注ぐなど、
視覚的、造型的に目を見張る場面が続きます。
いのうえひでのりは蜷川幸雄を越えた、
と言ったら、言い過ぎでしょうか。

荒唐無稽だが、面白い。
役者一人一人に見せ場が用意されている。
中でも古田新太がさすがで、会場を沸かせます。
そして、ダイナミックな殺陣が展開。
剣と剣が触れ合う「チャリン」という音が、
音響さんの絶妙なタイミングで入る。
更に音楽が盛り上げる。
まさに現代の「歌舞伎」。
そう、劇団☆新感線の芝居は、
「いのうえ歌舞伎」と呼ばれているのです。

いのうえ歌舞伎は、「ゲキ×シネ」として映像化されています。

ゲキ×シネ「朧の森に棲む鬼」「髑髏城の七人」
感想ブログは、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20080918/archive

「蛮幽鬼」は、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20101115/archive

「シレンとラギ」は、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20131013/archive

3時間少々を堪能して、
「すごいものを観た」というのが感想。

最後のカーテンコールで、
座席が360度一挙に周り、
舞台がどんな風になっていたかが分かります。
嬉しいサービス。

難を言えば、座席の勾配が緩いため、
前の人の頭がちょっと邪魔になります。

帰り道に見た光景。

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とても良い夜を過ごしました。

会場にあったチラシで、
気になるものを。

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トニー賞授賞式  演劇関係

今日はトニー賞授賞式の生中継が
WOWOWで午前9時から始まりました。
(ニューヨークの現地時間は、12日の午後8時。)

先日のフロリダ州オーランドの事件への哀悼をこめて、
静かな始まり方でした。

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会場はニューヨーク、ブロードウェイのビーコン劇場

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今までのラジオシティ・ミュージック・ホールとは
大きさが違うため、
入場料が高くなったとか。

オープニングは「ハミルトン」のパフォーマンスから。

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実は今年は「ハミルトニー賞」と一部で言われるほど、
「ハミルトン」旋風が吹き荒れており、
ミュージカルの13部門全てにノミネート。
主演男優賞に2人、助演男優賞に3人ノミネートされているため、
計13部門16ノミネート

ミュージカルは14、演劇は10の部門がありますが、
作品賞は新作とリバイバルに別れているため、
ミュージカル13部門、演劇9部門が上限。

16ノミネートは史上初で、
今までの最高は「ロデューサーズ」(2001)と
「リトル・ダンサー」(2009)が
各15ノミネートで、
それぞれ12部門、10部門で受賞。
「ハミルトン」が13部門を取れば、
史上初の全部門制覇となります。

司会は、この人↓、ジェームズ・コーデン

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人気コメディアンです。
2012年には「ONE MAN,TWO GUVNORS」で
トニー賞主演男優賞を受賞したこともあります。

続いて過去のミュージカルのメドレー集。

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1小節ごとに別な曲になり、
途中まで指折り数えましたが、
途中で分からなくなりました。

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トニー賞といえば、
ミュージカルの候補作のパフォーマンスがお楽しみ。
装置なども作って持ち込まねばなりませんので、
2千万円くらいかかるといいます。
それでも宣伝になるので、
必ずやります。

「ブライト・スター」

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「ハミルトン」

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「スクール・オブ・ロック」

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ジャック・ブラック主演の映画を
アンドリュー・ロイド・ウェーバーがミュージカル化。

「シャッフル・アロング」

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「ウェイトレス」。これも映画が原作。

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リバイバルでは、
「カラー・パープル」。スピルバーグが先に映画化。

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「屋根の上のヴァイオリン弾き」。

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現在のシリア難民と連動しているそうです。

「シー・ラブズ・ミー」

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「春のめざめ」

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今回の新趣向。
劇場の表でのパフォーマンス。

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豪華なプレゼンターも魅力。

ジェイク・ギレンホール

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アンドリュー・ロイド・ウェーバー

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キャロル・キング

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↓なつかしや、メグ・ライアン

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アンジェラ・ランズベリージェームズ・アール・ジョーンズ
ダース・ベイダーの声。

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ケイト・ブランシェット。近くブロードウェイ・デビュー。

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↓私のお気に入り、ダイアン・レイン

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チタ・リヴェラ

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ニール・パトリック・ハリス

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↓最後はバーブラ・ストライサンド

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演劇作品賞は「ザ・ヒューマンズ」
他に助演男優賞、助演女優賞、装置デザイン賞を受賞。

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演劇リバイバル作品賞は「橋からの眺め」
他に演出賞を受賞。

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演劇ジャンルでは、
「夜への長い旅路」が主演女優賞(ジェシカ・ラング)、照明テザイン賞、
「ザ・ファーザー」が主演男優賞(フランク・ランジェラ)、
「イクリプスト」が衣装デザイン賞
を、それぞれ受賞。

ミュージカル作品賞は「ハミルトン」

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他に演出賞、主演男優賞(レスリー・オドム・ジュニア)、
助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、楽曲賞、
衣装デザイン賞、照明デザイン賞、振付賞、編曲賞で、
11部門受賞。
「プロデューサーズ」の記録(12部門)には、及びませんでした。

建国の父、アレクサンダー・ハミルトンの半生をつづるもので、
音楽にヒップホップを取り入れたのが新しい。

ハミルトンは合衆国の初代財務長官で、
10ドル札↓にあるのが、この人。

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作品の原動力となったのが
「イン・ザ・ハイツ」(2008)でミュージカル作品賞を受賞した
リン=マヌエル・ミランダ

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一人で脚本、作詞・作曲、主演をつとめる才人です。

ミュージカル・リバイバル作品賞は「カラー・パープル」
他に主演女優賞(シンシア・エリヴォ)も受賞。

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残る一つは「シー・ラブズ・ミー」が装置デザイン賞を受賞。

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途中のCMつなぎのスタジオシーンをカットした
字幕版は、
6月18日、午後7時から
WOWOWで放送します。


世界のニナガワ死す  演劇関係

蜷川幸雄さんが亡くなった。

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若い頃演劇青年だった私にとっては、
憧れでもあり、目標でもあり、神サマでもあった。
一時期、その演出作品は必ず観ていた時がある。

蜷川さんは最初俳優として出発。
「劇団青俳」に所属。
古い映画やテレビドラマを観ると、
時々顔を見ることが出来る。
その後、演出に向いていると気付いて演出家に転身。
蟹江敬三、石橋蓮司らと結成した劇団「現代人劇場」で、
1969年、「真情あふるる軽薄さ」で演出家デビュー。
1972年、劇結社「櫻社」結成、
明治通り沿いにあった映画館「新宿文化」で
映画をはねた後、
演劇公演を打ち、これが評判を呼んだ。

1974年、「櫻社」を解散し、
東宝に招かれ、「ロミオとジュリエット」で商業演劇に進出。
(東宝は金脈を探し当てたわけだ。)
帝国劇場や日生劇場を舞台に
シェイクスピアやギリシャ悲劇の斬新な演出で話題を呼んだ。
「演出家の名前で客が呼べる芝居」で、
演劇青年の憧憬の的となった。

1980年代から世界に進出。
「世界のニナガワ」と呼ばれるようになり、
数々の模倣を生んだ。
(たとえばマクベスを戦国時代に移した「NINAGAWA マクベス」を真似て、
戦国武将の衣裳で演ずる「アイーダ」など。
有名な凱旋行進の場面で、
よろいかぶと姿の人々が日本刀で戦う姿など、
苦笑ものだった。)
日本人戯曲家による作品、
清水邦夫唐十郎秋元松代の作品上演でも
大きな成果を上げた。

私が初めて蜷川演出に触れたのは、
1973年の「泣かないのか? 泣かないのか1973年のために?」
「櫻社」の最終公演で、
新宿文化の通路に坐って観た。
(今なら消防が許さない)
舞台を覆っていた幕が切って落とされると、
そこは大衆浴場。
湯船とカランが設置されており、
そこで蟹江敬三石橋蓮司が珍妙なやりとりを全裸でし、
観客の笑いを誘う。

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そこへ、機動隊に駆逐された演劇集団が逃げ込んで来て、
その二人を巻き込んで、凄惨な演劇が演じ、
かつて上演した作品を否定してみせる。
最後は二人がタンゴを踊るのを
周囲の役者たちが刃物で切り刻み、
二人は湯船に顔を突っ込んで果てる。
一瞬の暗転の後、
湯船は船となり、
御詠歌を歌う一堂を乗せたまま、
暗闇に船出していく。

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それは全共闘運動が終焉を迎える頃、
アングラ演劇も先細りし、
若者たちの全ての抵抗が無力と化していく時代で、
それを反映させた舞台だった。

わずか1時間少々の芝居だが、
重量感たっぷりで、
一週間は頭の中がその舞台が一杯になった。

そして、蜷川さんは東宝に移り、
その2作目「リア王」(1975)を鑑賞。

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今の松本幸四郎、当時の市川染五郎がリア王で、
狂気の場で、
リア王が真っ正面を向いたまま倒れると、
背景にあったドームが真っ二つに裂け、
そこから真っ黒い宇宙が顔を出す。
(本当はそこから本水を注ぎ落としたかったらしい)
エネルギーと猥雑さにあふれた「リア王」で、
それまで観たどの「リア王」より斬新で視覚的だった。

蜷川演出、染五郎主演の「リア王」は、
今でも私の演劇体験のベストワンだ。

その後も数限りないコロスが舞台を占拠する「オイディプス王」(1976)、
新宿花園神社でクレーンで高いところに吊り上げた
平幹二郎のメディアが天空から呼びかける演出の「王女メディア」(1978)、
階段に立つハムレットを
バッハの「ロ短調ミサ曲」と共に照明が浮きだす「ハムレット」(1978)。
近松の戯曲を現代に蘇らせた秋元松代の「近松心中物語」(1979)。
(この作品は、明治座の再演では
劇場中に吹雪を吹き荒らせた)

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同じ秋元松代のオリジナル「元禄港歌」(1980)、
そして、シェイクスピアを戦国時代に移した、
世界初の斬新な、「NINAGAWA マクベス」(1980)
と、毎回あっと言わせる演出を見せた。
「NINAGAWA マクベス」では、
フォーレの「レクイエム」が効果的に使われ、
蜷川さんの音楽的感性が際立っていた。

西武パルコ劇場では、
「下谷万年町物語」(1981)、
「黒いチューリップ」(1983)、
「タンゴ・冬の終わりに」(1984)などを観た。
特に、「タンゴ・冬の終わりに」は、
古びた映画館の観客席を舞台に
狂った俳優とその妻の記憶を巡る葛藤が
ごく演劇的で、
最後の孔雀の登場も意表をついた。

しかし「恐怖時代」(1985)、「95kgと97kgのあいだ」(1985)、
「欲望という名の市電」(1988)
「ペール・ギュント」(1990)
などと共に再演が増えると、
2本に1本が「ん?」と言う出来ばえになり、
やがて3本に2本が「?」となった。
初めてオペラ演出に挑戦した「さまよえるオランダ人」(1992)も
ピンと来ず、
やがて私と蜷川さんの蜜月時代は終わりを告げる。

映画監督としては、
「魔性の夏」(1981)
「青の炎」(2003)
「嗤う伊右衛門」(2004)
などがあるが、
芳しい成果は上げられなかったようだ。

2008年、「リア王」の再演があり、
遠く埼玉県まででかけて観劇したが、
感想は「観るんじゃなかった」。
その時のことは、↓のブログを参照。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20080127/archive

この時のブログを読むと、
今をときめく吉田鋼太郎をほめているので、びっくり。

人生のある一時期、
本当に惚れ込んで追跡した演劇人
その感謝をこめて、
冥福を祈りたい。


『ショーシャンクの空に』(舞台版)  演劇関係

今日は夕方から

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日比谷に出掛け、

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ここシアタークリエに。

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舞台版「ショーシャンクの空に」を観るためです。

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原作はスティーヴン・キングの中編小説「刑務所のリタ・ヘイワース」

リタ・ヘイワースは1940年代に
一世を風靡した女優。

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小説の原題は『Rita Hayworth and Shawshank Redemption』(リタ・ヘイワースとショーシャンクの贖い)
1994年にフランク・ダラボン監督で映画化された時の原題が
『The Shawshank Redemption 』(ショーシャンクの贖罪)で、
「ショーシャンクの空に」は、日本で付けた題名です。
"Redemption"は「罪を贖う」という意味と同時に、
債券などの「満期償還」や「買戻し」「回収」という意味を持っています。

↓は映画のパッケージ。

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↓は脱獄を成功させた歓喜のアンディ。

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↓は「ショーシャンクの空に」ごっこをする猫。

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今回の題名の頭に
「ロンドン版」と付いているのは、
既に2013年に河原雅彦演出・喜安浩平脚本で舞台化された作品があるからです。

今回の「ロンドン版 ショーシャンクの空に」は、
2009年5月にアイルランドのダブリンで初演され大ヒットを記録し、
同年9月にはロンドンに上陸。
3ヶ月間の上演は大好評を博し、
演劇の聖地・ウェストエンドに感動の嵐を巻き起こしたというもの。
脚本はオーウェン・オニールデイヴ・ジョーンズ
演出は白井晃

実は、私には、
「宇宙旅行に持って行く10本の映画」というのがあり、
宇宙旅行の長旅をなぐさめる映画を
10本だけ選んで持って行けるとすれば、
何を選ぶか、という意味ですが、
その中に映画「ショーシャンクの空に」は入っています。
その大好きな作品が
どんな風に舞台化されているか、
を関心に観に行きました。

ネットで、こんなに良い席をゲット。

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所長の独裁と暴力と絶望が支配するショーシャンク刑務所に、
新しい囚人が入って来る。
銀行家として成功を収めたにもかかわらず、
妻とその浮気相手を殺した罪で、
終身刑を言い渡されたアンディ・デュフレーンだ。
誰とも口をきかず、
奇異の目で見られていたアンディが初めて話しかけたのは、
塀の外からあらゆる物を仕入れる”調達屋”のレッドだった。
「鉱物収集の趣味を復活させるための
ロックハンマーを調達してほしい」
そして、
「独房の壁に張るリタ・ヘイワースのポスターを1枚」求める。

アンディは、地獄の刑務所で少しでも人間らしく生きるため、
静かに戦い続ける。
そのアンディの感化を受けて、
囚人たちに変化が見られる。
また、銀行家の知識を生かして
所長や看守たちの節税や脱税の相談役ともなる。
20年の歳月が流れ、
新入囚人から
アンディの冤罪を証明する情報がもたらされる。
しかし、再審の申し出をするアンディの夢を
所長は砕いてしまう。
「これは俺の人生なんだ」というアンディの叫びを聞きながら。
そして、最後にアンディが賭けた挑戦は・・・

舞台は多少の改変を加えながら、
原作通りに展開するが、
やや平板
アンディを演ずる佐々木蔵之介からはアンディの魅力が伝わって来ない。
レッドを演ずる語り手の國村隼
人生の大半を刑務所で暮らして歳を取った哀愁や苦悩も表れない。
所長を演ずる板尾創路
キリスト教徒でありながら偽善的行動を取る二重性が表現できておらず、一本調子。
総じてこの話の中にある
希望と絶望の相剋、
それを打ち破る執念というものが描ききれず、
深みに欠ける

ちょっと似た作品の
「カッコーの巣を越えて」
あれほどの感動を呼んだのに、
この舞台作品からは、
原作と映画の放った爽快感、感動というものが生まれなかった。

というわけで、
高いお金を払って文句たらたら、
という残念な結果

この話、ストレートプレイにするよりも、
思い切ってミュージカルにでもしてしまった方が
感情の高揚が見られるのではなかったか。

↓は会場入口に作られた写真スポット。

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↓こんな感じになります。

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帰り道の丸の内仲通りのイルミネーション。

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